Desigual.が導く未来のクリエイティブ:ソナー・フェスティバル2019レポート
7月18日からの3日間、スペイン・バルセロナで行われたSónar Festival(ソナー・フェスティバル)をファッションブランドDesigual.がメインスポンサード。テクノロジーを駆使した科学的なインスタレーションを発表した同ブランドの未来への提案は、現在の常識からの逸脱を示唆していた。
1994年にスタートし、エレクトロやハウスを軸としたアーバンミュージックとテクノロジーのエキシビションが集結した祭典、Sónar Festival(ソナー・フェスティバル)。Sónar by Day(昼の部)とSónar by Night(夜の部)で構成されており、各2会場を隔てたそれぞれのヴェニューでは世界中から集まったアーティストたちがそれぞれのサウンドを奏でる。レジー・スノウ、スケプタ、アンダー・ワールド、フォー・テットなど人気のアーティストから、カーリーンやペギー・グー、アリーシャといったアップカミングなアーティストまでがラインアップした。


また、同時に行われているインテレクチュアルなプログラムでは、Desigual.が人の潜在意識へ科学的にアプローチするアーティスティックなプログラム〈Sónar + D〉を開催。他にも、ヨーロッパのオーディオ・ヴィジュアル界を牽引するメディアプロが手がけた、リラックスした姿勢で視覚と聴覚を刺激するドーム型のプレゼンテーション〈360°〉や、手の動きに反応して音と映像をオーケストラのように出力するモニターなど、様々なアクティビティが開催された。
個人力を起動させる覚醒プログラム
バルセロナを代表する世界的なブランドであり、今回Sónar by Dayのメインスポンサーとして初参加したDesigual.。当ブースでは、ブラックライトに反応する蛍光塗料のボディペイントが会場のムードを盛り上げ、さらに箱の上に手を乗せると脈数や周波数、体温といった個人の生物学的データに反応して、違った色のLEDライトが光ったり音が出力されたりする装置など、個人の特異性を強調するようなプレゼンテーションがお目見えした。

〈Sónar + D〉のメインイベントは、カラフルな光やプロジェクションマッピングによる空間演出が施された奥の部屋で行われた。ヘッドギアから音楽に乗せて流れるメンター:ジェイミ・ベロン(Jaime Beron)のレクチャーにあわせて、身体を動かしていくワークショップ、SUCOだ。自己と向き合う静かな瞑想やヨガの動きから徐々に心身を開放していき、気づけば見知らぬ人とのコミュニケーションへと発展していく。自己制御を取り払い個人のアーティスト性を開放し、他の存在を認めていくという実験的なプログラムである。

これらのプログラムのコンセプト及び協賛には、6月にロゴの刷新とともにリブランディングを発表したブランドの背景がある。26年間テクノロジーと改革を体現しながらカッティングエッジな存在として発展を遂げてきたSónar Festival。このアクティビティに貢献することそのものが、Desigual.の若者たちへのメッセージなのだ。より個人のニーズを尊重する時代になっている今、それぞれのクリエイティビティを覚醒させ、自分自身がインスピレーションの源である、という気づきを与えたいという彼らの願いと展望は本物だ。

今回の試みを含む新しいプロジェクト〈Desigual in Beta〉は「インスピレーションを与えてくれるアーティストとのコラボレーションの実験の場」だ。今後、地元のアーティスト/インフルエンサーのミランダ・マカロフやアーティストのジョルディ・モリャを迎え、20春夏のカプセルラインやアイコニック・ジャケットのエクスクルーシブモデルを展開。日本では8月末に、とんだ林蘭が手がけた新しい外壁とともに新ロゴを冠したショップがお目見えする。

買い物というアクションにできること
ファッションブランドが未来を語る上で、生産背景における環境汚染の減少、CO2削減をはじめとしたSDGs対策は急務だが、Desigual.の20春夏コレクションでは、全アイテムの11%が100%サステナブルな生地を使用すると発表している。先述のミランダとコラボしたカプセルラインは初のサステナブルコレクションであり、今後スペインのエコブランドとのコラボレーションなども予定している。
環境問題に対する作り手の意識が商品に反映されることが当たり前になった今、その考えにどう応答するかは消費者の側に委ねられている。投票で未来を選択するように、正しい買い物こそが未来に美しい地球を残していくことにつながるはずだ。


Desigual.がクリエイティブな人をサポート
今回、Sónar Festivalの会場にはコムアイ、平本ジョニー、NOMAの3名も来訪していた。ミュージシャンや俳優など表現者としてボーダーレスに活躍し海外のフェスにも多く訪れるコムアイは、SUCO体験で溢れるエネルギーを自在に発散し、DJイベントでは大群のオーディエンスの波に「いわしのように」もまれつつも浮遊を楽しんだ。宇宙や植物を研究し、廃材を原料やキャンパスに生み変え資源の捉え方に疑問提起したアートを制作するモデルのNOMAは「音楽と映像が融合しながら潜在意識に訴えかけてマインドをポジティブに導く珍しい体験」と今回のエキシビションについて話す。



音楽や映像のようなインタラクティブとファッションを通して伝えたいのは、非条理に対するアンチテーゼ。押し付けられた常識に疑問を持ち群れから外れる若者たちは、そのクリエイティブな価値観を大切にし、既存のダメなシステムに対して声を上げアクションをするべきだ。よりよい社会に向けて実直に行動する“ちょっと変わった”人々こそが、世界を変えていく。そしてDesigual.は、彼らのサポートシステムとして存在しているのだ。
Credit
Photographer Jyota Seki
Text Yuka Sone Sato
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