2度目の緊急事態宣言が発令され数ヶ月たつ今、東京のクラブが思うこと

2度目の緊急事態宣言が発令され数ヶ月が経ち、解除された東京。様々な産業が痛手を負う中、クラブも決して例外ではない。過酷な状況にあるクラブの現状について東京の三つの小箱、東間屋、下北沢SPREAD、翠月-Mitsuki-に話を聞いた。

by Kazuki Chito
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02 April 2021, 7:38am

2度目の緊急事態宣言が発令され数ヶ月が経ち、解除された東京。ニュースなどのメディアでは医療現場の崩壊や飲食店が多大なダメージを受けていることが日々報道されている。しかし、痛手を負っているのは医療現場や飲食店だけでは決してない。クラブ、特に「小箱」と言われるような小規模なクラブは営業にあたり、かなりバッドな影響を受けてしまっている。先が見えない今、東京の小箱たちは何を思うのだろうか。今回は東間屋、下北沢SPREAD、MITSUKIの東京にある3つの小箱にクラブの現状について、私たちができることについて話を伺った。

東間屋


回答者: 影山文美さん(スタッフ)

2度目の緊急事態宣言を受けてなにを思いましたか。

今はお店を完全に閉めているんですが、このコロナの状況を受けて仕方がないという気持ちと、もどかしいという気持ちと半々でいます。去年の一度目の緊急事態宣言の時から、これから暫くは苦しい事態が続くということは覚悟していたのですが、いつものお店やパーティーの雰囲気が素直に恋しいし、寂しいです。


運営形態や活動に変化はありましたか?

今はお店を開けることができないので、再開した時にお店をアップデートできるよう色々と試しつつ、去年から始めたグッズ販売の商品を増やしたりなどしています。東間屋は日本酒に力を入れているので、最近ではお世話になっている酒造さんとコラボして、オリジナルラベルの日本酒をリリースしたりしました。日本酒作りに携わる酒蔵さんや農家さんも現在厳しい状況に置かれているので、そういった方々への応援を兼ねたコラボ日本酒です。


コロナ前と今で日本のクラブカルチャーやシーンに違いは出てきたと思いますか?

コロナ以前からクラブシーンで起きていた様々な現象の濃度が一気に上がったというのはあると思います。元々クラブに行く習慣がなかった人は、社会的にも気持ち的にも今まで以上にクラブから遠のいてしまったと思うし、一方でシーンの深いところで以前から活動していた人達は、協力し合ってこの状況でも出来る面白いことを模索しています。コロナ禍を切り抜けるために従来のクラブ・パーティーのあり方以外でできることを追求した結果、これから段々と新しいスタイルが生まれていくのかもしれないなと感じています。

私たち、オーディエンスはどのようにクラブをサポートしたらいいでしょうか?

どのお店も、手探りしながらそのお店にできることに一生懸命取り組んでいると思います。好きなクラブやDJバーがあるなら、そのお店が挑戦したり試していたりすること対して、できる範囲で構わないので反応したり、参加してくれるとありがたいです。そして政府がクラブを含めた文化・芸術支援に対してどのような姿勢をとっているかを気にかけてもらえたらと。あとはもう純粋に、パーティーに遊びに行った時の、クラブのあの一番最高な瞬間をいろんな人が忘れないでいてくれたらなと思います。まだ知らない人には、今度ぜひ味わいに来てもらいたいです。早くまたみんなで乾杯したいですね。

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下北沢SPREAD

回答者:安場陸さん(店長)

2度目の緊急事態宣言を受けてなにを思いましたか。

コロナの影響で変化した社会のモラルやルールになんとなく頭も体も慣れてきた頃だったので、改めて日常生活の現実感がなくなってしまいました。お店はコロナ禍にオープンしすぐに営業自粛、9月にようやく営業を再開したばかりでいろいろな形が見えてきた最中でした。その流れを切らしたくないという思いが自分だけでなくスタッフ一同強かったです。

運営形態や活動に変化はありましたか?

