水の力を讃えるデニス・アリアナ・ペレスのヌード写真

ドミニク人フォトグラファーの最新作『Agua』は、湖、川、海を守り、自然のなかに平和を見出すための、私たちに宛てた招待状だ。

by Megan Wallace
|
28 April 2021, 11:53am

人間の体の約6割は水でできている。しかし、人間の海、湖、川への接し方を省みると、私たちがこの事実になんの関わりもなく、そもそも意識すらしていないのではないかと思わされる。世界では年間約180億ポンド(約82億キロ)ものプラスチックごみが発生していると推測されている。

恐るべき自然破壊と無関心が蔓延する現状に警鐘を鳴らすべく、バルセロナを拠点とするフォトグラファー/ライターのデニス・アリアナ・ペレスは、初の写真集『Agua』を制作した。

タイトルからもわかる通り、本作は水に捧げられた作品だが、水に本当の意味で魅力を感じるようになったのはつい最近のことだ、とデニスはZoomで語った。

 「島国(ドミニカ共和国)で育ったのに、ほとんど水との関わりを持たなかったのは皮肉なことですよね。周りを水に囲まれていたのに」と彼女は微笑みとともに打ち明ける。かつては無関心だったが、成長するにつれて水の魅力は無視できないものになっていった。「私から語りかけたことはなかったけれど、水のほうから私に語りかけてきたんです」

two men holding each other in a waterfall

水からの呼びかけは、耳障りな叫びというより小さなささやき声から始まった。アフリカの男性性を探るプロジェクトを進めるかたわら、彼女は水の中で被写体を撮影するようになった。水の滑らかさや流れが「体裁を取り去ってくれる」と彼女は語る。

湖や川の周辺で写真を撮り溜めるなかで、彼女は自分が水辺に惹かれるもっと大きな何かが存在することに気づいた。しかし、当時はそれが何かわからなかったという。最終的に彼女は「水を追いかける」ことを決め、それが「自然と積極的に対話をしたら何が起きるのか」という疑問を追究するプロジェクト〈Agua〉へと発展していった。すると、自然は予想もしなかった方法で応えてくれたという。

多様なジェンダーや人種、体験を有する人びとが、水との静かな交流のなかで体をさらけだす本作は、人間は必ずしも自然と対立する必要はない、ということを思い出させてくれる。

しかし、この静けさの下では、より複雑な想いが水面まで泡となって浮かび上がってくる。「誰もが落ち着いて水中を漂うことができるわけではない」とデニスは明言する。「水は時に力強く、暴力的にもなります」

デニスの撮影プロセスにおいて重要なのは、モデルたちに水中での身体的な戸惑いや不安を一時的に克服してもらうことだ。「モデルがリラックスして(水と)つながることができるように、よく手を握ったり呼吸を合わせたりしています」とデニス。

結局、水の脅威とは、未知の深みや変わりゆく潮流だ。それは人間の力が遠く及ばない領域であり、私たちはそれに抗うのではなく、受け入れるべきなのだ。

two legs floating in misty turquoise water

本作を制作するにあたり、デニスはアフリカ最大の湖ヴィクトリア湖からデンマークの氷海まで、世界各地を訪れた。旅を通して、彼女は水質汚染の衝撃的な現状を目の当たりにした。

「ヴィクトリア湖の周辺は特に汚染がひどく、プラスチックだらけでした」と彼女は回想する。「とても恐ろしい光景でした。それに順応しているひともいれば、壊滅的な状況に陥っているひともいます」

より直接的にこの問題に取り組むべく、『Agua』の売り上げの10%は、サハラ以南のアフリカの孤立したコミュニティへの清潔な水、下水処理、衛生管理プログラムの供給によって水危機に対処する慈善団体〈FACE Africa〉に寄付される。

しかし、特筆すべきは『Agua』がより全体論的な観点からも水質汚染の問題に取り組んでいるということだ。自らを取り巻く自然を記録するうえで「悲劇的で被害者的な」視点は排除し、デニスはプロジェクトを通して、あえて幻想的なオアシスを創りあげた。

「もちろん、干ばつやプラスチックごみの写真を見てもらうことも大切です。でも、そういう写真は無視されやすいという側面もある。誰も問題について話し合おうとしないので」とデニスは語る。「人びとが(この問題を)意識せずにはいられないようにするには、もっと感覚的なもの、もっと積極的な水とのつながりが必要なのかもしれません」

つながりへの意識を呼び覚ます『Agua』は、必ずしもアクションの呼びかけではなく、私たちに宛てた〈招待状〉なのだ。

a woman stood in misty turquoise water holding a glass vase

水の中で美しい自然を享受する人間の姿を通して、私たちはこれまで蔑ろにしてきた湖、川、海への慈しみの心を育むよう求められている。水中を穏やかにたゆたう人びとのポートレートは、人間が自然との持ちつ持たれつの関係を受け入れる、人新世に代わるもうひとつの現実を想起させる。

 作品を通して普遍的な感覚を生み出しながら、デニスは、私たちは人間が生まれるずっと前から、そして滅びた後も存在し続ける広大な生態系のほんの一部に過ぎないと訴える。本作の題辞を引用すれば、「私たちは皆水から生まれ、歩いたり話したりする前に、水中を漂っていた」のだ。

 

『Agua』の購入はこちらから。FACE Africaについての詳しい情報、寄付はこちら

a man floating in dark pink water
an older woman with grey hair floating in water
two hands outstretched over dark red water
a naked woman pours a jar of water back into a body of light blue water
a man with bleached blonde hair and a turquoise robe lowers his hand into dark orange water
two topless men wearing white robes rest on a white horse slightly submerged in water
a woman drops her hair into a body of water with leaves and flowers in it
the back of a man's head and a hand resting on his shoulder looks towards a body of water

Credits


All images courtesy Denisse Ariana Pérez

Tagged:
Environment
nudes