現在進行形のクラウトロック:Minami Deutschインタビュー

「クラウトロックはいろんな要素が入っているから何でもできるんです」ジャパニーズ・クラウトロック・バンド、南ドイツ。日本初となるインタビューで、EU/UKツアーや現代のサイケシーン、最近流行っていることについて語る。

by Yukiko Yamane; photos by Meg Sato
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01 November 2017, 2:19am

無機質で機械的なハンマービートに不可思議で耳に残る日本語を乗せるジャパニーズ・サイケデリック・クラウトロック・バンド、南ドイツ(Minami Deutsch)。CanやNeu!をはじめとするクラウトロックを愛するかたわら、ミニマル・テクノのテイストも取り入れるなど、まさに現在進行形のクラウトロックを世界に提示する。南ドイツは2014年、フロントマンであるKyotaro Miulaを核に東京で結成された。2015年には1stアルバム『Minami Deutsch』をUKカルトレーベル<Cardinal Fuzz>よりレコードを、日本人サイケデリックバンド幾何学模様主催レーベル<Guruguru Brain>よりカセットテープを同時リリース。その後、海外レビューサイトで紹介されたことをきっかけに注目を集め、現在2度目のEU/UKツアー真っ只中だ。

今回のツアーも折り返し地点。第2のホームであるベルリンに到着した彼らを迎えたのは、連日の暴風雨を忘れてしまうほどの奇跡的な晴天だった。南ドイツは何か持っている——そう思わずにはいられない不思議なパワーを感じつつ、滞在先近くのカフェにて話を訊いた。

——バンド名の由来について教えてください。

Kyotaro Miula(ギター、ボーカル、シンセサイザー、以下K):パッと出てきたんです。東ドイツ、西ドイツはよく聞くけど、南ドイツはあまりないなあと思って。北は何か違うと思って、こわいイメージがあるかなと。

——4人の出会いとバンド結成までの経緯は?

K:幾何学模様が主催していた<Tokyo Psych Fest (東京サイケフェス)>というマンスリーイベントに毎月遊びに行っていました。そこで初代ドラマーに出会い、お互い音楽の趣味が近いのでクラウトロックのバンドをやろうと誘ったのが南ドイツの始まりです。その後ギターを見つけ、最初は3人で活動していました。
Taku Idemoto(ギター、以下T):僕もそのイベントでKyoちゃん(Kyotaro)に出会いました。当時、僕はTolchockという別のバンドをしていましたね。
K:Takuと出会い南ドイツとTolchockで台湾ツアーへ行った後、どちらもバンドメンバーが辞めちゃって……。ちょうどその頃に南ドイツのリリースが決まり、このまま続けたいと思っていたのでTakuを誘ってスタジオに入りました。その後ベースが必要となりIseくんが加入して。
Keita Ise(ベース、以下I):<Tokyo Psych Fest>出演アーティストのコンピレーションアルバムに収録されたTakuのバンドを聞いて、一緒にセッションしたいと思いコンタクトを取ったのがきっかけです。
Masahito Goda(ドラム、以下M):横浜・黄金町の元ストリップ劇場で友人が企画していた10人限定イベントでKyoちゃんとTakuちゃんのライブを見たのがきっかけ。去年のツアー後に正式加入しました。

——幾何学模様と仲が良く、彼らのレーベル<Guruguru Brain>にも所属していますよね。ともに日本のサイケシーンを牽引している印象ですが、そもそも彼らとはどういうつながりだったんですか?

K:Goちゃん(幾何学模様ドラマー)と共通の友達がいて、その彼が働いているスタジオがタダで使えたので、よく遊びに行っていました。そこでアメリカから帰国後のGoちゃんに会い、時間があればみんなで集まってジャムしたりしてたんです。その後、Tomoくん(幾何学模様ギター)もアメリカから帰国し、気づいたらみんなでよく一緒にいましたね。
T:高円寺のライブハウスの店長から幾何学模様を紹介してもらいました。当時、同年代でサイケ好きは本当にいなくて。今のサイケシーンを知っている彼らに初めて会って、そこから意気投合。近い価値観を持っていると感じました。

——なぜクラウトロックというジャンルを選んだのでしょうか?

