Shirt, dress and trousers Balenciaga Prefall 18.

革命前夜:SZAによるロング・モノローグ

傑作アルバム『CTRL』を世に送り出した今、彼女のエネルギーは未来へと注がれている。私たちの依頼にこたえ、彼女自身の言葉で、現代を語り尽くした。

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maj 9 2018, 1:03pm

Shirt, dress and trousers Balenciaga Prefall 18.


This article originally appeared in i-D's The New Fashion Rebels Issue, no. 352, Summer 2018.

最後にインタビューをした2017年夏以降、SZA(シザ)の周りでは多くのことが起こった。プラチナアルバム。5部門のグラミー賞ノミネート。自身のハッシュタグ(#JusticeForSZA)。ツアーチケット完売。バラク・オバマからの応援。『ブラック・パンサー』のサントラに収録されたアンセム「All the Stars」でのソランジュ、カーディ・B、そしてケンドリック・ラマーとのコラボ。それでもなお、彼女は前しか向いていない。セカンドアルバム完成が待たれるが、そこにはあらゆる複雑さ、不確かさ、混沌が渦巻いている。もっと刺激的なものをつくるには? SZA、再起動。

Jacket and shirt Raf Simons. Trousers Marni.

「今は力にあふれてる。みんなが思い描くようなかたちでじゃないし、みんなが考えるような理由からでもないと思うけど、そうなのは確か。力があふれてるのは、恐怖に打ち勝ったから。アルバムを1枚リリースして、ツアーもしたし、たくさんの人たちの前で素の姿でいられた。ある時期、それはすごく困難なことだったけれど、今ではごく簡単なことに思える。照明に照らされ、ライブに出て、何かをするたびに恍惚となる。どんな瞬間も学びのための経験。成長し、理解する瞬間なの。

今は、愛が私の宗教になってる。いいことをすれば、いい気分になる。悪いことをすれば、気分が悪くなる(リンカーンが言ったとされているように)。ひどいことをしたら、その1日はいい日にならない。知らない人を助けるのが、嫌なムードから抜け出すいちばん手っ取り早い方法。そういうことをどんどん学んでいってる。自分が無知だってこともわかったし。私にできるのは、わずかに知っているものをかき集めて、そこから意味を成すものを作り出すこと。もっといい人間であれ。もっと世界に貢献できるように努力せよ。それを生じさせるのは、あなた自身。自分のために自分がつくった天国や地獄のことで他人を責めるのはお門違いだって思うから。

Hoodie Céline. Trousers vintage from David Casavant Archive. Socks (worn throughout) stylist’s own. Sandals (worn throughout) Gucci prefall 18.

私と家族の関係はおもしろいの。私たちすっごくパワフルな変革の最中にあるから。めったに会わないけど、会えばなんでも話す。朝食のときに泣いたりするくらいね。でも絆はかたい。母は私のことを知り尽くしてる。父もすべてを理解してるし。っていうのも、両親もみんなと同じように、ネットの記事を読んでるから。

あるとき、父がメールを送ってきて、私が妊娠しているのかと訊いてきたの。ネットでそういう記事を読んだみたいで。でも私は、何のこと?って感じだった。父とはマリファナだって一緒に吸うくらい。2日前みたいに。それで「あなた、どうかしてる」って言ったの。すると父は笑ってこう言った。『そう、どうかしてるよ』。でもそういうことなの。私に何が起こってるかなんて、誰も知らない。たとえ私を愛している人でも、ネットからくだらない情報を見つけてんだから。

まさに今、Instagramでマカロニチーズの画像を見てる。すごく幸せ。“幸せ”は正しい表現じゃないかな。人生で最高潮の喜びを何度か味わったことがあるけど、どれも同じじゃないから。そのすべてを言葉語で表現する?私、今それを表現するのにもってこいの場所にいるはず。今手がけてる作品に、全力を傾けようとしているの。挫折を味わうこともあるけど、自分が誇りに思えるようなレベルまでいけそうな手応えを感じてる。頭の中にあるイカしたアイデアをちょうど取り出そうとしてるところ。

Dress Chanel Prefall 18.

私の人生では、悩みにも役割がある。悩みはかたちを変えて、契機になったりもする。それには呼吸と瞑想が助けになる。Instagramは良くもあるし、悪くもあると思う。見る人しだいね。自分を切り離すか、他人や目にするすべてのものと自分を比較するかどうかによる。でも、インスピレーションを得たり、愛やチャンス、美を求めるのにはすごくいい場所だと思う。自分の考えしだいじゃないかな。それがクレイジーで甘美な旅だとしても、ハマりすぎないで。Instagramをしてると、誰でもそういう期間があるけど。

Instagramからは間違いなくインスピレーションを受ける。つまりInstagramって、本質的にはGoogleでしょ。きれいな女性の写真を見るのが大好き。でも、こうも思う。どんな人でも、あまりにも長い時間それを見てたら、自分自身を変な目で見るようになるだろうって。そのときどういう気分なのかにもよるけどさ。例えば、ひどいニキビができたとき、すごくかわいくて肌のきれいな女性をInstagramで見たとするでしょ。すると、その日の自分の顔を少しみじめに感じてしまうと思う。でも翌日になると気にも留めてないはず。

