YOSHIROTTENについて知っておくべき10のこと

グラフィックアーティスト、アートディレクターという肩書きにとらわれることなく多岐に渡るジャンルで活躍するYOSHIROTTEN。ミステリアスな雰囲気をまとう彼のクリエーションの原点を紐解く。

by YOSHIKO KURATA
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16 March 2018, 7:17am

4年ぶりに大型個展を東雲・TOLOTにて開催したYOSHIROTTEN。彼のルーツにあるファッション、音楽から始まったコマーシャルワークにおいても、近年さらに幅や規模を広げながら一目で彼の作品だと分かるオリジナリティを残している。創作の原点、好きなもの、YOSHIROTTENの由来など彼にまつわるあれこれについて話を聞いた。

1. 小学生の頃に夢中になった一人遊びの妄想
YOSHIROTTENは、少年時代もっぱら一人遊びにはまっていたという。「小学校が家から遠いこともあって、放課後は壁を相手に野球やバスケットボールで遊んでた。ただ遊ぶというより、頭の中では野球選手として甲子園に出場したり、バスケ選手として日本人初のNBA選手になる妄想をして楽しんでた」。少年時代に鍛えられたイマジネーションの力は、いまYOSHIROTTENの創作の原動力になっている。

2. パンクに触発された青春時代
YOSHIROTTENを語るのに必要なものとして「音楽」がある。中学生の頃に影響を受けたブルーハーツの歌詞『僕はパンクロックが好きだ』に触発されてから、パンクロックの世界に引きこまれるようになる。ロンドンの初期パンクから影響を受けた痕跡は、YOSHIROTTENの初期作品にパンクミュージシャンの肖像や周辺カルチャーで用いられた手法や記号が登場していることにあらわれている。「パンクの従来になかった発想で世界を変えてしまうムーブメントがセンセーショナルだった。そういうふうに今までなかったものが形を変えて生まれる現象自体を自分も創り出したいと思った」

3. デザインに触れ始めた高校時代
スケートボードに夢中になった高校時代は、自分で服を作ったりグラフィティを描いてみたりとなにか作ることの面白さを覚えるようになる。そして当時夢中になっていた音楽の円盤ジャケットやバンドTシャツのデザインからも刺激を受けるようになり、次第にYOSHIROTTENは、リスナーとして音楽楽しむだけではなく「これが自分のやりたかったことだ」とグラフィックデザイナーへの道を決意する。

4. YOSHIROTTENの由来
上京後、専門学校を卒業してからデザイン会社「ポジトロン」に勤めながら、平日は仕事、週末は友人のイベントフライヤーやTシャツなどのデザインを制作する日々を送る。当時YOSHIROTTENとTAKAKAHNで結成した音楽ユニット「YATT」で活動するときにつけたという名前の由来をあかしてくれた。「ジョニーロットンとチャカカーンがミックスしたような楽しい音楽を目指していたことからその名前になった。そこで冗談でつけた自分の名前・YOSHIROTTENがそのまま続いている感じ」

5. 「見えないものの可視化」という創作の意志
「もしも」という仮定をもとに自由で遊び心のある発想をし続けるYOSHIROTTEN。「もしも可視光線とは違う光が目の前の景色に当たったら、どのような風景が広がるだろう」という想像によって私たちが普段目にすることができない新しい景色をみせてくれている。そして年を重ねるごとに平面から立体に、そして2018年展覧会『FUTURE NATURE』では400坪の大型空間を支配するほどにその想像力はとどまる所を知らないようだ。

6. 好きな素材
テクスチャーを感じる作品を創る彼に好きな素材について聞いてみた。「今回の展覧会『FUTURE NATURE』でも用いている自然の素材や宇宙に飛ばせる素材が好き。例えば、展覧会で展示してる作品『Tranthrow』で使ってるアルミハニカムは、実際にロケットに使われる素材だから宇宙に飛ばせるんだよ」

7. 好きな映画と作品集
彼の自宅や事務所の本棚には、”SF”という文字やアレハンドロ・ホドロフスキー、スタンリー・キューブリックなどの作品集などが並ぶ。数々の本や作品集で溢れる本棚から選んだお気に入りの映画はアレハンドロ・ホドロフスキー監督の『ホーリー・マウンテン』、作品集は岡上淑子の『DROP OF DREAMS』だという。

8. 忘れられない風景
「今までに見たことのない新しい景色」を創り出す彼が衝撃を受けたという地球上にある景色を聞いた。「熊本にある〈幣立神宮〉。そこの景色は神がかりすぎてて一生忘れられない。地球誕生のきっかけになったとか、外の情報が流れてこない時代に五色の人種を表すお面が納められていたり色々な逸話がある。その場所の光の美しさや神秘的な雰囲気は今でも忘れられない」

9. YOSHIROTTENのデザインの定義
「デザインは、答えがあって期日も目的もあるから発生する。それらのことに対して自分が最大限できることを工夫しながら、より良いものを創ろうと超越していくことをデザインでは念頭においてるよ。デザインとアートは異なるもので、デザインでは必要なもののプラスαができたらなと思ってる」

10.これからアーティストを目指す人たちへ
平日はデザイン会社と週末イベントと忙しくしていた20代の頃から仕事に関係なく日夜作品作りを続けていたYOSHIROTTEN。そうして10年以上鍛えられたスピード感と感覚は、200枚以上もの円盤のデザインを生み出し、ファッションや音楽にとどまらず空間デザインにまで近年制作の規模も広がっている。そんなYOSHIROTTENが答えるこれからアーティストを目指す人へのアドバイスも実に彼らしいものだった。「好きなことをできるだけやる。好きなことを好き放題やるのが一番大事だし、楽しいじゃないですか」

Credits


Photography Ko-ta Shouji
Text Yoshiko Kurata
Special Thanks GASBOOK 33 YOSHIROTTEN