Photography Mitchell Sams

ベラ・ハディットとカーディ・Bのスピリットを表現するAlexander Wang:2018AW ニューヨーク・ファッションウィーク

Alexander Wangの2018年秋冬コレクションにまつわるあれこれ。

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feb 19 2018, 9:40am

Photography Mitchell Sams

ここ数シーズン、膨大な数の観客を巻き込み、はるか彼方へ旅しながら、“旬な出来事”を世に示してきたAlexander Wangが、今季、特に素晴らしいランウェイショーを発表した。今回の観客は少数で、その服は明確なまでのハイファッション志向、そして会場に選ばれたのは……旧『VOUGE』オフィス跡地として知られる4タイムズ・スクエアだ。ランウェイはオフィスのキュービクル(ついたてで個人のデスクが囲まれたオフィススペース)を突っ切るもので、「AWG:2004年から業界で活躍」と記された紙が貼られていた。まるでアレキサンダーがショー会場をきれいにしているかのようでもあり、その張り紙はショーに大きな演出効果をもたらした。

アレキサンダーがその長きにわたるデザインへの思惑を、久々にひとつに凝縮したようにも見えた。ショーはアレキサンダー好みの規律正しい女性的なシルエットを、彼自身が身に着けているようなストリートとスポーツウェアにミックスさせたもの。ジッパーがその正面をしなやかに横切るテーラードのコートドレスに、『マトリックス』風サングラスと危険なほどに尖ったハイヒールを合わせたルックで幕を開けた。それは、アレキサンダー流の激しいBGMに合う、超贅沢でリアルなビジネスファッションなのである。続いて、フェティッシュなレザースカートや光沢のあるスネークスキンのコート、定番のレギンスなど、さまざまなスタイルに落とし込まれた、かなり奇抜で魅力的なルックの数々が登場した。ナタリー・ベストリングがまとうトラックスーツのパンツには「Platinum」という文字が配され、タイツに書かれた「CEO 2018」というタイポグラフィはキラキラと輝いていた。全体的な見え方は“ビジネスカジュアル”のいち形態だと言える——本当のところ、それはまちがいだった。あのショーにはカジュアルやビジネスっぽいものは一切なかった。アレキサンダーが想像した職場だったのだ。それは彼が立ち上げた企業であり、その頭の中では、誰もがレザーを身に着けている。それは非常に恐ろしい光景であり、時代遅れの言葉をあえて使うなら、凶暴と評せるようなものだ。

彼が思うビジネスウーマンは誰?という疑問が生まれる。ベラ・ハディットやi-Dのカバーガールでもあるカーディ・Bにいたるまでがショー会場に姿をあらわした。このふたりはどちらも、企業の枠を飛び越え仕事をしている。実際、小ぶりなスカートから小さなサングラスまで、ルック全体がとてもハディットを彷彿とさせる。カーディはアナ・ウィンターとバズ・ラーマンに挟まれていて、ショー前の会話に花が咲いていたようだった。彼らが何を話していたかは明白だ。

緊張感のあるエネルギッシュなショーの復活ほど満足できるものはない。グラマラスで機能的、昼にも夜にも活躍しそうなもの。これぞアレキサンダーの真骨頂である。大きな金が動くことになりそうだ。

Credits


Photography Mitchell Sams
This article originally appeared on i-D UK.
Translation Aya Takatsu