Amandla wears poncho stylist's own. T-shirt and jeans Courrèges. Nose ring model's own (worn throughout).

黒人と白人のあいだで:アマンドラ・ステンバーグ

「自らの黒人性は私のアイデンティティにおいて、とてつもなく重要なんだって気づいたの。そのことは、私を人間として大きく変えたわ」

by i-D Staff
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13 February 2017, 12:47pm

Amandla wears poncho stylist's own. T-shirt and jeans Courrèges. Nose ring model's own (worn throughout).

Jacket Alpha Industries. Body Balmain. Dungarees Wunderkind. Leggings Isabel Marant. Shoes Marc Jacobs.

Hoodie Moschino. Dress Loewe. Jumper (worn around waist) Adidas. 

Shirt Margaret Howell. T-shirt stylist's own. Jumper Thrasher.Tracksuit bottoms Adidas. Leggings Isabel Marant. Ring repossi. Shoes model's own. 

Jacket Alpha Industries. Dress Chanel. Tracksuit bottoms Adidas. Leggings Isabel Marant. Necklace and shoes model 's own. 

アマンドラ・ステンバーグ(Amandla Stenberg)をネット検索してみる。そこにはまず、彼女が歴史のクラス用に作成した「文化盗用と文化理解の薄れゆく違い」に関する動画『ドント・キャッシュ・クロップ・マイ・コーンロウズ』が表示される。そして彼女のInstagramとTwitterのアカウントが表示される。彼女のInstagramには約60万人、Twitterには30万人のフォロワーがいる。続いて、多くの記事やインタビュー、そして彼女に関するページが検出される。その多くに「影響力のある」「草分け的存在の」そして「過激な」という文字が並ぶ。「プレッシャーに感じるときもあるわ」とロサンゼルスのアマンドラは電話越しに語る。「認められなきゃいけない、期待に応えなきゃいけないって感じる。イメージを守らないといけないんだってプレッシャーに感じるの」

アマンドラは現在17歳。しかしそのしっかりした印象は、話しているこちらに実年齢の倍ほどの女性と話しているような錯覚を与える。彼女の口調や声には、17歳相応の希望に満ちた無垢なエネルギーと断固として揺るがない自信が共存している。

アマンドラは、ロサンゼルスの南に位置する住宅街、ライマートパーク地区に生まれた。デンマーク人の父と黒人の母を持ち、デスティニーズ・チャイルドやシアラ、グウェン・ステファニー、アリシア・キーズなどのポップスターをアイドルとして崇め、育った。「グリーンデイが好きだった時期もあったわ……恥ずかしいことに」と彼女は言う。「黒人として、自分とはいったい何者なのかって迷っていた時期だったの。そんなとき、白人が多く住むウェストサイドの学校に通うことになった。それをきっかけに、自分のアイデンティティを形作る様々な部分を知ることになっていったの。学校では周囲が全員白人、でも家に帰って遊ぶのはみんな黒人。ハーフの子供のほとんどが経験する二重性を、私も経験して育ったわ」

思春期になって、彼女は自分の存在をどう受け止めるべきか悩んだという。ステレオタイプで彼女を見て、判断する周囲の人々にも困惑した。「ある場所では黒人すぎるのに他の場所では白人すぎる、そんなアイデンティティだからこそ起こったことだった」と彼女は説明する。「黒人すぎる、白人すぎるなんていう状態はこの世に存在しないわけだけれど、私は子どもの頃、たしかにそう感じて育ったの」

アマンドラは自身が黒人なのだということをウェストサイドのある出来事で気づかされたのだそうだ。「かくれんぼをしていたら、オニ役の男子が"あの黒人の女子はどこかな?"って言ったの。"私のことだ!"って思った。あれが、私の人生において人種という概念が初めて実体をもってせまってきた瞬間だった」。アマンダが初めて人種差別を味わったのは、公の場でのことだった。幼少期からモデルとしてコマーシャルやカタログに登場していたアマンドラは、2011年の映画『コロンビアーナ』で少女時代のカトレヤ役を射止め、翌年にはスーザン・コリンズ著のファンタジー小説を映画化した『ハンガー・ゲーム』にルー役で出演し、ブレイクを果たした。

「本を読んでルーが黒人だと知り、大興奮したのを覚えている」とアマンドラは当時を思い出して話す。「だって、観客が見て感情移入できる黒人の女の子のキャラクターってほとんど出会わないでしょう?」しかし、アマンドラの喜びをよそに、その先で待ち受けていたのは数多の中傷だった。「インターネット上の書き込みを見てみると、"ルーが死んでも悲しくない"といった内容のコメントがあちこちに見つかったわ。ショックだった。傷ついたというよりも、混乱したの。あれは忘れられない」

この出来事を受け、アマンドラはスポットライトの中にある自分をどう見せていくかについて、深く考えたという。「自分の半面である黒人の部分を否定していた時期もあった」と彼女は告白する。「髪をストレートにして、一般的により受け入れやすい自分を作り出したりね。でも最近になって、自らの黒人性は私のアイデンティティにおいて、とても、とても重要なんだということに気づいたの。そのことは私を人間として大きく変えたわ。やっと一回りして真のアイデンティティに落ち着いたような気分」

