パリに広がる、反レイシズムの抗議デモ in Photos
アメリカ同様の警察による殺害事件が問題視されていたパリでは6月2日の夜、2万人の市民が街へと繰り出し、警察の暴力とレイシズムに対して声を上げた。
Courtesy of Aliocha Boi
ジョージ・フロイドの事件をきっかけに、フランスでは、2016年に24歳のマリ系フランス人、アダマ・トラオレがパリ郊外の警察署の拘置所で亡くなった事件へと再び注目が集まっている。数日前に新たな医学診断書が公表されたばかりで、それを踏まえた再調査の結果、容疑者とされていた警官たちの無罪が証明された。アダマの遺族はこの結果に抗議し、警官たちの告訴を求めている。
アダマの姉であるアッサ・トラオレは、「アダマ・トラオレと全く同じ状況で亡くなった米国のジョージ・フロイドの死に、世界中が激怒している今この時に公表された」最新の調査結果に対し、SNS上で異議を唱えた。


また、アダマの遺族が依頼した第三者機関による新たな調査もアッサの訴えを裏付け、彼が亡くなった当時に署内にいた警官に非があることが明らかになった。アダマの最期の言葉は、ジョージ・フロイドと同じく「息ができない」だったとされている。
ミネアポリスでジョージ・フロイドが殺害された5月25日以降、米国は怒りに燃えている。窒息すると何度も訴えたにもかかわらず、彼は白人警官によって8分46秒ものあいだ膝で押さえつけられ、心停止を起こした。その直接的な原因となったのが首への圧迫であり、第三者機関と当局双方による2度の司法解剖もこれらの事実を裏付けている。


事件に対する抗議は国内140の都市に広がり、さらに国境を越えてロンドン、ベルリン、シドニーへも波及した。6月2日の夜には、パリ市民も街へと繰り出し、フランスにおける反レイシストのリーダー的存在であり、〈La Vérité pour Adama アダマの真実〉代表でもあるアッサを先頭に抗議デモを行なった。


パリ17区にある大審裁判所の前には2万人を超える参加者が集まり、アダマの遺族、そして世界中の警察の暴力による犠牲者との連帯と支援を表明した。
ラッパーのアブダル・マリックも短いスピーチを行なったこの抗議デモは、フランスにおけるレイシズムとの闘いの歴史において、記念すべき瞬間となるだろう。




This article originally appeared on i-D FR.