最高の相性で観客を魅了した映画カップル9選

ハリウッド全盛期の名作から最新作まで、真に迫る演技で観客を熱狂させたカップルを紹介する。

by Douglas Greenwood; translated by Nozomi Otaki
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18 April 2022, 8:00am

Image credit, right: Marilla Sicilia/Archivio Marilla Sicilia/Mondadori Portfolio via Getty Images

最新作の『THE BATMAN-ザ・バットマン-』が気に入ったひともそうでないひとも、否定できないことがひとつある。それはキャットウーマンとバットマンの関係が、スクリーン上でほんのひと握りの俳優しか捉えることのできない、ある種の稀有な性的エネルギーを発していることだ。

恋人を演じた俳優たちが、恋愛の〈素材〉を突き止めることに失敗した例は、挙げれば切りがない。彼らの多くは、その恋に現実感を持たせる、深く胸をえぐられるような感情に触れることなく、ありきたりなロマンスの特徴を再現するだけだった。しかし、ロバート・パティンソンとゾーイ・クラヴィッツは、どこか憂うつで刺激的な〈バイセクシュアル・パニック(性別に関係なく性的な魅力を感じること)〉を引き起こした。スクリーンの外でも、ふたりのケミストリー(相性)は、強くセクシーに抱きしめ合う雑誌の表紙に見出すことができる。

このふたりをはじめ、私たちのスイートスポットを刺激する俳優カップル9組を紹介する。

『THE BATMAN-ザ・バットマン-』のバットマンとキャットウーマン(ロバート・パティンソンとゾーイ・クラヴィッツ)

まずはこの記事を書くきっかけとなったカップルから始めよう。このマット・リーヴス版『バットマン』で、ロバート・パティンソンとゾーイ・クラヴィッツは、各々のやり方で復讐を目論む、動物的なヴィジランテ(自警団)を演じた。彼らの対立とつながりはふたりを理想的でロマンチックなカップルに仕立て上げた。現代のカルチャーにおいて憧れの的となっているふたりの俳優は、その関係性を完璧に描いている。シリーズ過去作では性的描写は極力排除されるか(それでもノーランの三部作は傑作だ)、コミック感が強すぎてあらゆるリアルな動きが安っぽく感じられたいっぽうで、この『ザ・バットマン』は、お互いしか頼る相手がいない、途方に暮れた、セクシーなふたつの魂が出会う傑作だ。

『アリー / スター誕生』のアリーとジャクソン(レディー・ガガとブラッドリー・クーパー)

波乱に満ちた関係の始まりと崩壊を描いた『アリー / スター誕生』で、レディー・ガガとブラッドリー・クーパーはその浮き沈みを完璧に表現した。時に熱く燃え上がり、時には完膚なきまでにめちゃくちゃになるが、後述のオスカーとジェシカと同様、ふたりが完璧なカップルになったのは〈選挙運動〉のおかげだ。プレスツアー中のガガがブラッドリーに向ける視線から、アカデミー賞授賞式での情熱的なパフォーマンスまで、ふたりの関係は、ブラッドリーがインタビューで改めて交際を否定しなければならないほど真に迫るものだった。実際には交際していなかったが、ふたりは私たちにそう信じ込ませるほどの名優だった。

『アデル、ブルーは熱い色』のアデルとエマ(アデル・エグザルホプロスとレア・セドゥ)

主演のふたりが撮影中の地獄のような時間について打ち明けた今、この作品のすばらしいところを手放しで褒め称えることはできない。しかし、10代の少女と歳上の女性が暴力的なまでに激しい恋に落ちるこの作品全体の中心となるふたりの関係がここまで真に迫っているのは、主演ふたりの演技力のおかげだ。約3時間の本作で、アデルとレアが演じるアデルとエマは、観客がうらやみ、同時に結末に不安を覚えるような、圧倒的にセクシーでロマンチックなエネルギーを放っている。

『クイーン&スリム』のクイーンとスリム(ジョディ・ターナー=スミスとダニエル・カルーヤ)

初デートが正当防衛の殺人、そして米国全土でのいたちごっこへと発展していく『クイーン&スリム』の絶妙な社会的、政治的構成は、その軸となるラブストーリーをさらに際立たせている。事前告知もあまりないままに公開された、世界に背いて恋に落ちる男女を描くこの洗練された作品で、特筆すべきは過去5年で最高ともいうべきラブシーンだ。騒動から逃げ出した車の中でふたりは抱き合い、身体を密着させ、唇が触れ合い、肌があらわになる。監督のメリーナ・マツーカスは、ふたりが絶頂を迎える瞬間に、逃亡劇の始まりとなった銃撃事件の回想シーンをつなぎ合わせることで、このカップルのセクシュアルな相乗効果を、米国の黒人に共通するリアルな体験に結びつけた。

