Family Values issue:英i-D編集長より

行く先が不安な未来を抱えるいま、英i-Dは最新号「Family Value issue」でファミリーやチーム、同志たちを祝福する。数の力、集団の力を信じて。編集長ホリー・シャクルトンが、本号に込めた思いを語る。

by Holly Shackleton
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23 February 2017, 10:30am

政治情勢が人々を分断している今、団結する必要性はかつてないほど高まっている。イギリスのEU離脱やトランプの米大統領就任という現実から何かポジティブなものが生まれたとするなら、それは「コミュニティ感覚が強まった」ことだろう。それは誰もが感じることができるだろう。今こそ、身内の"外"にいて、将来に対する展望を共有している、魅力的な人たちと結束するときだ。ひとりでは世界を変えることはできない。しかし、皆が力を合わせれば変化を生むことができる。だから、あなたが愛する人々を抱きしめ、目を開き、腕を大きく広げて新しい友人を迎え入れてほしい。人生観や好き嫌い、政治観、将来の夢など、価値観を同じくする同志たちと、ファミリーを築くべきときなのだ。ネットの世界でも実社会でも、コミュニティでもチームでも、トライブでも集団でもいい。数は力となる。

ファッション業界へ最初の一歩を踏み入れようとしている若いデザイナーたちへ——今、集団として考えることはかつてないほどに重要だ。英国ファッション協会で有力デザイナーの推進大使を務めるサラ・モーア(Sarah Mower)は、生命を美しく広い視野から現代の時代精神を捉え、コラムで「若いデザイナーたちが独自のクリエイティブ・コミュニティを築くことの重要性」について説いている。また今号では、クリエイティブ・コラボレーションのパワーのもとにブランドを築いたEchhaus Latta、Koche、そしてGypsy Sportに迫り、ファッションの世界で友人たちと共にものづくりをする利点について、それぞれのブランドのデザイナー及びそのチームに話を聞いた。

イタリア人の両親のもとベルギーに生まれ育ったアンソニー・ヴァカレロは、大好きだったというジョージ・マイケルの「Freedom! '90」のビデオに倣うように美しい女性たちを集め、集団の力が生まれる様を見せてくれた。そして、Saint Laurentでのデビュー・コレクション発表を記念して、彼が描くメゾンの未来像について話を聞かせてくれた。マリオ・ソレンティとアラステア・マッキムは、表紙のミカ・アルガナラズからフレジャ・ベハまで、今日のファッション業界で最も熱い視線を集めているモデルたちを、それぞれが描く80年代グラマーのうちに捉えた。

ロシアでは、ゴーシャ・ラブチンスキーがロシア人アーティストやミュージシャン、スケーターたちなどを率いて、現代におけるメンズウェアの新たな在り方を築こうとしている。分断を煽る政治など無視してしまおう——「志を同じくする魂の集まりをもってすれば、俺たちは俺たちの故郷であるロシアを美しく完全に世へ示すことができる」と、ゴーシャは信じてやまない。今号ではまた、キム・ゴードンとココ・ゴードン・ムーアが母娘関係について語り、ザット・ガール・スッシがニューヨークのナイトライフをロンドンに再現する模様を追っている。そしてサンファが傑作デビュー・アルバム『Process』でテーマにした愛と喪失について語り、The xxが3作目となるアルバム『I See You』でさらけ出した魂の叫びに焦点を当てる。イギリスが誇るデザイナー・デュオ、ジョー&チャーリー・ケイスリー=ヘイフォードは、これまで一貫して親子・家族の中でのみ展開してきた創造の世界を今季からウィメンズウェアの領域にまで拡大し、絶賛されてきたテーラリングの世界を女性にも提供しようとしている。

私たちは今、苦しい時代を生きているかもしれない。しかし、私たちはそれに屈しないだけの強さを持っている。こんな時代だからこそ、私たちひとりひとりが心を失ってしまわぬよう、友達や同志とともに大きなサポートの輪を作っていこうではないか。力を合わせれば、私たちは無敵なのだ。

Holly Shackleton, Editor-in-Chief

Credits


Text Holly Shackleton
Photography Mario Sorrenti 
Fashion Director Alastair McKimm
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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