50年後の若者へ:WOOMAN interview

「勝手に面白いことをやってるのが一番重要だと思うんですよね」。長く音楽を続ける中で見つけた、インディーバンド・WOOMANの答えとは?

by Noriko Wada; photos by Mai Kimura
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26 November 2018, 6:29am

東京を拠点に活動する4ピースバンドWOOMAN。それぞれがインディーやテクノなどさまざまなジャンルでバンドやソロ活動やレーベル設立を経て、2014年に結成。英語で男性が女性を口説く“WOO”という単語と“ウーマン”という女性を連想させる音の2つをかけたバンド名には、ひとつの物事を別の角度からもみて色んなものを楽しんでほしいという願いが込められている。ボーカル兼フロントマンのYYOKKEはDYGLやmitsume、アパレルブランドLITTLEBIGのグラフィックデザインを手がけるデザイナーとしての一面も持つように、各々のキャリアを経たからこそメンバー活動にも多面性があり、その“角度”の大きさがWOOMANの音楽性に深みを与えている。i-D JapanはYYOKKEとベースのYUUKI、ギターのODA、ドラムのKOUTAに、彼らの音楽観や原動力、来年リリースされるセカンドアルバムについて聞いた。

──まず初めに、WOOMAN結成のきっかけを教えてください。
YYOKKE:みんなそれぞれのキャリアが長くてややこしいんですけど。当時世間では”チルウェイヴ”と呼ばれていたジャンルで、メンバーそれぞれがFaron square、AAPS、Jesse Ruins、White Wearなどのバンドやソロ活動を経て、2012年にODAさんのソロプロジェクトのThe Beautyのサポートとして僕とYUUKIとKOUTAが入って......それがWOOMAN結成のきっかけにはなっていますね。それで、ODAさんがアルバムの制作期間に入るから一回ストップして......。この4人で打ち込みが入ったライブはやったりしてたんですけど、今までやってなくて一番大変なことをやりたいねって基本のロックバンドに挑戦しようっていうのが始まりかな。
KOUTA:やってみたら、やっぱこれだなって感じがあったよね。

──最初からしっくりはまった感じですか?
YUUKI:そうですね。最初はコピーやってどんな感じか探りながら。
YYOKKE:マーチャンダイズとかね。ODAさんが「こんな感じじゃない?WOOMAN」って言って。
ODA:コピーしたけど、また一回違う流れに行って、またいま戻ってきたね。
YYOKKE:一回アリエルピンクとかトロイモアとかソフトロックのネオサイケ的な音楽をやろうと思って、けっこう難解な曲を作ってたり。
YUUKI:割とファーストアルバムとかはそんなテンションじゃない?それがやっていくうちにシンプルになっていった感じですね。

──初期のネオサイケから最近は歌ものっぽくガラッと雰囲気が変わってますよね。
YYOKKE:そうですね。最近はヒップホップのとかトラップを聞いていて、トラップみたいな歌い方をやってみたいなと思って作ったり。全然よくなかったんですけど(笑)そういうチャレンジはいつもやってます。
KOUTA:できなそうだからやらない、ってことはあんまりしないね。
YYOKKE:一回やってみて、やっぱり良くないねっていう(笑)

──ジャンルの垣根を越えてチャレンジしてWOOMANの音楽にしていく。KOUTA:1人でもあるし4人で試してみてっていうのもある。
YYOKKE:Lil PeepとかJuice WRLDみたいな、エモラップってロック的なトラックにラップしてるんですけど、世界的に今そういった音楽で ”エモ” というキーワードが流行ってきてる方向で、いま僕らなりの解釈でそういう曲をやってるみたいなのはありますね。
YUUKI:それで作っていったらWOOMANぽいなって曲になる。

──みなさん色々なジャンルで音楽活動をしてきていますが、聴く音楽は近いんですか?
KOUTA:バラバラですけど、温度感を同じにできるように最近これいいよねっていうのはシェアしてますね。
YYOKKE:バイブス調整ですね。ルーツ的には僕とODAさんがずっとインディーロックがめちゃめちゃ好きで。10年くらい前のUKインディー、ザ・ビューとか、クラクソンズとかホラーズとかカザルスとか。最近だとカート・ヴァイルの新譜とか共通してすごく好きです。YUUKIも近いですね。KOUTAくんはポストロックが好きで、だからドラムもちょっとそのニュアンスがありますね。

