同性愛を罪としてオスカー・ワイルドが収監された刑務所

ナン・ゴールディン、パティ・スミス、アイ・ウェイウェイ、ヴォルフガング・ティルマンスらが、オスカー・ワイルドの苦悩に触発され作った作品を寄贈。

by Hannah Ongley
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14 October 2016, 2:50am

facebook.com/artangelfb

英文学の伝説的文豪オスカー・ワイルド。恋人アルフレッド・ロード・ダグラス(ワイルドは愛情を込めて「ボージー」と呼んでいた)が父親から同性愛を理由に度重なる迫害を受けるのを見かねていたワイルドだったが、この父親がワイルドにも中傷行為を働いたことで、告訴に踏み切った。しかし、この裁判のなかでワイルドが同性愛者であることを明示する証拠が露呈し、ワイルドは敗訴。そして1895年に卑猥罪で逮捕、レディング刑務所C棟に収監された。それから2年ものあいだ、孤独と重労働を強いられる中——1900年に死亡したワイルドの死因は髄膜炎で、この投獄期間中に患ったものという説もある——の1897年1月から3月までの2ヶ月間、ワイルドは恋人ボージーに宛てて50,000ワードに及ぶ手紙を書いた。完成とともに没収されたというこの手紙が『獄中記』だ。

ワイルドは『獄中記』のなかで、自身の同性愛については示唆する程度にとどめている。それもそのはず、イギリスでは彼の死後67年後になってようやく同性愛が合法となったのだ。それでも、イギリス、そしてアメリカにおいてLGBTQの人々が平等の権利を得るまでに辿らねばならなかった歴史を語る上で、この『獄中記』が持つ重要性は極めて高い。ロンドンから西へ車で1時間ほど、テムズ川とケネット川の合流地点に位置するレディングという町で、アートエンジェル(Artangel)による展覧会『Inside - Artists and Writers in Reading Prison』が開催されている。ワイルドがレディング刑務所で経験した時代に焦点を当てた朗読イベントも行われた。『獄中記』がその後の同性愛社会に残した偉大な遺産を讃えながら、孤立感や幽閉感などの普遍的テーマを浮き彫りにしている。1970年代から80年代にかけてLGBTQコミュニティを撮り続けた写真作品群が今日も世界中のひとびとに共鳴を呼んでいる写真家ナン・ゴールディンは、ワイルドが投獄されていたレディング刑務所C棟の独房を使い、写真展示と短編映像作品上映を行なっている。『Guardian』紙によると、ゴールディン作品のひとつには、70年前に受けた同性愛行為有罪判決に関して、今なお政府の公式謝罪を求めている現在91歳の男性のインタビュー映像があり、また依然として同性愛を違法としている国・地域における同性愛者たちの権利について探った作品も展示されていると報じている。

この『Inside』展には、他にもアイ・ウェイウェイ、ヴォルフガング・ティルマンス、マルレーネ・デュマス、パティ・スミスなどのアーティストが参加している。パティ・スミスは、ワイルドがボージーに宛てた手紙の一節を朗読するそうだ。「別離の耐え難い痛み、拷問のようにゆっくりと流れる時間、裏切り、贖罪、そして愛——ワイルドが最後の作品で描いたそれらのテーマを、多方面から表現しようと立ち上げたのがこの展覧会です」とアートエンジェルは話している。

Inside - Artists and Writers in Reading Prison』は2016年10月30日まで開催。

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Credits


Text Hannah Ongley
Image via Facebook
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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