マイノリティに対するアマンドラの揺るぎない支援の姿勢は、彼女を一躍スポットライトへと押し出した。前述の動画『ドント・キャッシュ・クロップ・マイ・コーンロウズ』で、彼女は黒人の髪型の歴史から、黒人というアイデンティティの肯定、メインストリームに侵食されていくヒップホップ文化、そしてその意味までを語った。このYouTube動画は現時点で200万回以上の再生数を記録している。

現在、彼女は定期的にソーシャルメディアを利用し、オンラインで自身のアクティビズムを展開している。そこで触れる社会問題は、セクシュアリティやジェンダー、そして"なんでも逆手にとって差別に結びつける黒人"というステレオタイプから警察官の暴力にいたる社会の偏見など、多岐にわたる。その活動が評価されて、彼女は『TIME』誌で「最も影響力を持つティーン」のひとりに選ばれ、女性のためのミズ財団からは年間フェミニスト賞を授与された。そして今、彼女は若い女友達を率いて、彼女たちの目や経験を通して現代の社会問題を指摘し、発言をする活動を展開している(タヴィ・ゲヴィンソンやウィロー・スミス、キーナン・シプカなどの著名人に加え、彼女のInstagramに頻出する友達も多く参加している)。

彼女が社会で存在感を増すにつれ、インターネットでは彼女に対するアンチが増える。そんな過酷な現状のなか、彼女を支えているのは友達の存在だと彼女は言う。「発見と成長のプロセスにおいて、友達は不可欠な存在だった。彼女たちがいてくれたのは言葉にできないほどラッキーなこと」と彼女は話す。「彼女たちは、それぞれのアイデンティティに迷いがないからこそ、私が迷っているときに支えになってくれた。本当に素晴らしい人たち。今後は、ゼンデイヤや、テレビ番組『ブラッキッシュ』の女優ヤラ・シャヒディ、ウィローと組んで何かをやりたいと思ってる。#blackgirlmagicのメンバーで一緒に映画を撮ったりできたらクールだと思うの。実現したら最高ね!」

若い世代の先頭に立って社会と向かい合いながら、アマンドラは女優としてのキャリアも着実に築いている。最近では、本年サンダンス映画祭にてプレミア上映されたマイルス・ジョリス=ピラフィット監督作品『As You Are』で、オーウェン・キャンベルやチャーリー・ヒートンらと共演している。このインディーズ青春映画は、90年代を生きる3人のティーンを追った物語で、アマンドラ曰く、それぞれの登場人物たちが「自身を、そしてセクシュアリティを知り、受け入れ、そして恋に落ちる」映画だという。ファンタジーやSFを愛するアマンドラは『Niobe』と題した漫画も制作しているという。「私はジブリ作品の大ファンなの!」とアマンドラは興奮気味に話す。「スマートフォンのケースも『千と千尋の神隠し』なのよ! あんな世界観の作品が作りたくて——ああいう感動を秘めた映画をね。でも登場人物に黒人の女の子がいたらいいのにと思った。ファンタジー作品だもの。"こんなひとがいたら"と私が思うようなキャラクターに命を与えたかった。だから自分で書いたの」

世界にはどのような変化が必要だと思うか尋ねると、彼女はこう答えた。「有色人種とLGBTコミュニティの人々が、その人生の奥深いところまで理解してもらえるような扱いを受けることができる世界になってほしい。メディアでももっと公正に扱われて然るべきなのよ。オスカー(アカデミー賞)のノミネートを見てみてよ」彼女は続ける。「私よりもさらに若い世代に、このことを知ってほしい。人間にとって最も大切なのは何を決断し、世界にどう貢献できるかだって。そしてそれに注力することが大切なんだと知ってほしい」

発言力を持たない人々、選挙権を持たない人々のために、彼女は自身のプラットフォームを使って声を上げている。「私が公衆の面前で自分のアイデンティティを探って試行錯誤する姿を見せることで、同じように自己のアイデンティティに悩む人たちの役に立つなら、それは素晴らしいこと」と彼女は言う。「私はこれを続けるわ。こうなったのは偶然だとも思えるけどね。自分自身でいることで、こんなにも多くの人が反応を示してくれるとは思いもよらなかった。多くは興味や共感をもって--でもときには深い憎悪を見せつけられるときもある」

さまざまな偏見に直面した2016年、そして彼女が心から親愛している黒人コミュニティ、LGBTコミュニティ、障がい者コミュニティにとって、厳しい一年となった2016年。アマンドラは未来を明るく見据えているようだ。「若いからこそ得られる最高のもの? 無限の可能性ね。この先何が起こるかわからないということに、とてもワクワクしているの。私は若くて、まだ学ぶべきことがたくさんある。大失敗もやらかすだろうけど、それでもいい。私として生き続ける。そうやって生きていくわ」

Credits


Text Lynette Nylander
Photography Oliver Hadlee Pearch 
Styling Emilie Kareh 
Hair and make-up John McKay at Frank Reps using Shu Uemura
Photography assistance Gregory Brouillette
Styling assistance Fiona Godivier
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

Tagged:
Film
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