フォーエバーアナーキー:KIDILL 18AW

3月だというのに2℃を観測した真冬のような天気の中、雨に打たれながら渋谷・Space Edgeに長い行列ができていた。廃墟のようなスペースで孤高のロックを奏でるKIDILLのインスタレーションショーが開催された。

by YOSHIKO KURATA; photos by Takao Iwasawa
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22 March 2018, 10:10am

「ロンドン・パンク」は精神性としても世界中に年代を超えて多大な影響を与えた。とあるインタビューでダミアン・ハーストは、自分で世界を変えられるということを教えてくれたのはパンクであると語る。現代美術事典では、パンクの定義を「ファッション、アートに限らず、精神性として従来とはまったく異なる発想を生み出すという部分に集約される」と記している。

KIDILLは「ロンドン・パンク」を「古いもの」だと感じさせることなく昇華させるセンスがずば抜けて長けている。それを証明しているのは会場に集まる大半の来場者は10〜20代ということ。おそらく彼らになぜKIDILLが好きなのかと聞けば、理屈なしで素直に「かっこいい」と答えるだろう。KIDILLのデザイナー・末安弘明と長年の仲であるJUVENILE HALL ROLLCALLのデザイナー・入江泰と彼の存在について話していた。「彼はいつまでも少年の心を持ってるんですよね」。その通りだ。KIDILLの前身であるHIROの頃からデザイナーの活動を遡るとすでに10年間程経っているが、不思議と若年層からデザイナーと同世代の層両方とも惹き寄せる吸引力を持ち合わせている。

2部屋に分かれたインスタレーションの右手には、今回のコレクションのインスピレーションであるTHE DAMNEDが1977年にリリースした「Neat Neat Neat」のジャケットへのオマージュとして、目の部分だけ開いた紙袋を被ったモデルが立っている。会場には、静かなジャングルに迷い込んでしまったかのように鳥のさえずりが流れる。服のディティールに用いられているイメージは、THE DAMNEDのライブシーンやリアルな姿を切り取ってきたフォトグラファー・SHEILA ROCKとのコラボレーションによるもの。末安がロンドンにいた頃の原体験をコラボレーションという形でより強く表現した。またふんだんにリングを用いたジャケットやジュエリー、ぬいぐるみバッグはそれぞれ4名の作家とのコラボレーションアイテムだ。

もうひとつの部屋では、赤いライトのもとスモークが充満した部屋に不気味な特殊メイクを被ったモデルが一列に並ぶ。ピエロ、猿、モンスターたちが、テーラード、MA-1、パーカーなどをまとう。静かにうごめくようなBGMが突然曲調を変ったかと思うと、モデルが歩き始めフィナーレを迎えた。

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autumn/winter 2018