Quantcast

俯瞰で見た景色:Kick a Show インタビュー

ByMaruro Yamashitaphotos byNobuko Baba

2016年よりKick a Show名義で作品をリリースし始め、昨年にはMONDO GROSSOのアルバム『何度でも新しく生まれる』にシンガーとして参加。R&Bから始まり、様々な要素を縦横無尽に取り入れ自らのものとするKick a Showにインタビューを行った。

怪しげな雰囲気を漂わせる色メガネをトレードマークに、渋谷や中目黒界隈のクラブシーンを中心に活動するシンガーのKick a Show。地元である新潟から上京してわずか数年、彼を取り巻く環境は大きく変化した。個人名義でのいくつかのリリースを経て、2017年のFUJI ROCKではMONDO GROSSOのステージにも参加し、2月14日には1stアルバム『The Twelve Love』をリリース。R&Bと昭和歌謡をミックスし、現在進行形で自身のスタイルをブラッシュアップさせ続ける彼に、バックグラウンドとクリエイションについて話を聞いた。膨大な音楽にすぐさまアクセスできる現代において、彼は”オリジナリティ”についてどのように考えているのだろうか。

——音楽にハマっていったきっかけは?

高三くらいからクラブに行くようになったのが大きかったですね。そこで知り合った先輩たちのパーティで遊んでいるうちにどんどんめり込んでいきました。親父のレコードラックに、Isley Brothersとか、Jackson 5だとかMotown系のレコードがコレクションされていたので、そこを手がかりに深掘りしていくようになりました。ジャケを見て、タイトルやアーティストをネットで調べて聴いてましたね。レコード屋に行くとかではなく。実家にはレコードはあったんですけど、プレイヤーがなかったので(笑)。

——クラブに行き始めるまでには、能動的に音楽を聞くタイプではなかった?

中学校くらいまでは歌謡曲とか、親父が持ってた短冊CDで聞いていただけですね。その影響で昭和の歌謡曲はすごく好きです。南佳孝さんだとか、角松敏夫さんだったり。

——『twelve love』を聴いて思ったのが、本当に色んな音楽を聞いているんだろうなということだったんですよね。意識的に色んな音楽を聞こうとしているんですか?

そうですね、色んな音楽を聞かなきゃっていう気持ち、勉強したいっていう気持ちがありますね。先輩から詳しいジャンルをそれぞれ教えてもらったりして。今でもそれは変わらずで。韓国の音楽も聞きますし、色々聞いています。

——曲作りのインスピレーションはどういうところから受けますか?

新潟時代からの先輩で、メインプロデューサーのSam Is Ohmさんと二人で製作することが多いんですが、Ohmさんが作ってくれたトラックに対して、こういうことを歌ったらどうだろう、ああいうアプローチをしてみようとか二人で相談しながら。「友達以上恋人未満」ていう曲があるんですけど、それに関しては、そういう関係にある女性目線で歌を歌ってみたら面白いんじゃないかなと思いまして、男二人で考えました。

——ヒップホップだと、どこかしらで自分にとってリアルなことを歌わないと、というところがありますよね。

ほとんどテーマを決めた上で想像で書いているんで、嘘といえば嘘なんですよね。自分が経験してないことなんで。想像で考えたものこそ、リスナーの想像が膨らんで、見えてくる景色があるんじゃないかと。

——i-D Japan no.5で「何が作品をオリジナルにするか?」という質問に対して、「コミュニケーション」と答えていましたよね。もうちょっと詳しく教えてください。

人と、特に経験値の多い人たちとコミュニケーションを取ることによって、新たな発見があると思うんです。僕が生まれる前の、知らなかった音楽を知れるというのもそうだし。それを聞いた上で、それを鵜呑みにするんじゃなくて、自分なりに消化して、これが俺のスタイルだって言えるのがオリジナルなのかなって。昔の音楽を探っていくのも同じことだと思いますね。今盛り上がっているシーンがあるのも、昔生まれたルーツがあるからこそなので。そこを知らずに今の盛り上がっているシーンでわちゃわちゃ騒いでも、自分では腑に落ちないというか。なので、知らないことはバンバン聞きます。常に吸収したいっていう気持ちなんです。