クリストファー・シャノンが語るキャットウォーク

ギャラリーに独自の小さな世界を作り上げ、自身がキュレーションも手がけ、2016年秋冬コレクションを発表したクリストファー・シャノン。2017年春夏コレクションでキャットウォークへの本格復帰を果たした。

by Steve Salter
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17 June 2016, 2:46am

ロンドン・ファッションウィークのメンズウェアデイからロンドンコレクション:メンに至るまで、Christopher Shannonこそは過去16シーズンにおいて絶対に見逃す事ができないブランドであり続けた。そしてクリストファーはこれまで、コレクションごとに、私たちの感覚を刺激する新しいプレゼンテーションを打ち出してきた。ファッション界は、現代のメンズウェアを前へと動かし続ける彼を、今日にいたるまで必要としてきた。本格復帰を前に、その決断について、そして最新のショーについて、クリストファーが語ってくれた。

先シーズンが好評を得た後、今季キャットウォークへと復帰することに驚いている人々もいますが、復帰を決意させたのはなんでしょうか?
ギャラリーで作業をするのが好きでね。作品という観点から言えば、そのプロセスから多くを得ることができた。"服や観客がいる"よりも、セットとビデオだけの空間のほうが好みなのかもしれない。キャットウォークのサイクルから一度休憩が取れたのはありがたかったね。変化がないと何も湧き上がってこないし、違った角度から物事を見ることができなくなってしまうからね。人前に出るのはそれほど好きじゃなかった。そこについてはよく考えもせずに作業に取り掛かったんだ。ただ、「2017年春夏コレクションにはウォーキングで見せることが必要だ」って、アイデアやルックスのイメージが膨らんでいく過程で思ったんだ。2016年秋冬コレクションでは、服そのものとムードが最大のテーマだった。

最後に話したとき、あなたは「9分間のショーで30人の男性モデルを歩かせることがすべてじゃない」と言っていました。もちろんショーではそれもまた必要な要素ではありますが、キャットウォークをどのようにより自分らしいものにしていこうと考えていますか?
キャットウォークで見せることによって、たいした事ないアイデアでも良く見えてしまったりする。でも僕はキャットウォークでなくても通用するアイデアを大切にしていきたい。例えば、今季に僕が考えたのは「デザインへのフォーカス」で、ドラマチックなものも小細工もセットもなく見せることができるデザインがテーマになっている。今は、スタイリングのしやすい服や"以前の服を参照したつくられた服"ばかりになってしまっている。デザインが足りてないんだ。大学のルイーズ・ウィルソン(Louise Wilson)のもとで頑張っていた、あの頃の自分のように、ひとつのアイデアを突き詰めていきたい。僕はこれまでもキャスティングとショーの音楽選びにはかなり力を入れてきたんだ。僕の考え方が表現されるところだからね。

2017年春夏コレクションについて教えてください。インスピレーション源は何だったのか、そしてそれをどのように発展させていったのか——そして、コレクションのムードはどのようにして構築され、スタジオではどんな音楽が流されていたのでしょうか?
とても実際的な視点から始まったんだよ。それまで長い間、素材の問題に直面していて、仕事をするのがイヤになっていたんだ。思い描くような生地を作るために、工場と問題解決にあたっていてね。そんな生地を作るにはNikeみたいな設備が必要なわけなんだけど……ちょうどスタジオに溜め込んでいた生地を移動しなきゃならないタイミングで、在庫を整理していたら、セントラル・セント・マーチンズ時代に作ったデニムが出てきたんだ。その中には今でも「いい」と思えるものがいくつかあって、素材作りとリワークという観点に新しさを感じたんだ。デニムには、"含み"や独自の表現みたいなものがあって、エロティックな素材だと思う。それから、"別れの感情"も今回のコレクションに影響を及ぼしているね。友達の女の子が彼氏を振ったら、もともとタフだったその男が見るに堪えないほどボロボロになっちゃったんだけど、彼に感情移入してしまってね。「失恋した彼が二日酔いのまま仕事に行く月曜」、これが今回コレクションのムードかな。

これまで同様、招待状のアートワークは秀逸です。使用されているアートワークについて教えてください。
デニムのアイデアを膨らませていた時に、ピーター・ミッチェル(Peter Mitchell)の『Everything Means Something to Someone』っていう写真集に出会って、その世界観が今回のコレクションにぴったりだと思ったんだ。プラクティカルアートというか、崩れかかったカカシの写真が気に入ったんだよね。ピーター・ミッチェルの作品は、ずっと前に『No Such Thing As Society』という写真集で見たことがあった。今回、彼が自分だけの作品集を出版できたことを嬉しく思うよ。

いよいよコレクションを発表するわけですが、どんなお気持ちですか?
今は何も感じない。感慨に浸っていられないくらい、まだやらなければならないことが沢山あるからね。もちろん感情に飲み込まれてしまうときもあるけど、そんな時は自分で自分を律するよ。

ショーが終わってからは何を一番楽しみにしていますか?
マーク・バクストン(Mark Buxton)と香水をローンチするんだ。名前もまだ決まってないんだけど、香りは本当に気に入ってる。今はアウトドアブランドのHi-TECとシューズの開発をしていて、完成させるが楽しみだね。それと、ロンドンの美術館ICAで開催されるリンダー・スターリング(Linder Sterling)のART NIGHTのためにファッションのキュレーションを手掛けてるんだ。ルイーズ・グレイ(Louise Gray)やルーク・ブルックス(Luke Brooks)、ジェイムズ・バック(James Buck)、僕が思う天才たちにも声をかけてプロジェクトを進めてる。僕にとって夢の共演だよ。

Credits


Text Steve Salter
Photography David McKelvey
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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