デビュー作でロクサーヌ・シャンテを演じる新人女優、シャンテ・アダムズ

デビュー作『ロクサーヌ、ロクサーヌ』の演技がサンダンス映画祭で高く評価され、審査員特別賞を受賞したシャンテ・アダムズ。今後の活躍が心配になるほどの快挙を成し遂げた新人女優は、どんな人物なのだろうか?

by Clementine de Pressigny
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03 October 2017, 5:56am

This article originally appeared in i-D's The Acting Up Issue, no. 349, Fall 2017.

演劇学校を卒業してわずか6週間で、シャンテ・アダムズ(Chante Adams)は、多くの俳優たちが一生待ち続けても射止めることができないような役柄に起用された。「コマーシャルかドラマの脇役にでも起用してもらえたら」と期待しながらオーディションを受け続けていた彼女だったが、起用されたのはなんと、ファレル・ウィリアムスとフォレスト・ウィテカーが共同プロデュースを手がける映画『ロクサーヌ、ロクサーヌ(原題:Roxanne Roxanne)』の主役だった。ヒップホップ黎明期80年代のニューヨークに現れた女性ラッパー、ロクサーヌ・シャンテの役だ。しかも、共演は『ムーンライト』で好演しているマハーシャラ・アリ。映画は、ミューヨークのクイーンズに生まれ、ヒップホップ史の大きな一部となった神童ロクサーヌ・シャンテの栄光と影を、時系列に沿って物語るものだ。

ロクサーヌ・シャンテは、ニューヨークのヒップホップ・グループUTFO、同じくニューヨークのラジオDJミスター・マジックとマーリー・マールが繰り広げていたバトルに、アンサーソング「Roxanne's Revenge」で参戦。これがアンダーグラウンドのシーンでヒットした。当時、ロクサーヌはまだ14歳だった。そんな彼女の役を獲得したシャンテ・アダムズだったが、役作りの準備期間として与えられたのは、たったの8日間だったという。しかし、毎日車を運転しながらラジオに合わせて歌っていたから、彼女はすでにラップのスキルを身につけていた。原曲のピッチやトーンをそのまま真似るアダムズだからこそ、この役を獲得できたのだ。『Roxanne Roxanne』は、2017年1月に開催されたサンダンス映画祭でプレミア上映されてから、映画界で大きな注目を集めている。またシャンテ・アダムズはこの映画祭で審査員特別賞を受賞している。カルト的な人気を誇る複雑な女性のストーリーを演じて物語ることは大きな責任を伴ったが、アダムズはロクサーヌ・シャンテが持っていたスキルも、彼女が生き抜いた苦悩も、絶大なる敬意を持って演じたそうだ。

「この映画は、必ずしもヒップホップの伝記映画というわけじゃない。ある若い女性の苦難を描いた映画なの。アルコール中毒の母親のともに育った女性が、家族を大切にしようと思いながらも年上の男性に依存していき、虐待を受けるようになる。そういったサバイバルの物語は、多くの女性が共感できるもの。これはロクサーヌ・シャンテをあるひとりの女性として、あるひとりの黒人女性として描いた作品なんです」

Credits


Text Clem de Pressigny
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.
Photography Daria Kobayashi Ritch
Styling Henna Koskinen. Hair Nikki Providence at Forward Artists using Bumble and bumble. Make-up Michelle Mungcal at Artists & Company using NARS Cosmetics.

Chante wears all clothing OFF-WHITE C/O VIRGIL ABLOH