ボウイやプリンスに扮した若きLGBTQ

オーランドで起こったゲイクラブ乱射事件。その翌日に撮影された「Faint of Heart」のミュージックビデオには、作家のタイラー・フォードやアメリカのテレビドキュメンタリー番組『I Am Cait』に出演しているエラ・ジゼルなど、従来のジェンダー区分にとらわれないユースたちが起用されていた。

by Emily Manning
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05 August 2016, 2:39am

ティーガン&サラ(Tegan & Sara)は、タレント発掘ショーのあり方を熟知している。ふたりがリリースしたばかりのビデオには、20世紀を代表するアイコニックなスターに扮したLGBTQのユースたちが登場し、80年代シンセポップ調のシングル「Faint of Heart」に合わせて口パクを披露している。作家のタイラー・フォード(Tyler Ford)はプリンスに扮し、ドミニク・ラヴィーナ(Dominic Ravina)はエルヴィス・プレスリー、ドキュメンタリー番組『I Am Cait』に出演しているエラ・ジゼル(Ella Giselle)はマドンナとして出演し、オラビシ・コヴァベル(Olabisi Kovabel)はグレイス・ジョーンズ、クーパー・トライベル(Cooper Treibel)はデヴィッド・ボウイに、そしてエリ・アーリック(Eli Erlick)とニー・チンマリーノ(Ni Ching-Marino)がティーガン&サラに扮している。現代のLGBTQユースにスポットライトを当てるべく、ティーガンとサラ自身は観客として一瞬だけ姿を見せるにとどめている。

このビデオは、フロリダ州オーランドで起きたゲイクラブ乱射事件の翌日、6月12日に撮影された。「あの悲劇には個人的に感じるものがあって、撮影中はもちろん事件のことがずっと頭にあった」とティーガンは『Teen Vogue』誌に語っている。「セットに足を踏み入れた瞬間、いろんな思いに胸がいっぱいになった。出演者の子たちはみんな若く、撮影を楽しみにしていて、才能に溢れフレンドリーで、それぞれが個性的だった。このビデオが特別なものになると直感したわ」。「たくさんのLGBTQの人たちとともに撮影をするということ——それが特に、乱射事件があった翌日だったということもあって——は必要なことだったし、何かが育まれている感覚があった。それはとても肯定的なもので、癒しのようでもあったの。自分のコミュニティと一緒に、そしてそのなかでものを作れるというのはとても重要なことだと実感した」

ティーガン&サラはこの問題が広く知られるようになる前——1998年に初ツアーを敢行したキャリア初期——から一貫してLGBTQの人権と自由に関する訴えと発言を続けてきた。彼女たちは今、そのような問題に真摯に取り組み続けているだけでなく、若い世代のクィアキッズたちに「自分を愛しなさい」とメッセージを送っている。そんな彼女たちを見ると感慨深いものがある。「尊敬できるひとを持つということ、自分がその一部であると実感できるコミュニティを見つけるということ、自分を表現するということ、そして勇気を持つということ——そうしたものすべての大切さが、このビデオのテーマ。今のLGBTQユースは、それらに対してとても積極的。強くなろうと励んでいるんです。世界には醜い力が確かに存在するけれど、私たちはそういったものに立ち向かっていかなきゃならない」とティーガンは言った。

Credits


Text Emily Manning
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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