ベストモーメント楽天ファッションウィーク東京 AW21: UNDERCOVER

51のブランドが参加した2021年秋冬シーズンの東京ファッションウィークが幕を閉じた。UNDERCOVERによる19年ぶりとなる東京での単独ショーから、若い世代に希望のメッセージを伝えたsulvamのランウェイまでを振り返り

by Tatsuya Yamaguchi
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31 March 2021, 5:37am

3月上旬に発令された緊急事態宣言の再延長は、私たちがパンデミックの渦中に生きている緊張状態にある現実を、改めて打ち付けられる出来事だった。が、3月20日に終幕した2021年秋冬シーズンの楽天ファッションウィーク東京には、未来を夢想し、不安定な時節でも大切にしたいモーメントがいくつもあった。これもまた、東京のファッションシーンにおける希望に他ならない。

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UNDERCOVER


リアリティとファンタジーが織りなす痛烈なエネルギーで、人々が抱くアンビバレントな感情を刺激したのは、楽天がサポートする「by R」プロジェクトに参画してメンズ&ウィメンズのショーを行ったUNDERCOVERだ。

19年ぶりとなる東京での単独ショーは、仄暗い空間に無数の光が差し込み、うつむきながら裸足でさまよい歩く少年少女が現れて始まった。ゲストは高橋盾によるダークな幻想の世界に瞬く間に誘われていく。メンズは、全てが「エヴァンゲリオン」と協業したアイテム。同作のキャラクターのシンボリックなエッセンスを抽出し、パジャマやパフジャケット、コートといったリアルなアイテムにのせていく。BGMは、宇多田ヒカルの『桜流し』をMars89がリミックスしたものだった。

ひと時の暗闇の後、高橋と親交の深いトム・ヨークが原曲よりもスロウなテンポでリミックスした『Creep』が会場を包み、ウィメンズのショーへとなだらかに移行した。

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耽美的なヘアに、目の下にラメが散りばめられた偶像性のあるモデルが歩みを進めていく。無数の光が天井を埋め尽くす明瞭な転換によって、私たちはさらに、ファンタジーの内側へと引き込まれていった。薔薇のモチーフで覆われたフリルジャケットや蛾のテキスタイルによるセットアップ、ことさら目を引くタキシード風ジャケットにはカットジャカードのフリンジの生地を使用したワイドパンツを合わせていた。フィナーレ。ジャケットとボリューミーなラッフルによる造形的でドラマチックなルックが、鮮明なカラーパレットとともに連続した後、静謐にショーが終わった。

コレクションノートには、「今の時代、常に相反する感情を抱えて生きている全ての人々に向けて作った世界観です」と綴られていた。この十数分間は、いっときの旅のようだった。不安感を抱く一方で、できるならばより良くありたいと純粋に願う、私たちの現在形の心をまざまざと表現し、現在が過去になった未来を想像させる強烈なパワーがあった。これはきっと、ファッションの力なのだ。