多様なメディアを用いて五感を刺激する展覧会「静謐な光、游泳のかたち」が11/17まで開催

感覚を研ぎ澄ませ!人生に対するアティチュードを再思考するためのスペースアート

by i-D Japan
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13 November 2020, 11:00am

日々激化する情報戦のなかで、誰からも侵されることなく自立した状態を保ちながら思考を続けることは果たして可能なのだろうか。

会場となる東京・渋谷、奥渋にある〈Sta.〉のギャラリースペースを暗転した空間には来場者の五感を刺激するような作品がランダムに配置されている。

展覧会「静謐な光、游泳のかたち」ではこの問いを起点に、Saskia、Larry McCarthy、肥髙茉実、佐藤円と各方面で活躍する表現者たちが集い、多様なメディアを用いて、私たちを囲む曖昧な世界への追求を表現された。

情報の遮断が困難な嗅覚・聴覚に対するアプローチは、サウンドアーティスト・Saskiaが担当。イギリス・ブリストル在住のプロデューサー Larry McCarthyとのコラボレーションでは、物事は変化しつづける一瞬たりとも同一の空間とは存在し得ないという私たち人間に平等に与えられたとめどなく流れる限りある時を表す。両者のサウンドは複数のスピーカーを用いることによってコラージュされ、会場では鎮静作用のあるアロマが香る、静寂ながらもカオティックでありポジティブなユートピア的空間を多角的にデザインする。

この現代社会で人々への影響が最も大きいとされる視覚。美術家・文筆家の肥髙茉実のインスタレーション作品は、波のようにうねる鉄のオブジェに現代社会の課題であるジェンダーやナショナリティといった人々を物理的に分ける要素をフラットな状態へ、会場には湖に浮かぶボートのように点在する。そこへ照明ディレクター・佐藤円の灯がともされる、世界の暗がりに潜む憂鬱な影、再び浮かび上がらせることによって、私たちが黙認してきた事実と対面する行為にもなりうるのだろう。

目を閉じれば瞑想のように身を安心できる場所へと自ら誘うことができ、目を開ければ現実が降りかかってくる。ここで歴史や情報との距離が、コントロールがおよばない存在であると同時に自らのコントロールによって存在しているという矛盾を示そうとしている。世の中に存在するさまざまな境界線や矛盾の間を泳ぐ感覚、その感覚はこれまでの無意識下での不自由を自覚していく経験。社会や他者との関係修復のために新たな視座を与え、人生に向き合うための姿勢を整える機会になるかもしれない。

眠りかけていた身体感覚の気づき、その感覚を保つためのトレーニングの場として、ぜひ訪れてもらいたい。

「静謐な光、游泳のかたち」
日時:2020年11月10日(火)〜17日(火)
開場時間:14:00~23:00
会場:Sta. 1Fギャラリー
住所:〒150-0044 東京都渋谷区円山町11-7
入場:無料

https://online-sta.com/

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参加アーティスト:
Saskia|テクノを軸にレフトフィールドなエレクトロニックサウンドをフィーチャーするパーティー「broad」や「解体新書」、ライゾマティクス主催の「Super Flying Tokyo 2019」、電子音楽×デジタルアートの祭典「MUTEK.JP 2019」などにライブアクトとして出演。また、7年に渡る編集者・ライターとしての経験をもとに、言語がヒトにもたらす影響を音としてのパースペクティブも加えながら独自に解釈しようとしている。

Larry McCarthy|イギリス・ブリストル在住のプロデューサー/アーティスト/DJ。2018年にデビューアルバム「Sonder Somatic」をHessle Audioから発表する他、Idle Hands、Livity Sound、TimedanceなどUKテクノを代表するレーベルよりBruce名義にて作品をリリース。ダンスミュージックとメンタルヘルスの関連性についてのトークショーなどにも参加している。

肥髙茉実 Mami Hidaka|美術家、文筆家。2018年多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業。同年よりウェブ版『美術手帖』コントリビューター。そのほ か『BRUTUS』『THE FASHION POST』『i-D』などで執筆中。『She is』エッセイ連載(初回11月)。

佐藤円 Hitoshi Sato|照明ディレクター。音楽を伴う空間での光のデザインを軸にインスタレーション、ダンス、写真/映像など多様なシーンのアー ティスト作品に携わっている。


Photography Yuko Kotetsu(poster)
Models Frances, Phenix.

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