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『ムーンライト』のバリー・ジェンキンスがGrizzly Bearのリミックスアルバムを発表

『ムーンライト』でも使われた“チョップド&スクリュード”の手法は健在だった。

by André-Naquian Wheeler; translated by Aya Ikeda
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07 November 2017, 7:00am

This article was originally published by i-D US.

バリー・ジェンキンスが黒人のジェンダー観におけるステレオタイプを覆そうと試みるのは監督した映画『ムーンライト』のみにとどまらない。すでにLGBTQの名作と呼び声の高い同作で、彼は実験的かつ芸術的な表現のしかたで黒人とクィアに対する偏見を払拭しようと試みた。例えば、ごちゃまぜのクラシック音楽のように。バリーのリミックス・スタイルはヒューストンをルーツにもつチョップド&スクリュードと呼ばれる手法で、いまでも彼はそのスタイルの追及に余念がない。そして2017年10月中旬に彼は、DJ Candlestickと共に制作したGrizzly Bearのリミックス作品を発表した。

Grizzly Bear が2009年にリリースしたアルバム『Veckatimest』と2017年の『Painted Ruins』をリミックスしたベリーとDJ Candlestickはそのアルバムを『Purple Veckatimest/ Painted ruins (CHOPNOTSLOP)』と名付けた。そしてリリースから24時間で9000回を超える再生数を記録した。

多くの人々がこのアルバムをキャデラックの中で聴くとは考えにくい。それでもリミックスされた楽曲は原曲とは異なる体験をもたらしてくれること間違いなしだ。そして、今回のアルバムには熱狂的なファンが、少なくともひとりはついている。Grizzly Bearのオリジナルメンバー、エド・ドロステだ。

「大のお気に入り、『ムーンライト』の監督が『Veckatimest』と『Painted Ruins』の両方をリミックスしてくれるなんて信じられない!」とエドはツイートした。

それに対してバリーは「あなたの音楽は私にとってかけがえのないものです」とリプライした。

2006年にマイク・ジョーンズやバンB、カミリオネアのようなラッパーが登場して以来、ラジオでもよくかかっていたこともあり、チョップド&スクリュードの手法でリミックスされた楽曲はラップやポップスにおいて根強い人気を誇ってきた。2013年には、まさにヒューストン出身のビヨンセが「I Been On」で低音ボイスを披露した。マイリー・サイラスの「We Can't Stop」はそれに強く影響を受けている。

『ムーンライト』でバリーはチョップド&スクリュードを使うことで当初の目的であった地方都市での単館上映を実現した。「僕が使ったヴァイオリン、チェロ、ベースヴィオラの音はマイアミで培った価値観と音への意識が元になっている」と彼は同作のインタビューで語っている。

ジェイムズ・ボールドウィンの同名小説を原作にした次回作『ビール・ストリートに口あらば』でも、バリーはチョップド&スクリュードを使うのだろうか? 乞うご期待。