近隣店舗の営業時間との兼ね合いもあり時短での営業が厳しいため、現在お店は休業しています。前回の緊急事態宣言中は『VIDEO SERVICE “AMUESEMENT”』という、総勢115組、30日間連続での配信プログラムを行いましたが、今回はその第二弾としてSPREADは勿論、自分たちと関わりの深い都内外のクラブやスペースにスポットを当て、DJプレイやライブだけでなくトークなども交えた番組を配信します。2/24から配信をスタートしているので是非皆様に観ていただきたいです。


コロナ前と今で日本のクラブカルチャーやシーンに違いは出てきたと思いますか?

自由にどの時間でも遊ぶことができない制限下で、クラブやライブハウスという場所の捉え方は変わってきていると思います。勿論好きなアーティストを観にいくといった目的意識はコロナ以前と以降で変わらない人もいますが、それ以上に自分以外の誰かと時間や体験を共有できるという場所としての機能を再認識している人も多いのではないのでしょうか。個人的な捉え方かもしれませんが、パーティやイベントの一回性が強まっているような印象を受けます。


私たち、オーディエンスはどのようにクラブをサポートしたらいいでしょうか?

皆が意識的、無意識的にストレスを感じているこの状況で何かをサポートするという考え方は簡単にはできないと自分は考えています。守るという考え方だけではなく、自分の大切な場所や人、時間を増やしていく為に何ができるのかを考えることもとても大事なことだと思っています。自分とその場を共有する人が身体は勿論、心も健康でいられる為にどうすべきか、運営側も個人も考えていくことが結局一番大切なことに感じます。

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翠月-Mitsuki-

回答者: YAMARCHYさん(ディレクター)

 

2度目の緊急事態宣言を受けてなにを思いましたか。

予め組んでいて楽しみにしていた企画を中止、延期せざるを得なくなってしまった事に対してのショックと、お店の維持と、自分を含めスタッフの収入減による生活の不安を思いました。ただ一度目と違う内容ではあったので、その中で出来ることはあるなとすぐ切り替えました。

運営形態や活動に変化はありましたか?

1度目は完全に営業ができなかったので、その中でも発信を止めないためにMITSUKI RADIOというサイトを開設し、トークやmixを配信しました。そのサイト内でTシャツなどの物販をして売上につなげていました。今回は20時までの営業が可能だったので土日のみデイイベを企画し、初めは苦戦しましたが徐々に定着してきたことでお店の維持に繋げることができました。

コロナ前と今で日本のクラブカルチャーやシーンに違いは出てきたと思いますか?

やはり、海外アーティストを呼べなくなってしまった点は大きいと思います。もちろん国内にも素晴らしいDJは沢山いますが、自分自身海外のDJから影響を受けたことは多々あったので、みなさんもそうかと。あとは世間からクラブに対してのイメージが下がったことで、クラブ離れした方が多く、終息後に戻ってきてもらえるかが心配です。

私たち、オーディエンスはどのようにクラブをサポートしたらいいでしょうか?

サポートしてもらおうという意識はしたことがないですね。もちろん現場に来ていただくことを望んでいますが、自由に集まる場所がクラブだと思いますし、お店側がいい音楽と、いい場所と、いい飲み物を提供することでオーディエンスが自然と集まってお店が成り立つので、サポートを望むよりいい空間を作ることを考えています。タフな状況下にあることはどのクラブも変わらないと思う。しかし、小箱たちが今ある条件のもとでクリエティブな楽しみ方を様々な形で提供してくれていることは今回のインタビューでわかったと思う。行き先の見えない状況下で何かを生み出そうとするのは苦しくもあるだろう。しかし、小箱たちができる限りのことをしてくれているのなら、我々はそこへ楽しんで「参加」していくということが我々にできることなのかもしれない。

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