女性であることについての覚書き:映像作家アルマ・ハレル

スーパーボウル中継で放映された、あらゆる人が肯定されるコカ・コーラのCMを手がけたことでも記憶に新しい、イスラエル系アメリカ人の映像作家アルマ・ハレル。「Free the Bid」創設者の彼女が考える「女性であること」。

by Tish Weinstock; translated by Atsuko Nishiyama
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08 February 2018, 8:30am

私は正しく「女」できてる? あなたと私のやり方の違いは? それってそんなに大事なこと? 「女性として生きること」をめぐる不確かな思いは、ときに誰しも感じるもの。「Notes On Being A Woman(女性であることについての覚書き)」は、女性であることの意味やそれにまつわる神話について考える、進行中のシリーズ。

アルマ・ハレルはイスラエル系アメリカ人の映像作家。彼女の作り出すロマンチックで夢のようなストーリーは、想像と現実の間の未知の領域に存在する。人類の普遍的な物語と個人的な失恋の痛みを描く長編ドキュメンタリー『LoveTrue』や、2011年のトライベッカ映画祭でドキュメンタリー長編映画賞を受賞した『Bombay Beach』、そしてもちろんi-Dの「The Fifth Sense」キャンペーンのために監督し、カーシー・クレモンズとリサ・ボネットが出演した、Chanelの香水No.5をめぐる官能的な短編「Jelly Wolf」などの作品で知られている。
それだけでなく、彼女は長年にわたり広告とコマーシャルの分野で仕事をしてきた。そしてその業界を、いまだジェンダー・バイアスのはびこる場所と感じている。その状況に揺さぶりをかけようと、彼女は2016年に「Free the Bid」を創設。広告業界の女性ディレクターたちによる仕事を支持することが使命の、非営利イニシアチブだ。すべてのコマーシャル制作の監督を決める段階で(訳注:通常、広告代理店が推薦する3人の候補から企業側が選ぶ)必ず1人は女性のディレクターが含まれることを目指している。彼女が監督し、スーパーボウル中継で流れたコカ・コーラの60秒CM、その豊かで鮮やかなヴィジュアルは記憶に新しい。同CMは、出演者の多様性とジェンダー・ニュートラルな一人称を使用した包括性が話題となり、ニュースにも取り上げられている。全米監督協会賞にノミネート経験もあるハレルが、「女性であることについての覚書き」を教えてくれた。

Byron Bowers

女性であることについてもっとも気に入っているのは:それが、何かの受け手や誰かの目的であることから、主体性を持った人間へと変わっていく、人生をかけた旅だということ。その中で直感を磨いていくこと。常に何かに「なる」途上の状態であること。

女性として生きる上でもっとも大変なのは:「あなたの価値は、男性たちがあなたにどんな判断を下すかにかかっている」と言われ続けるこの世界で、自分で自分の価値を見出すこと。

人間の体について今までもらった最良のアドバイスは:いつまでもあるものじゃないから、持っているうちに使いなさい。動かせる体を持っていることの奇跡を知りなさい。

16歳の頃、ひどく誤解していたことは:時間はいくらでもある、ということ。

女性であることについて学んだ中でもっとも予想外だったことは:他の女性たちのことを受け入れ始めると、その問題がぐっとリアルになる。

女性であることについて歌ったお気に入りの曲は:シャーデーの「It’s Only Love That Gets You Through」。この曲は大人の女性のための子守唄みたい。イスラエルのネゲブ砂漠にある小さな町ミツペ・ラモンに住んでいたときは、夜に月を眺めながらこの曲をよく聴いてた。

もっとも尊敬する女性は:笑わせてくれる女性たち、有色人種の女性たち、かつては男性だった女性たち、口紅を1本しか持っていなくて、私より人生を楽しんでいる年上の女性たち。他のビッチたちのために戦うビッチたち。

歳を重ねることのもっとも良い点は:仕事や他のやるべきことが、上手くできるようになる。自分を愛してくれる人たちのことを、愛せるようになる。

歳を重ねることにまつわる最大の嘘は:それが誰にでも起こるということ。若いうちに亡くなる人もたくさんいる。歳をとれるということに、もっと感謝すべきだと思う。

大人になったと感じるのは:バカな野郎どもに付き合って、時間を無駄にしなくなったこと。

がもっとも幸せなのは:自由を感じるとき。監督として働いたり、アートを作ったりしているとき。仲間といるとき。久しぶりにヘブライ語で話すとき。砂漠にいるとき。受け取ったものへのお返しができているとき。私の犬の眼をのぞき込んでいるとき。

愛の香りは:フムス。違う、今のは消して。春が来たときの私のプッシー(性器)の香り。

(前回このシリーズに登場した)モデルで女優のアンバー・ヴァレッタからの質問「仕事以外で、あなたの人生に喜びをもたらしてくれるものは何ですか?」:愛する人たちと過ごす時間。ボーイフレンドの出演するショーを見に行くこと。彼はコメディアンなの。ネタの中ではいつも私たちの生活をまったく違ったレンズで見ることになって、私は自分のことも笑い飛ばせてしまう。知らない人と話すこと、眠ること。写真を撮ること、料理、できあがりの良し悪しを気にせずに絵を書くこと。私が非営利で運営する「Free The Bid」は、自分が応援したい女性のディレクターたちへの愛を示すことができる、いちばん楽しい手段。それから犬と一緒に砂漠の冒険に出かけて、別の惑星にいるようなフリをするのも楽しい。

次にこの連載に登場する女性への質問は:冷静さと活気づけ、どっちを取る? 別の言葉にすると……「あなたは好きなことができる」と思わせてくれる人? それとも、それは難しいと言う人? 私はいつも頭の中で、その両方に感謝してる。

Credits


Photography Alma Har'el

This article originally appeared on i-D UK.

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