現代の闇を浮き彫りにする犯罪ドキュメンタリー7選

〈本当にあった怖い話〉は、私たちを魅了してやまない。

by Britnee Meiser; translated by Nozomi Otaki
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12 November 2020, 5:15pm

巧みなストーリーに心惹かれないひとはいない。それが実話に基づいているならなおさらだ。だからこそ、世界には衝撃的な出来事や目を疑うような不正義が蔓延しているにもかかわらず、犯罪ドキュメンタリーは視聴者数を伸ばし続けているのかもしれない。

結局、私たちは安全な距離から眺める〈対岸の火事〉におびえるのが大好きなのだ。2015年、Netflixで『殺人者への道』が公開されて以降、このジャンルの人気はとどまるところを知らない。

家で鑑賞する時間はたっぷりあるものの、複数のストリーミングプラットフォームで数百本もの犯罪ドキュメンタリーが配信されている今、優れた作品を見極めるのはなかなか大変だ。

i-D編集部が珠玉の犯罪ドキュメンタリーを厳選して紹介する。

『ストロング・アイランド』

社会や個人に染み付いた人種差別を浮き彫りにするとともに、ある青年の家族と悲しみを深く掘り下げたドキュメンタリー映画。監督のヤンス・フォードが、1992年に実兄のウィリアム・フォード・ジュニアが殺害された事件を振り返る。

ロングアイランド出身で、犯罪歴のない黒人教師のウィリアムを射殺したのは、かつて怪しげな商売をしていた自動車修理工場に勤める白人、マーク・レイリー。しかし、23名の陪審員(いずれも白人)は、レイリーの行為は自己防衛に当たるという地方検事の主張を受け入れ、故殺ではなかったと判断する。

本作はアカデミー賞にノミネートされ、ヤンス・フォードは、トランスジェンダーであることを公表している監督としては初のアカデミー賞候補者となった。Netflixで配信中。

『殺人鬼との対談: テッド・バンディの場合』

70年代の悪名高き連続殺人犯テッド・バンディは、数十年にわたって若い女性に警鐘を鳴らしてきたが、このジョー・バーリンジャー監督による全4話のドキュメンタリーは、彼の人生と殺人を新たな視点から探っている。

監督は、死刑囚となったバンディと精神科医の数十時間に及ぶ1980年のインタビュー映像をくまなく吟味し、彼が罪を告白する衝撃的で内省的な作品をつくりあげた。

本作はバンディの事件の恐るべき全容をつまびらかにすると同時に、彼が逃亡していた時代の法制度の数々の穴を指摘している。本作はNetflixで配信中。

『ジェフリー・エプスタイン: 権力と背徳の億万長者』

小児性愛者の億万長者、ジェフリー・エプスタインの悦楽と未成年の性的搾取にまみれた人生については、もう十分に理解している、というひとも多いかもしれない。

2019年の逮捕、そして獄中での謎の死はメディアで大々的に報道され、彼の身の毛もよだつような虐待の数々が全米に知れわたった。さらに、彼の交友関係から裕福な権力者の男性たちのブラックリストが明かされ、#MeTooムーブメントがさらに白熱するきっかけとなった。

しかし、本作が私たちの心に訴えかけるのは、被害者側の視点にフォーカスしていることだ。エプスタインが繰り返してきた犯罪と虚偽を広く取り上げるのに加え、長年にわたって沈黙を強いられてきた女性たちに声を与えたという点で、本作は正義を実現したといえるだろう。Netflixで配信中。

『イノセンスファイル』

全9話からなる本作は、不当逮捕や誤って起訴されるなど、黒人女性を中心とする刑事司法制度の被害者に焦点を当てている。人種差別や不正にまつわる個々の証言を通して、米国の刑事司法制度に組み込まれた欠陥を、より大きな視点から描き出す。本作はNetflixで配信中。

『アマンダ・ノックス』

アマンダ・ノックスとラファエル・ソレチトは、アマンダのイタリア留学中のルームメイト、メレディス・カーチャーを殺害したとして逮捕された後、一転して無罪判決を受ける。本作は、そのふたりの心理的葛藤をリアルタイムで追うドキュメンタリーだ。

2011年、映像作家のロッド・ブラックハーストとブライアン・マッギンは制作にあたり、この事件の決着がいまだについていないこと逆手にとり、見事な作品を完成させた。

彼らがアマンダ、ラファエル、検事のジュリアーノ・ミニーニから引き出した率直な言葉は、ふたりの高潔なジャーナリスト精神を証明している。これこそ、裁判中のセンセーショナルな報道には明らかに欠けていたものだ。本作はNetflixで配信中。

『グレート・ハック: SNS史上最悪のスキャンダル』

データ会社ケンブリッジ・アナリティカの興隆と没落を追う衝撃作。

同社は数十万人のFacebookユーザーの情報を追跡、収集し、2016年の米共和党の大統領選挙や英国のEU離脱是非を問う国民投票のさい、その情報をターゲティング広告に利用していた。ピーク時には、ひとり当たり5000データポイントを集めていたとされている。

さらに恐ろしいのは、作中で明らかになるように、ケンブリッジ・アナリティカが業務を停止した今も同社のデータ検索能力は今なお健在で、Facebook上の個人の自由を蝕んでいることだ。本作はNetflixで配信中。

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