メンバーは14人! アイスランドの女性ラップ集団

アイスランドの女性ラップ集団、Reykjavíkurdæturがやってくる! i-DとChanelによる共同企画「The Fifth Sense」からのインタビューをここに掲載。「あなたが参加していても、誰も気づかないんじゃないかな。何しろメンバーが多いので」

by Hanna Hanra
|
06 February 2017, 7:35am

「レイキャヴィクの娘たち」ことReykjavíkurdæturは、アイスランドのレイキャヴィク発の女性ラッパー集団だ。14人のラッパーがひしめくステージは窮屈そうに見えるが、彼女たちは入れ替わり立ち替わりマイクを回していき、ステージ全体でハーモニーを奏でる。Reykjavíkurdæturの音楽性はメロディアスなR&Bから重いベース音が特徴的なトラックまで色鮮やか。そこで歌われるトピックも政治批判から官能的な恋の世界まで多岐にわたる。アイスランド出身のプロデューサーや友人、彼女たちが出会うすべての人たちを巻き込むReykjavíkurdætur--ステージで圧巻の存在感を放つ彼女たちは、ビートにあわせてバウンスし、バースの切り替わりと共にマイクを回していく。2016年、アルバム『RVKDTR』をリリースした彼女たちに、世界一の人数を誇る女性ラップ集団であることの良い点と悪い点について聞いた。

メンバーの出会いについて聞かせてください。
私たちはアイスランドのレイキャヴィク出身のラッパー14人。うち2人が3年前にレイキャヴィクで企画した女性だけのラップイベントで全員が出会いました。そこからはあれよあれよという間にことが進んで、今ではみんなで「Reykjavíkurdætur(レイキャヴィクの娘たち)」というグループをとして活動してます。

音楽活動以外では、何をしているのでしょうか?
Anna Taraはバルセロナで学生をしていて、Bergþóraはダンスの先生、Jóhannaは美大生で、Solvigはランジェリーの販売員をしてます。Katrínは、SóleyとÁsthildurの2人と一緒にツアーをやっていて、Þórdís Björkは演劇を勉強中。Kolfinnaは産休中で、Þuraはグラフィック・デザイナー。SaraとSteineyはテレビ番組を制作していて、Salkaは音楽を勉強。SteinunnはもうひとつのグループAmabadamaでも活動中で、Valdísはプロダクト・デザインの勉強、Blærはシティ・センターで舞台に立ってます。

曲作りのプロセスについて教えてください。全員が関わるのですか?
曲によりますね。集団として全員が関わるというか。1人で書いたり2人で書いたり、3人で書くこともあるし、全員で書くこともある。本当にそうやって全て試してたんです! 歌詞もメロディも、新しい書き方を試すのが好き。お互いを高め合っていくのが好きなんです。

メンバーが多いということで面倒は起こらないですか?
良い面も悪い面もありますよ。例えば、一緒に海外へ行くのは高くつくし。それでもどうにかみんなで行ける方法を考えます。やっぱり、みんなで行くほうが楽しいですから。全員揃っての打ち合わも時々、不可能に思えるけど、必ず解決できる。それと、私たちはみんなが同時に喋らないっていうテクニックをマスターしています。それなりの鍛錬が必要でした。説明が難しいから、是非とも今度、私たちのミーティングに参加してみてください。見れば解りますよ。たぶん、あなたが参加していても、誰も気づかないんじゃないかな。何しろメンバーが多いから、溶け込んでしまうと思います。

あなたたちのステージは圧倒的です。どのくらいの頻度でリハーサルを?
ライブは、私たち全員がかなりの時間を注いで、たくさんのアイデアを出し合って作り上げていきます。でも最も重要なのは、私たちが仲間として一緒にやるということなんだと思っています。そうすると、そこには大きなエネルギーが生まれて、パフォーマーとしてステージに立つときにもそこに愛が感じられるんですよ。

ビートは誰が作るのでしょう? ビート・メイキングのプロセスについて教えてください。
その時々に良いビートを作るひとがその曲のビート・メイカー。私たちと音楽づくりがしたいと名乗り出てくれた人とか、私たちがコラボレーションしてみたいと思える人とか。私たちがどんな雰囲気を求めているかによりますね。そのときの私たちの気分とか、世界に対して何を訴えたいかによっても変わります。ちなみに、私たちはいつでも新しいビートを探しているから、プロデューサーの皆さん、ご連絡を!