酔っ払えたらいいにと思う。飲める友だちがうらやましくて。でも私には向かないみたい。だからお酒は飲まない。体がアルコールを受けつけなくて、すぐ吐いちゃう。ハイになりすぎても、吐いちゃうし。何かをやりすぎると、体がそういう反応をするみたい。だから吸うのはマリファナだけ。ちょうど今、ハイな気分。でも度を越してはないはず。量を抑えられる自信もあるけどね。
クラブには行かない。この前、久しぶりに友だちの誕生日でクラブに行ったんだけど、ひどい有様で。もう絶対に行かない。気味が悪かった。みんな、自分が見られてないか、もしくは見られているかどうか確認するために、周りをキョロキョロしてて。音楽にしたって、音量不足だしさ。ああ、ばかげてるって感じ!でも素敵で、予期せぬパーティは大好き。正月はハワイで過ごしたんだけど、ぜんぜん知らない人の家に行くってことがあったの。裏庭パーティで花火をするような感じかな。なんでそういう流れになったのか、なんで音楽があんなに素晴らしかったのかはわからないけど。でもそういう感覚。10人で3人分のマリファナを吸ったから、誰もそこまでハイにはなってなくて。ただいい気分だったってだけ。

Jacket and shirt Raf Simons. Trousers Marni.

グラミー賞の夜は、マリファナを1本吸ってた。式典のあとは友だちとまっすぐホテルに帰って、ずっと笑ってた。だって、すべてがコントみたいだったから。たまたま私がサプライズゲストになっちゃって。何が起こってるのか、信じられなかった。へー、この人たち、本当に私を出してくれるんだっていうくらいの感じで。クレイジーでしょ。でも同時に……なるようになるとも思ってた。最後は終わってホッとした。次の日は頭痛のタネ去って、楽しく過ごせた。肩の荷が下りたみたいで。あれより緊張するものなんてある?言い換えるなら、そうね……限界がないって感じ。あの瞬間は本当にオロオロしたし、ちょっと恥ずかしかったけど、くじけることはなかった。今まで以上に音楽づくりへの創造力をかきたてられた。だって、自分がやりたいことはなんだってできる気がしたから。

「The Weekend」のPVを監督したソランジュは、私がツアーをしているとき、たまについてきてたの。彼女はとても明確なアイデアを持っていた。彼女の目を通して自分が見られていることを誇りに思う。映画を撮ること、そして自分自身を考察し、自分のアイデアやアーティストとしての能力を表現する術をたくさん学んだ。彼女をすごく尊敬しているし、彼女が望んでいることをそのままやらせてあげたいと思ったの。彼女とビヨンセはまったく違う人だし、エネルギーもまったく違う。でも同じような明るさや情熱、個性を持ってる。

Hoodie Céline. Trousers vintage from David Casavant Archive.

周りの人から、多くのことを学んできた。リアーナからも。彼女はこちら側。彼女のしていること、その世界での立ち位置やエネルギーも大好き。彼女がこれから何をするかも興味津々。彼女は本当に最高ね。フランク・オーシャンはキング。ケンドリック・ラマーは、私たちの世代を代表する声。いま現在、カルチャーを語るうえでいちばん刺激的な存在。ってのは冗談。冗談にならないかもしれないけどね。

今まさに起こっている意識の変化は、すごく刺激的。若い世代は、誰もみな何だってできるってことを知ってる。今いる場所で自分らしくいられる。自分がいる場所、望むもの、自分が与えられるもの、信じるもの--みんながそれを受け入れてる。それをみんなが同時に表明し出している。カオスね。たくさんの人が、違うものをほしがってる。でも、自分の望むものを見つけたり、そういう可能性を受け入れてるのを見るのは、すごくすてき。素晴らしい。

Shirt, dress and trousers Balenciaga Prefall 18.

インタビューはあまり好きじゃない。変にエネルギーを使ってるみたいで。取材のあとはいつも空っぽになったみたいな感じになる。普段と違うしゃべり方なんて知らないしさ。それから、しゃべりすぎると、私の欠片がなくなってしまったように感じるの。インタビュワーも、そんなビクビクした瞬間を共有しているのかな? それとも私はつまらない話を床に投げつけてるだけ?すぐに席を立って、いつも通りの生活に戻る人に向かって?

新しい曲を通して、まだやることは多いなって気づいた。私、複雑と同じくらいシンプルも好き。今まで築いてきたものをふるいにかけていくのが面白くなりそうだと思ってる。もっとカオスになるのはわかってる。でもその混沌のなかに至上の瞬間を見出すのに、すごくワクワクする。超おもしろくなると思う。そこに向かう準備はできてる」

Top Miu Miu. Trousers JW Anderson (menswear).

Credits


Photography Petra Collins
Styling Carlos Nazario

Hair Randy Stodghill at OPUS Beauty using Oribe. Make-up Samuel Paul at Forward Artists using Chanel Beauty. Prop stylist Natalie Ziering. Photography assistance Moni Haworth and Steve Yang. Styling assistance Anna Devereux, Giovanni Beda, Mohammed Diallo, Alicia Liu, Verper Wolfe, Kenny Paul and Jack Eustace. Seamstress Susie Kourinian. Production Suzy Kang and Beau Bright at GE Projects.

Translation Aya Takatsu.

This article originally appeared on i-D UK.