K:ちょうどその時やりたかったのと、日本でクラウトロックを名乗っているバンドがいなかったから。クラウトロックっぽい曲はあるけど、それだけやっているバンドがいなかったんです。もともと、クラウトロックはミニマル、サイケ、スペーシー、ファンク、電子音楽、いろんな要素が入っているから何でもできるんです。新しいものを作りたいという人たちがやっていた音楽なので、その意識はありますね。

——制作のインスピレーションはどこから得ていますか?

K:作詞作曲は僕が担当しているんですが、アルバムによるかな。1stのコンセプトは全曲ハンマービートにしようと思って。昔のクラウトロックの影響もあるけど、ミックスはテクノとかいろんな音楽の影響があります。

『Minami Deutsch - Minami Deutsch (Full Album)』

——現在フロントマンKyotaroさんがベルリン在住、他3名が東京在住と遠距離状態ですが、実際のところどうですか?

K:今のところ僕は問題ない(笑)。僕1人でデモ作ってそれを3人に送って、そういう感じで今は進めています。
T:東京組は週1でスタジオに入ってレコーディング、それをKyoちゃんに送ってビデオ通話でミーティングしています。

——日本とヨーロッパのサイケやクラウトロックシーンについて感じることはありますか?

K:日本よりヨーロッパの方が単純にそういう音楽を知っている人が多い。イギリス、特にロンドンとマンチェスターはサイケ好きな人たちが多いと感じました。そこにはちゃんとしたプロモーターがいて、シーンがあるかな。
T:街ごとに目に見えるムーブメントが起こっている訳ではないけど、シーンは局所的にあると思います。

——実際に日本とヨーロッパでライブをしてみてどうですか?

K:ヨーロッパは良いと思ったときのリアクションが素直。日本では正直あまりライブをしたことがなくて、渋谷のルビールームとかライブバーでやることが多いかな。CAMERA(ベルリンのクラウトロックバンド)を招聘したときがライブハウスでまともにやった初めてのライブかも。日本でもオファーがあれば是非、あとアメリカでもやりたいですね。

——南ドイツの音楽をどんなときに聞いて、何を感じてほしいですか?

K:仕事中、運転中。実際に仕事によく合う、集中できると周りから言われますね。
M:環境音楽的な要素が実はある。
I:がっつり聞いてもらうというよりは、流れていくような心地良さ。あとは音楽すごい好きなんだなと感じてほしい。

——南ドイツの世界観を言葉で表すなら?

全員:渋い。

——KyotaroさんとTakuさんは髪が長いですが、どれくらいの頻度で髪を切っていますか?

K:理想は3ヶ月に1回のペースで切りたいけど、実際は半年か1年に1回くらいかな。
T:美容院が怖いというか気まずくて。でも実はツアー来る前に切っちゃいました。勇気を振り絞って(笑)

——最近メンバー内で流行っていることはありますか?

全員:サイケデリッククイズ。
T:「この三角形は誰の三角形でしょうか?」っていうクイズです。今回のツアーでアムステルダムに滞在した際、Goちゃんが出題してきて。人でも物でもどこでもできるんですが、それにはちゃんと明確な答えがあって、それを考えるという。それに対してひっかけのヒントを出してみたり。毎日出題して、自分たちの気を狂わせています(笑)。あと、各地のプロモーターの家でいきなりやると盛り上がりますね。
M:僕だけ1ヶ月答えが分かりませんでした(笑)。昨日の夜中にやっと分かったところです。

——最後にi-D Japan no.4のマガジンテーマが"JOY"なのですが、南ドイツにとっての一番の喜びとは?

K:良い演奏ができたとき、良い曲が作れたとき。
I:オーディエンスと一体になれたとき。
T:ゾーンに入ったとき。ちゃんとグルーヴが出た、一体になったとき、グォーッとなる瞬間があるんです。
M:同じくゾーンに入ったときですね。ハンマービートを叩いているので、みんなとリズムがあったときに肉体的というより機械的な表現に自分が一致する瞬間がある。自分が自分じゃなくなるみたいな……ミニマルハイですね(笑)

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Instagram @minamideutsch

Credit


Photography Meg Sato
Text Yukiko Yamane