干渉へのアンチテーゼ : NEGLECT ADULT PATiENTS 19SS

いつものヒカリエに少し異様な雰囲気が流れていた。プロデューサー・渡辺淳之介が手がける個性的なアイドルの晴れ舞台を見るために整理番号順に200人以上のファンが並ぶ。BiSHやBILLIE IDLE®などアイドル業界に数々の衝撃を与えてきた彼が魅せるファッションとは?

by YOSHIKO KURATA; photos by Koichiro Iwamoto
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17 October 2018, 12:37pm

世の中が過剰になり始めていることは誰しも感じていることだろう。何気なく点けるテレビ、そこで受動的に浴びせられるニュースには、ほとんど私たちの生活とは関係ないスキャンダルや掘り下げる必要があるのかわからないネタに溢れている。客観的に見ればその光景は異常のほかないことだが、一方でその過剰な反応は、個々の個々に対する干渉の過剰化によるものでもあるように感じる。「スキャンダルや色々なものに対して、違和感を感じてました。だからいっそのこと子どもみたいに戻れば楽しいんじゃないかなという発想源から、全員病気という設定で今回ショーを発表しました」。そう語る渡辺氏のユーモラスは大胆かつ痛快なものだった

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そもそもブランド名「NEGLECT ADULT PATiENTS」は直訳すれば、「大人な患者は無視」という意味合いも持ち、大人になりきれないデザイナーの心情そのものを表現しているコレクションを打ち出してきた。ショーのはじまりは、そのブランドコンセプトを表すかのように胸元に大きくブランド名がプリントされたフーディーを被った(私生活では恐らく思春期真っ最中であろう)少年たちがしばらくステージに睨みをきかせて、立ちつくす。700名以上の観客に少し恥ずかしさを感じている姿もまさに彼の正直なリアクション。その本人たちの必死な姿勢と鑑賞者の愛らしいものを見つめる眼差しは、パンクなファーストルックと爆音パンクBGMによって一変し、日本文化のもと外部からカテゴライズされた「SICK」な子どもたちがスポーティーなスリッパでランウェイを慣れない足元で駆け抜ける。

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モヒカン頭の全身ヒョウ柄のマイルドヤンキーカップル、スタッズ付の便所サンダルで練り歩く反抗期のパンクルックな少年たち、「SICK/SICK」「BAD HEALTH」などの言葉遊びを施したウェアラブルアイテムをまとう等身大の子どもたち。彼らだけでなく、バスローブ姿のピンクモヒカン頭のおじさんは、まさに「病気」と認めることで幸せな「STANDARD LIVING」を手にいれたようだ。そして、会場にどよめきを与えたのは、しっかりセットした髪型で焼きそばを食べながらジャージ姿のひきこもり女子。すべてが本人たちにとっての等身大でありながらも、ここファッションショーにおいて、"見る/見られる"という関係性が出来上がることでアイロニカルに今回のコンセプトが浮かび上がる演出だった。

NIGO@とアイドルグループのプロデュースを行っている一方で、ファッションにおいては裏原を尊敬してやまないと語る渡辺は、ファッション、音楽すべてをボーダレスにし、いま現在の新しい裏原を自らの感覚で掴もうとしている。

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Credit


Photography Koichiro Iwamoto

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