新田真剣佑インタビュー:真剣佑は砕けない

渋谷の人混みの中、好奇の視線から逃げるように走るたくましい背中。カメラが追いかけると、固く結ばれた唇と、射るような強い眼差しを向けてくる。今、オファーが絶えない最も旬な映画俳優、新田真剣佑。20歳の彼が見据えた、“未来”と“今”はどんな景色なのか。

|
okt 25 2017, 5:38am

真実の剣を持って人の右へ出る者ーー国際的な大物俳優である父親からそう名付けられた20歳の男の子は、初対面でもその恵まれた出自を感じさせるような堂々とした空気をまとって、待ち合わせ場所に現れた。「新田真剣佑です。よろしくお願いします」。年齢より大人っぽく見えるのは、クッキリした端正な顔立ちとパンプアップされた肉体、そしてこのよく通る声のせいだろうか。彼が入った途端、メイクルームが急に狭く感じるほどその場の空気が変わるのがわかる。

ルックスで圧倒的な存在感を放ちながら、フィッティング中には「僕、日本の芸能界で一番代謝がいいんです」と軽口を叩きつつも、真夏の炎天下にヘビーな衣装を着せることに恐縮するスタッフへ気遣いをみせる。「自分の土俵ではなかったので、やりにくかったです。難しい」と照れながらも、インタビュー前の撮影ではハイエンドなルックを難なく着こなし、"夏休み期間中の渋谷駅前"というハードルの高いロケーションでも器用にくるくるとポーズをとっていた。

MACKENYU WEARS ALL CLOTHING SAINT LAURENT BY ANTHONY VACCARELLO.

「ファッションには……あまり興味ないです。現場では衣装に着替えるので楽な格好でいきますし。本当に芝居以外のことにあんまり興味がないんです」。器用なのか、不器用なのか、とらえどころのない多面性はまだ20歳という年齢のせいだろうか。「20歳になって、大人になった実感は全くないです。17歳のときの方が大人でした。日本の若い子って……少し子どもっぽいじゃないですか。アメリカでは大人の世界なので」と17歳まで暮らしたアメリカ時代を振り返る。「周りにすごく影響を受けるタイプなので、日本に来てから、殻を破ってハジけちゃってます」と自己分析し、日本での生活をマイペースに楽しんでいると思わせながら、「こっちは役者を大事に扱いすぎているな、と感じます。"様様"扱い、良くないと思います」と語る冷静さも合わせ持つ。

役作りは、まずビジュアルから。撮影の準備期間に入ると毎日のように行うトレーニングは「完全に仕事」と割り切っているという。「計算ができないので。外から入って『こういう外見なんだ、じゃあ中はどうしよう』って。体を動かすのは好きじゃないので、休みの日は極力じっとしています(笑)」。映画『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』、『パシフィック・リム:アップライジング』では鍛えられた肉体を披露しているが、「自分の体には好きなところがない」と突き放す。「顔も体も好きじゃないけど、芝居で使えるところはキープしたいです。ぜんぶつながっていくと思うから。あまり自分のこと好きじゃないぶん、客観的に見れていて。『どこか人と違うところで勝負した方がいいんじゃない?』っていつも自分に言い聞かせてます」

ALL CLOTHING LOUIS VUITTON.

芝居以外のことでは自分にも他人にも興味がない、とクールに語る一方で、「同世代の役者はライバルとして誰も意識したくないです。敵じゃないし」と優しさも垣間見せる。現場では共演者よりもスタッフと仲良くなることが多いという。そんなエピソードから、自分を作り手側の人間と捉えていることがうかがえる。「悩みは誰に相談する?」「年上の役者の先輩に演技の相談をするのは気負うので自分で解決します」「気分転換は?」「人の芝居を見ます」……。プライベートの質問を投げ
てもすべて芝居絡みの答えが返ってくるのは、はぐらかしているわけではなく、根っからの"演技オタク"なのだろう。休みの日も映画を観て過ごし、1日3本はしごすることもあるという。「人のプライベートにはまったく関心がないですが、芝居の上ではあるんです。この人、演じたらどうなるんだろう、って。最近は『君の膵臓をたべたい』の北村匠海に号泣しました。あと『ジョジョ……』で共演したものの同じ撮影シーンがなくて残念だった、山田孝之さん! 頭の中、見てみたい!」10年後も役者でい続けたい、と語る彼に一番の目標を聞くと「ヒューマンな作品に出たい。芝居で人の心を動かしたい」と即答。「そのためには"いい役"に巡り会えるか、というのが大きいですけど。今、悪役をやってるんですが、違う角度から自分を見られるので面白い。いろんな役に挑戦したいです。悪役でも、いろんな悪がある。悪の中にも正義があるときもあるし」

ALL CLOTHING LOEWE.

「芝居してるときが一番楽しい。芝居で人を泣かせることに喜びを感じます」と真っすぐな熱量で"今"について語る新田真剣佑。監督業や脚本にも興味津々で、「作る側になって『芝居しかできない』人を集めて、何かやりたいです。自分の頭の中も見てみたい(笑)」

Credit


Photography Yoko Kusano
Styling Ryota Yamada
Text Wakako Shudo
Hair And Make-Up Yusuke Kasuya
Styling Assistance Koichi Nishio