ロンドン発の宅録シンガー:Anna Strakerインタビュー

すべてのエレクトロニック機材を自身で操り、エンジェリックなボイスで圧倒するアンナ・ストレイカー。ロンドンから登場したエキセントリックなポップ・シンガーが初来日。ベッドルームを飛び出した20歳の過去・未来とは?

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21 July 2017, 7:15am

エド・シーランの「Shape Of You」のカバー動画で一躍センセーションを巻き起こしたアンナ・ストレイカー(Anna Straker)。20歳という若さながら、すでに豊富な業界経験を持つ彼女が、BACARDÍ主催の"Over The Border"のローンチパーティ出演のため来日。ロンドン以外では初となるステージへと上がる直前に、宅録ポップ・アーティストとしての心情を伺った。

初めての東京はどうですか?
とってもクレイジーね。今回の来日はビデオ撮影していたときに「東京に行くことになったよ!」ってメールを受け取って知ったの。以来ずっと興奮しっぱなし。小さい頃から日本のカルチャーにはすごく魅せられてきた。大きな靴やクレイジーなヘアスタイル。映画やアニメでしか観ることのできない日本のファッションは西洋とはまるで違っていた。今朝はさっそく原宿に行って、クタクタになるまで歩き回ってショッピングを楽しんだわ(笑)

あなたの経歴を調べていたら、2011 年に14歳で「The Showroom's Got Talent」というコンテストで優勝したそうですね。
わっ、それを発見したとはすごいわ(笑)。7歳頃からピアノのレッスンを始めて、当時は奨学生として音楽学校に通っていたの。でも学校というのがどうにも私の性格には合わなくて……。あのコンテストのパフォーマンス映像を観たプロデューサーから声をかけられたこともあり、自分で歌と演奏をやろうと決心した。ポップ・アーティストを目指すことにしたの。

そのプロデューサーというのがジャミロクワイやエリー・ゴールディングを手がけるマイク・スペンサーですよね。
ええ、彼は師匠のような存在よ。色々と教えてもらったし、素晴らしい環境を提供してくれた。

イヤーズ&イヤーズやルディメンタル、ジョン・ニューマンなどの作品に、バックボーカルで参加していたのもその流れで?
自分で曲を書き、いつかアーティストとして成功したいとは思っていたけれど、その前に、音楽制作の現場を知っておくことも大切だと考えていた。彼のおかげで、いろんなレコーディングの現場に立ち会うことができたし、業界の内部を覗き見ることができたわ。

その時点では、もう自分でエレクトロニック楽器を操り、プロデュースを手がけていたのですか?
ある程度はね。学生時代から時間があればいつも部屋に閉じこもって、ひとりでパソコンや機材をいじっていた。ワンマンで音楽制作するには、エレクトロニックを使えば本当にいろんなことが可能になるでしょう。今もまだ学んでいる最中だけどね。

エド・シーランの「Shape Of You」をPocket Operatorsを使ってカバーした映像をアップして話題になりましたよね。
すごくクレイジーな反響だったわ。たしか250万viewとかじゃなかったかしら。でも著作権の関係でFacebookからは削除されてしまって。でも、YouTubeなら今でも観れるはず。あの演奏に使ったTeenage Engineeringというメーカーの小さな機材は、クロージング・ショップのCheap Mondayで見つけたの。両者のコラボ製品だったらしくて、レトロな8ビットのゲームみたいなサウンドが、すごく面白いって興奮して、直接メーカーに「ビデオを作るから貸してもらえないかしら?」ってメールしていたわ。あのカバーの反響がクレイジーになってからは、色んなタイプを送ってくれた。ひとつひとつが、シンセやベースなど異なる楽器の役目を果たすの。使いこなせるようになるにはけっこう時間がかかるけど、こういう作業って私は大好き(笑)

例えば、どのような音楽の影響を受けてきましたか?
幼い頃はR&Bが多かった。ピアノを弾いてたから、アリシア・キーズなどに憧れていたわ。その後、シンセやエレクトロニック・ミュージックを聴くようになって、レディオヘッドなどのギターバンドも発見した。私の音楽はそれらのジャンルが混じり合っている感じかしら。最近、すごくハマっているのがケイト・ブッシュ。彼女の作るメロディは、本当に奇妙で変わっていて、素晴らしい。あとLordeも同世代だし気になるわ。

歌っているときのエンジェリックな声と、話し声とではまた違っていますよね。
ええ、確かにそう。えっ、でもそれって私の話し声が酷いってこと?(爆笑)

いえいえ、そういう意味じゃなくて……(苦笑)
ええ、分かってるわ(笑)。年齢と共に声も変わっていくし、歌っているうちに、声も成長していくものだと思う。最初の頃は、もっとクラシック調の歌い方をしていたの。オペラ的とでもいうような。でも今は、あなたの言うように、もう少しエンジェリックになってきた。次のシングルではまた違った感じで、ほとんどトーキング調なの。あ、でもグライムではないわ(笑)。でも、もっとヒップホップ調。いつも違うこと、新しいことに挑戦したいと思っている。音楽を作るのも、やはりそれが一番の理由でしょう。

新曲についてもう少し詳しく教えてもらえますか?
タイトルは「Ignite Me」。今回日本に行くと知ったとき、絶対に日本でビデオ撮影をしたいと思ったの。だから今夜のパフォーマンンスも撮影するし、日本のフッテージで構成したビデオを作る予定。アートワークも日本を意識しているわ(と、ジャケ写真の下書を見せてくれる)。

ピンク色がクールですね。
でしょ、ピンクが大好きなの。

ヘアスタイルもいつもとは違っていますよね。
そうなの。日本だからというのもあるし、ちょっと違った感じにしたいと思って。友人に頼んでやってもらったんだけど、エクステを編み込むのに5時間ほどかかった。音楽もそうだけど、ファッションに関しても常に実験的でありたいから。

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Credits


Photography Takao Iwasawa
Text Hisashi Murakami