『きみに読む物語』のアリーとノア(レイチェル・マクアダムスとライアン・ゴズリング)

ストレートなロマンス作品は2000年代前半から減少傾向にあるが、それはきっとプロデューサーたちが『きみに読む物語』のレイチェル・マクアダムスとライアン・ゴズリングを見て「クソ、これを超える作品は絶対につくれない」と思ったからに違いない。主演ふたりを一気にスターダムへ押し上げた、2004年の王道のど真ん中を堂々と突き進む本作は、夏に始まり、戦争によって引き裂かれる十代のふたりの数年間の恋を描いている。古典的なハリウッド・ロマンスだが、雨の中のキスシーンによって、本作はカルト的人気を誇る名作となった。批評家には冷遇されたものの、レイチェルとライアンは最も重要な賞を獲得した。2005年MTVムービー・アワードのベスト・キス賞だ。

『Mr.& Mrs.スミス』のジョンとジェーン・スミス(ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー)

この大物カップルが映画のセットで誕生し、タブロイド紙の常連となった、90年代後半から2000年前半にかけてのハリウッド全盛期から、かなりの年月が過ぎた。もちろん、つい最近のジェニファー・ロペスとベン・アフレックの復縁や、その前のアナ・デ・アルマスとベン・アフレックの交際によって、2020年代にもかつてのハリウッドが復活しつつあるが、お互いに秘密でプロの暗殺者として活動する夫婦を描く独創的な本作のセットで誕生した〈ブランジェリーナ〉ほど華々しいカップルはいないだろう。ふたりのケミストリーは、あらゆる意味で殺人的だ。当時も今も、私たちを魅了してやまない。

『ナチュラル・ボーン・キラーズ』のマロリーとミッキー・ノックス(ジュリエット・ルイスとウディ・ハレルソン)

強烈にセクシーで殺人的な関係といえば、タランティーノの脚本をもとに、殺人欲求によって結ばれた恋人同士を描く『ナチュラル・ボーン・キラーズ』は、現代のボニー&クライドともいうべきカップルの物語だ。キャリア最高の演技を見せたジュリエット・ルイスとウディ・ハレルソンは、好色で恐ろしいマロニーとミッキーを演じ、殺人への嗜好で結ばれた激しい関係を見事に、そしてセクシーに表現した。

『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』のロニートとエスティ(レイチェル・ワイズとレイチェル・マクアダムス)

『アデル、ブルーは熱い色』より激しい性描写は少ないが、ロンドン北部のユダヤ系コミュニティを舞台とするこの控えめなふたりのレズビアンの物語も、同様に主役ふたりの関係をリアルに描いている。故郷に戻ったロニートは幼なじみエスティと再会し、10年かけて育んだ恋が再び燃え上がる。一見の価値ある作品だ。

『My Policeman(原題、日本公開未定)』のトムとパトリック(ハリー・スタイルズとデヴィッド・ドーソン)

これはまだ憶測に過ぎないが、この映画を楽しみにしている私たちは、物語の中心となるラブストーリーが性的なケミストリーを描いているかどうか、さまざまな仮説を立ててきた。なんといっても、ハリー・スタイルズが初めて同性愛者役を演じる作品だ。ブライトンを舞台に、本作は同性愛者であることを隠している警察官のトムと、ストレート女性で教師のマリオンの結婚生活を描く。愛のないふたりの結婚は、トムと博物館職員パトリックとの秘密の関係によって破滅の危機を迎える。先行上映で鑑賞したファンによれば、6度のベッドシーン(ファンによれば映るのは尻だけ)があり、かなり激しいシーンだということがわかっている。公開日が待ち遠しい!

おまけ:『ある結婚の風景』のジョナサンとミラ(オスカー・アイザックとジェシカ・チャステイン)

70年代のオリジナル版でも2021年のHBOによるリブート版でも、『ある結婚の風景』のプロットを知っているなら、この作品がセクシーとは程遠いことはわかっているだろう。白熱した口論や事件が連続し、結婚がロマンスから空虚へと変わっていく様子を描く作品だ(オリジナル版公開後、離婚率が急上昇した)。しかし、ここで主張したいのは、レッドカーペットでのオスカー・アイザックとジェシカ・チャステインのケミストリーだ。ヴェネツィア国際映画祭ワールドプレミアでのふたりのムードはタブロイド紙で大々的に報じられ、特に話題を呼んだ腕へのキスは、インターネットを熱狂の渦に巻き込んだ。

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