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ディオールの妹を称えるDior2020年春夏コレクション

今シーズンのDiorは、ムッシュ ディオールの妹で、第二次世界大戦中にラーフェンスブリュック強制収容所に送られたレジスタンスの戦士、カトリーヌ・ディオールにオマージュを捧げた。

by Felix Petty; translated by Nozomi Otaki
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30 September 2019, 7:52am

今シーズンのDiorの着想源は、ムッシュ ディオール自身のアーカイブではない。また昨シーズンのように、アーティスティック ディレクターのマリア・グラツィア・キウリがヴィジュアル・アーティストの作品からヒントを得た訳でもない。今回彼女が焦点を当てたのは、ムッシュ ディオールの妹、カトリーヌ・ディオールだ。

1917年に生まれたカトリーヌ・ディオールは、第二次世界大戦中、レジスタンスの一員として活躍し、ドイツのラーフェンスブリュック強制収容所に送られた。戦後、解放された彼女は庭師としてキャリアを積む。そんな彼女の職業と、不屈の精神と勇気が、今シーズンのDiorコレクションに反映されている。

本コレクションは庭園という場所を、クリエイティビティ、自然環境、フェミニズム、コミュニティ、歴史、そして私たちのヘリテージについて語るための出発点として、より広範でコンセプチュアルに解釈した、開放的なコレクションだった。

「私たちはみんなムッシュ ディオールの視点を通して庭を見つめています」とマリア・グラツィアはショーの前に述べた。「庭はいつも派手な装飾が施されたものとして捉えられがちですが、今回はそういうイメージから離れ、よりシンプルなものを目指しました。戦後のカトリーヌのように、庭に未来への希望に満ちた何かを見出したかったのです」

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本コレクションの核となるのが、会場となった一面に広がる森だ。これを手がけたのは、マリア・グラツィアが2018年、パレルモのアートイベント〈Manifesta 12〉で出会ったというアーティストとアクティビストによるガーデニング集団〈Coloco〉だ。

「彼らは世界中で、地域に根ざした植林プロジェクトを行なっています。私自身、アクティブだと思えることに取り組み、何らかのアクションを起こしたかった。そういう想いから、このリサイクル可能な会場をつくったんです。ここにある164本の木は、世界中に植えられる予定です。私たちは今回、これまでのDior的な要素や装飾を控えめにして、もっとアクティビズム的な、現実に沿ったテーマを目指したかったんです」

グレタ・トゥーンベリのような三つ編みを垂らしたモデルたちが、ヨーロッパのあちこちから集められた木々のあいだを通り抜けていく。彼女たちのルックは、シックから実用的、グラマラスまで、90年代の幅広いスタイルを網羅していた。

オープニングルックは、本コレクションと地球との関わりを強調するかのように、スカイブルーのシャツに麦わら色のスカートとドレスを組み合わせていた。花柄のアイテムもあったが、決して派手ではなく、華麗なバラというより、手つかずの草原に近い。靴は実用的で、森の散策にもぴったりだ。

ヒッピー・ムーブメントから着想を得たようなセクションや、ヌーヴェルヴァーグ風、ムッシュ ディオールが妹を参考にした1940年代のルック、彼の日本への愛着が感じられるアイテムも登場した。

マリア・グラツィアによれば、今回のテーマは「反射」だという。彼女は個性とクリエイティビティ、そして「情熱と忍耐」を体現する場としての庭を表現した。

「私は自分のクリエイティビティや願いを表現するのが好きです。でも、この世界は矛盾に満ちています。私たちが環境への影響を減らしたいとして、ラグジュアリーブランドとして何をすればいいのか? タイムレスなものをつくることも必要ですが、クリエイターにとって重要なのは、疑問を投げかけることだと思います。私は全ての疑問に対する答えを持っている訳ではないので」

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