どのようにして歌詞をつけて、それをパート分けしてラップするのでしょうか?
私たちは集団なので、どのメンバーがその曲を作ったかによります。ビートを作った本人がメンバーの1人に聞かせるところから始まるときもあったり。グループ全体との話し合いのなかですべてが決まることもあります。例えば、「ÓGEÐSLEG」を作ったときは、アイスランドのプロデューサーiamHelgiからサンプル音源が届いて、メンバーそれぞれがその曲にあてるバースを考えていきました。それぞれに持ち寄ったバースをスタジオでミックスしたのがあのトラックというわけです。でも最新曲「Tista」ではグループのメンバー数人が作ったトラックを、後から分割していきました。もうちょっと曲を短くしたくて編み出した新しいやり方です。そう、だから、プロセスは楽曲と、その曲ができあがる背景によって変わってきますね。

歌はほとんどアイスランド語ですが、あなたたちが何について歌っているのかは伝わってきます。
これまで私たちが作ってきた曲は"よくある内容"からはかけ離れています。父親との関係や観光客、Tinder、政治家、愛、私たちのクールさ、セックス、そして資本主義世界の中で誇張された存在として生きることなど、その時々に私たちが感じていることを歌詞にしているんです。腐った政治家たちに対して怒りが収まらないときに書く歌は、社会的メッセージの曲になる。でも次の日には恋に落ちることを歌にしたいと曲を書きはじめたり。だからそこに制限はない。その時々に私たちが大切だと感じることを歌にしているんです。

なかには英語の歌詞もありますが、英語を使う理由は?
アイスランド語とは違う表現方法だからです。英語のほうが曲に合っていたり、響きが良かったり、気持ちがもっと的確に表現できたりするときがあるので。

あなたの憧れるミュージシャンは誰ですか? 聴いてインスパイアされた特別な思い出の曲などはありますか?
Steiny:音楽のヒーローはいないけど、最近はアイスランドのラッパー、GKRをよく聴いてる。GKRのこと、調べてみて。
Sigurlaug Sara:私はラップを、中でもとりわけトゥーパックを聴いて育ったの。父親の影響もあってね。そこからR&Bやヒップホップを聴くようになった。最近になって、自分がこれまでずっと女性アーティストの音楽を中心に聴いてきたんだなって気づいた。ローリン・ヒルやエリカ・バドゥ、ケレラ、エンジェル・ヘイズ、ビヨンセ、リアーナといったアーティストたちに強い影響を受けてきたの。私はソウルやR&Bに興味があるけど、他のReykjavíkurdæturメンバーたちが同じ音楽の趣味というわけではない。それぞれに違う趣味を持っていて、異なる音楽のジャンルを好きで、だからこそこのグループがダイナミックなんだと思う。

レイキャヴィクにはとても健全な音楽シーンがあるように感じられますが、どうなんでしょうか? レイキャヴィクの音楽シーンについて聞かせてください。
今、アイスランドの音楽シーンはとても盛り上がっていますよ。たくさんのバンドが海外で活躍しているし。男性中心ではあるけれど、それも変わっていくんじゃないかって期待しています。

ビデオはどのようにして作るのでしょうか? グループのメンバー全員がMV制作に参加するのですか?
大抵は自分たちで作ります。他のすべての作業と同じように、MV制作も毎回違うプロセスを踏んでいるんです。アートで学位を取ってるメンバーも多いので、クリエイティブなプロセスにはみんなで取り組むよう心がけています。

Reykjavíkurdæturの音楽を聴いて、何を感じ取ってもらいたいですか?
観客が求めるものに配慮するのはとても難しいですね。観客はショーごとに違いますし、だから全員を喜ばせるのは不可能。パフォーマーとして、人に影響を与えようとか、何かを体験させてあげたいとか、そういうことを考えるとキリがない。そうじゃなくて、自分が何をやりたいかを考えて、自分たちが言ってもらいたいことを言い、本能にしたがってパフォーマンスをすれば、きっとそのエネルギーは伝わる。ただ、ベストを尽くしたいんです。個人として、そしてグループとして、私たちをインスパイアしてくれることをやる——私たちのパフォーマンスから人々が何を感じ取ってくれるかは、観客ひとりひとりによると思います。

関連記事:thefifthsense.i-d.co
アイスランドが誇るガールズラッパー、レイキャヴィークルダエトゥール

Credits


Text Hanna Hanra
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

Tagged:
ICELAND
Rapper
HipHop
Reykjavíkurdætur
music interviews
icelandic rap
girls hiphop
girls rappers