欧州最大のコンペで最年少ファイナリストに選ばれたZ世代デザイナー:八木華 interview

バレンシアガのデムナ・ヴァザリアやジースター ロゥの元クリエイティブ・ディレクターであるアイター・スロープも受賞した、『INTERNATIONAL TALENT SUPPORT』。最終ファイナリストに選出された八木華が描くサスティナブルなファッションの形。

by Saki yamada
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15 February 2021, 8:30am

19歳にして世界的ファッションコンペ『INTERNATIONAL TALENT SUPPORT 2019』のファイナリストに選出された八木華のコレクションは、ドリーミーかつファンタスティックな世界観でありながらもリアリズムがある。

コロナ渦が世界を不安で包み込む一方で、人生を見つめ直す機会を得た人は多いのではないだろうか。人生にとって何が重要か、それは人それぞれなのだが、八木のコレクションが描くナチュラルでヘルシーなスタンスは、現在の状況において安心感を抱かせてくれる。

高校2年生のとき、古本屋で見かけたオートクチュールデザイナー・

中里唯馬の記事をキッカケに新人デザイナー向けのコンテスト『装苑賞』に応募。近所にある洋裁教室のおばあさんに服作りを学び、人生初となるファッションショーを経験した。これが美術学校に通いながら作家を目指していた彼女の転機となり、八木は人が着ることによって命が吹き込まれるファッションに美術にはない面白さを見出し、その世界へとのめり込んでいった。八木にとって物を作るという感覚はごくごく当たり前だった。それは東京で三代続く板金職人を家業とする実家にて、伝統的な板金の手法を用い古い家屋の修理をする父の姿を見てきて育ったからだった。そのマインドこそが彼女の制作のルーツとなっている。


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 家業から受け継いだ精神と、素材との出会いが偶然にも重なり、彼女は修復をコンセプトにした『Repair コレクション』を2019年に発表。江戸時代に売られていた古着の切れ端を何層にも縫い合わせた青森の服“ボロ”や、戦時中に日本女性が兵士の無事を願い縫った千人針の布からアイデアを得て、Instagramなどで募った100人の人たちと手作業で縫い合わせたクチュールの制作に取り組んだ。「ボロは日本北部の貧困の歴史を象徴しますが、一方で北の女性たちは集まって手を動かすことで心を解放していました。千人針も戦争のイメージが強いですが、実はたくさんの人が糸を縫い付けることで思いを込める美しい祈りの形でもあります。時代の貧しさではなく2つに共通する温かいエピソードを表現するには、たくさんの人と手作業を共有することが重要だと思いました」と語った。彼女は制作過程で内面から湧き出るものにフォーカスを絞り、過去から未来へと作品を紡いでいった。今となっては多くの人が集まり一丸となって共同作業をすることすら難しいことだが、八木は当時を振り返って「幸せで尊いことだ」と話していた。

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戦時中の服を通じて出会った人々の温かなストーリーは、現代を生きる八木にファンタジーを見せてくれた。ポジティブとネガティブが混ざり合う複雑な背景を切り捨てずに制作過程としてファッションに落とし込む行為は、八木にとって自然なことだった。「どんなに手がかかっても自分の伝えたいものを描きたい」と強く願う八木のクリエイションは、カオスな世界で直面する生きづらさを真っ直ぐな想いで癒し、時代が求めるサスティナブルなファッションのあり方を示してくれる。

ALL CLOTHING Hannah Yagi @hannah.yagi

Photography Masahiro Yanagisawa @sondake00

Hair Masahiro Yanagisawa @sondake00

Make-up Masahiro Yanagisawa @sondake00

Models Yuga Maeda @ygm1019 Sophie Igarashi @sophikki Maru Nouchi @maru_nouchi

Minami Urushibata @_urumina_ Chiharu @oyasumi._._ Tsumugi Yagi @2003127_

Futo Sakaki @sk2tofu


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