サム・フリークス​特集上映vol.5 ケベックの青春映画『まどろみのニコール』とゲースロの”彼”の初主演作『ステーション・エージェント』

「はみ出し者」映画の特集上映第5弾。ケベック版『フランシス・ハ』×『ゴーストワールド』とも評される『まどろみのニコール』とピーター・ディンクレイジ初主演作『ステーション・エージェント』が一日限定で上映される。7/6(土)渋谷ユーロライブにて開催。

by Takuya Tsunekawa
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26 June 2019, 10:17am

「はみ出し者」映画の傑作を特集する上映イベント「サム・フリークス」の第5弾が、7/6(土)に渋谷のユーロライブで開催される。

今回は、2015年のカナダアカデミー賞で6部門にノミネートされたケベック産青春映画『まどろみのニコール』(ジャパン・プレミア)と、『スポットライト 世紀のスクープ』でアカデミー作品賞を受賞したトム・マッカーシーの監督デビュー作『ステーション・エージェント』(日本未公開・未ソフト化)を上映する。

まどろみのニコール, サム・フリークス
『まどろみのニコール』

日本初上映となるケベック映画『まどろみのニコール』は、不眠症に悩まされているニコールの大学卒業後のモラトリアムな日々をモノクロームで描いている。彼女は両親が長期休暇で不在のあいだ、実家で気ままに過ごしたり、「老夫婦」のようにいつも一緒にいる金髪の親友ヴェロニクとあてもなくぶらぶらしているが、兄がバンド仲間を引き連れて戻ってきたことで生活に徐々に微妙な変化が生じていく。

ケベック版の『フランシス・ハ』や『ゴーストワールド』と評されているが、ここでは白黒の画面は、永続的な夢のような感覚として機能している。

劇中でSF映画『姿なき訪問者』へのリファレンスがあるが、監督のステファヌ・ラフルールは、声変わりの最中にある少年に成熟した中年男性の声を当てるなどSFのような遊び、あるいは無表情喜劇的なシュールなユーモアの要素を溶け込ませているのだ。そして「間欠泉」のような怒りとともに、疎外感に捕らわれたニコールは「ここではないどこか」へと目覚めるのである。

日本では2004年の第3回鉄道映像フェスティバルで上映されたきりでこれまで封印されてきた名作『ステーション・エージェント』もまた、気だるい夏の風景とはぐれ者への共感を静かな叙情で湛えている。

ステーション・エージェント, ピーター・ディンクレイジ,
『ステーション・エージェント』

『ゲーム・オブ・スローンズ』などで知られるピーター・ディンクレイジの初主演作となった本作で、監督のトム・マッカーシーは、もともと「小人」を想定していたのではなく、世界から孤立することを選んだ鉄道愛好家の物語を企図していたという。

マッカーシーは、怒りもロマンティックな感情も内包した多面的な生身の人物として彼を扱っている一方で、「見えない」存在として、嘲笑の対象にされている側面をあえて強調している。標準から外れている者に対して差異をあげつらうボディ・シェイミングが蔓延する社会のなかでは、周囲から浮いている方が疎外感を抱かせるわけである。だから彼は一人でいることを好む。そんななかで、社会の一部になれない者たちが互いの疎外感を分かち合いながら、思いがけない友情を形成していく。

以降も疑似家族の物語を真摯に紡いでいくことになるトム・マッカーシーの原点であり、クリント・イーストウッドも称賛した。

世界的に高く評価された傑作を、日本語字幕付きでスクリーンで観られる貴重な機会をお見逃しなく。


「サム・フリークス Vol.5」
日時:2019年7月6日(土) 会場:ユーロライブ(渋谷) 料金:2本立て1500円(入れ替えなし・整理番号制)
13:00~ 当日券販売開始
13:30~ 開場
13:45~『まどろみのニコール』上映
15:30~『ステーション・エージェント』上映

なお本イベントでは、有料入場者1名につき250円が、すべての子どもたちが社会から孤立することなく暮らしていけるようになることを目的とした学習支援や自立支援のために、認定NPO法人「3keys」へ寄付される。