荒木経惟の個展「机上の楽園」がパリにて開催

現実と虚構、エロスとタナトス、その両端の要素を等価に並列しそれを渾然一体にとらえることで写真行為の本質を問いかける荒木経惟。タカ・イシイギャラリーのパリスペースにて新作を発表。

by i-D Staff
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09 September 2016, 4:17am

© Nobuyoshi Araki / Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography Paris

自身を取り巻く人や物事、私的関係を被写体にすることによって「私写真」という新たな写真世界を開拓してきた写真家・荒木経惟。「私小説こそもっとも写真に近いと思っている」と語る荒木の写真は初期から一貫して、その眼に映る全てを被写体としながら被写体を通して心象風景を重ね、そこから立ち現れる「センチメンタル」を映している。

その「センチメンタル」を表した彼の代表的なモチーフのひとつに"楽園"がある。本作「机上の楽園」は楽園シリーズの最新作であり、妻陽子の死後、自宅のバルコニーを廃墟の楽園に見立て、そこにオブジェを並べて撮影した「Aノ楽園」(1998)、東日本大震災直後に、極彩色の花と怪獣のフィギュアを並べて撮影した作品「楽園」(2011)、女性のヌードとオブジェで構成された「It Was Once a Paradise」(2012)、人形と枯れかけた花を撮影した「楽園は、モノクローム」(2015)に次ぐ作品群である。

今回、タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー パリで開催される個展「机上の楽園」では、6×7のポジフィルムで撮影した新作のカラー写真23点が展示される。本作品は、ストーリーを作るのではなく、即物的に、気に入ったものを置き被写体とし、移り変わる空を撮影するように、身近に接している私的なオブジェを日記のように捉えている。それはまるで衰えては活気付く彼自身の心象を映しだしているようだ。以前、荒木は楽園についてこう語っている。「要するに、あの世が楽園だっていうこと。少女、天女が犯されてたり、首が転がってたりするだろ? 天国ってのはね、いつも言ってるように、天国の中に地獄がないと天国にならないんだよ」。荒木の楽園はパリの観衆にどう映るのだろうか。

© Nobuyoshi Araki / Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography Paris

荒木経惟 「机上の楽園」
会期: 2016年9月15日(木) - 10月29日(土)
会場: タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー パリ
オープニング・レセプション: 9月15日(木)18:00 - 21:00
takaishiigallery.com

© Nobuyoshi Araki / Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography Paris

Credits


Text Tatsuki Nakata

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