──音楽をやり続けてきた原動力はどこからきていますか?
ODA:僕は完全に人だと思うんですよね。このメンバーじゃなかったらどこかで終わってたかもしれないですし。練習した後に飲みに行ってみんなでゲラゲラ笑う。それが原動力ですね。
YYOKKE:いま一番楽しくて。それを持続させるのが大切かも。あと、スタジオに入って新曲を一発目合わせた時に「めちゃくちゃ良くない?」ってほろっとくる時があって。みんながそう思った瞬間は何事にも代えがたい感動があります。

──その瞬間を重ねていくと。
YYOKKE:そうですね。メメントモリじゃないですけど、明日死ぬんだったら一曲でも多くいい曲作りたいし、一個でもいいライブしたい。それをすごく感じる出来事があったので、それ以降かなりギアが入ってどんどん曲ができました。あと、カジヒデキさんやLEARNERSのチャーベさんとかはFaron Square、The Beautyの頃からお世話になってて。そういう人たちがいるとやめるわけにはいかないし、そんな先輩にかっこいいの作ってるなって思わせたい。年齢のことを気にしすぎですよね、日本の人たちは。一括りには言えませんが、僕らが好きな海外のバンドやアーティスト、シーンには年を重ねて変化していくものも受け入れられる土壌があるように感じますね。

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──YYOKKEさんがTwitterで「CMP(CUZ ME PAIN)CMPには"身内だから"というのは一切マジ1ミリも無かった」とツイートしてましたがどんな雰囲気だったんですか?
YYOKKE:ODAさんとYUUKIと現在はAvyss MagazineというWEBメディア運営やCVN名義でアーティスト活動している佐久間くんと札幌でTWLVってイベントスペースをやってるTSKKAさんとCUZ ME PAINていうインディレーベルをやってた時に、みんなライバルみたいな感じだったんですよ。例えばラップってもともとマイクで相手のことをけなし合うところから始まって、どちらが上手くまくしたてられるか競争するんですよ。競争がなかったらラップはなかったって言われてるくらい、“コンペティション”がキーワードとして重要だってある本で読んで。「これ、俺らのことやん!」って(笑)。褒め合うことはなかったですね。
ODA:いい曲作ってきたら、黙る(笑)
YYOKKE:だからこそ一緒に居られるというか。批評性みたいのもちゃんと持っとかないと、どっちにもつかない感じになっちゃうのはダメなんじゃないかな。

──ギスギスしたりはしないんですか?
YYOKKE:ギスギスするんですよ、それがそれなりに(笑)今はしないですけど。周りで30代になると音楽辞めちゃう人が多いんですけど、いいって言ってもらえないから辞めるんじゃなくて、勝手に面白いことをやってるのが一番重要だと思うんですよね。その上で、レコーディングすることはすごい大事だなって思います。今年テスト・アイシクルズのメンバーでアウター・リミッツ・レコーディングス名義で活動していたサム・メーランが亡くなったんですけど、彼が死んでも彼のレコードは残るじゃないですか。それってすごくいいことだなと思うんですよね。50年後のディスクユニオンで50年前のレコード見つけた若者が「こいつらかっこいいな!」っていうのいいなって。

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──それ素敵ですね。ついに11月28日にEP、来年1月にはセカンドアルバムがKiliKiliVillaからリリースされますが、どんな仕上がりですか?
YYOKKE:カセットテープが2017年の夏に出て、そこから半年くらいで作ったものを、半年かけて録ったという感じかな。
YUUKI:曲自体もなるべくコンパクトにしようっていう意識はなんとなくあったかもしれないですね。
YYOKKE:全部通して聞いて、あっもう全部終わったんだってくらいの物足りなさを残したいなと思って。
ODA:初デートみたいなね。
全員:(笑)

──どういう人に聴いてほしいですか?
YYOKKE:いろんな人に聴いてほしいけど、若い人たちに聴いてもらって「こんなお兄ちゃんたちがいるんだな。面白いな」って思ってもらえたら嬉しい。ポップやパンク、ガレージ、インディロックもエモもあるし、少年性はすごく意識してるんで。

──若い子に対して伝えたいメッセージはありますか?
YYOKKE:バンドって楽しいよ。それに尽きるというか。音楽に限らず自分の好きな事や物が助けてくれることって生きていく上でたくさんあると思うので、そういう部分が伝わればいいな。日本人で30代でインディーズでバンドをやるって普通のことなんだなって思ってもらえたらいいなと思います。
YUUKI:何かを伝えたいっていうより、楽しそうって思ってくれたら一番いいよね。

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