Claud by Jeremy Reynoso; Sen Morimoto by Dennis Elliot; Priya Ragu via IG; Goya Gumbani by Diogo; daine by Phebe Schmidt; Louis Dunford by Alex Kurunis; Raissa via IG; Mustafa from "Air Forces".

i-D編集部が選ぶ、2021年に聴くべき新世代のミュージシャン8選

トロントを代表する若きソングライターから『ハウルの動く城』の影響を受けたポップスター、シカゴ在住のジャズミュージシャン、ベッドルームポップの申し子まで。今年聴くべき8人のミュージシャンを、i-Dが厳選してご紹介。

by Frankie Dunn; translated by Nozomi Otaki
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19 January 2021, 2:47am

Claud by Jeremy Reynoso; Sen Morimoto by Dennis Elliot; Priya Ragu via IG; Goya Gumbani by Diogo; daine by Phebe Schmidt; Louis Dunford by Alex Kurunis; Raissa via IG; Mustafa from "Air Forces".

今のご時世、キャリアを始めるのはどの業界でもとてつもなく困難だ。しかも最初の1年目にツアー(禁止)、ヴェニュー(閉鎖中)でのパフォーマンス、世界中のフェス(ことごとく中止)が必須の音楽業界なら、なおさら苦労を強いられる。コロナ封じ込めに成功したニュージーランドを拠点とするアーティスト以外には、幸運を祈る、としか言いようがない。

しかしありがたいことに、パンデミックが始まって約1年になるが、慰め、現実逃避、娯楽としての音楽の需要は高まるいっぽうだ。どこにも出かけられない今だからこそ、これまで以上に音楽に打ち込む新世代のアーティストが増えている。繰り返し聴いているプレイリストをそろそろ更新したいというあなたに、コロナ禍に負けず2021年の音楽業界に革命を起こすに違いない8人のアーティストを紹介する。

ルイス・ダンフォード(Louis Dunford)

 イングランドの首都ロンドンは、音楽的に決して目新しいテーマというわけではない。しかし、イズリントンで生まれ育ったシンガーソングライター、ルイス・ダンフォードの「London’s Requiem」ほどエモーショナルな曲は少ないだろう。曲中で彼が歌うのは、ホームレス、刃物による犯罪、夜中に鳴り響くサイレン、あっけなく失われていく若い命などの実体験にもとづくストーリー。それに続くシングル「Regretamine」は、前作とは打って変わって美しいアコースティックナンバーで、彼が偶然にもケタミンを使用した2度の体験を回想している。

リリースから1ヶ月足らずにもかかわらず、わずか数分でライブをソールドアウトにしたこともある彼の忠実なファンたちは、この曲を通して、今の状況下ではなかなかできない友人とのパーティーを疑似体験しているのかもしれない。

 この2曲は、1月15日にRCAから発売されたルイスのデビューEP『The Morland』に収録されている。タイトルは彼は育った団地からとったもので、希代のストーリーテラーのさらに巧みなリリシズムを存分に味わえる1枚となっている。

クロード(Claud)

ダークな楽曲に定評のあるフィービー・ブリジャーズから、彼女が新たに立ち上げたレーベル〈Saddest Factory Records〉と契約してほしいと頼まれたら、誰でも自分は間違っていなかったと確信するだろう。それはまさに、21歳のクロードに起こった出来事だ。

 「Gold」や「My Body」、さらに傑作「WISH U WERE…」といったヒット作を連発するなど、2020年は、自らのサウンドを「深夜のおやつと相性ぴったりなポップミュージック」と形容するレインボーヘアのアーティストにとって盛りだくさんの1年だった。2月23日にリリースされるデビューアルバム『Super Monster』を聴けば、誰もが共感できる青春ストーリー、そしてクロードの友人で最近SHELLYというバンドを組んだばかりのクレイロ(Clairo)をはじめとするコラボレーターに魅了されること間違いなしだ。

ムスタファ(Mustafa)

 若干24歳にして、音楽と詩の世界で10年以上活躍してきたムスタファ。トロントで生まれ、LAを拠点とする彼は、十代前半で言葉の持つ力に気づいたことで詩と出会い、すぐに地元リージェンツ・パークの中心人物として頭角を現す。

 その後も才能を伸ばしながら詩をメロディにのせるようになり、自身のソングライティングの技術をTHE WEEKNDやカミラ・カベロなどのアーティストに提供し始めたあと数年も経たないうちに、銃による暴力で親友たちを喪ったことをきっかけに自ら楽曲を発表することを決意する。

ムスタファいわく「都会人の内面的な音楽」にのせられた、嘆きや怒りと向き合うなかで生まれる悲しげなヴォーカルや非常にパーソナルなリリックは、いずれも深く心を打つ。

2020年のシングル「Stay Alive」で、彼はいかなる逆境にも負けず生き続けよう、という最も重要な命題を提示した。数ヶ月以内にリリース予定のデビューEP『When Smoke Rises』には、ジェイムス・ブレイク(ナビル・エルダーキンが監督を務めたムスタファとのコラボ曲「Come back」も要チェック)、サンファ(Sampha)、Jamie xxの参加が決定している。

ライサ(Raissa)

優れたポップスの創り手、宮崎監督作品のファン、キング・プリンセスと同じレーベルに所属。それらすべてに当てはまるのが、23歳のシンガー/プロデューサー/ヴィジュアルアーティスト、ライサだ。スペイン人とフランス人の両親のあいだに生まれ、アジアやオーストラリアの都市を転々としながら育ったライサは、2020年はじめ、ロンドンに引っ越したことをきっかけに楽曲の公開を始めた。

その短期間で、アニメの影響を受けたシンセポップ「Bullying Boys」から2月14日に贈る特別な「Valentine」、〈A bedroom PROJECT〉が手がけるスピーディなMVが印象的な「Go Fast Baby」、『ハウルの動く城』から着想を得た「Crowded」まで、次々と楽曲を発表している。

大のファンタジー好きである彼女が、マーク・ロンソンのレーベル〈Zelig〉から近日リリース予定だというデビューEP『HEROGIRL』でどんな姿を見せてくれるのかもお楽しみに。

プリヤ・ラグー(Priya Ragu)

 2年前に仕事を辞め、数ヶ月でフルアルバムを完成させることを決意してNYに引っ越したスイス系タミル人のプリヤ。

R&B、ファンク、タミルの民族音楽を融合させたデビューシングル「Good Love 2.0」で、彼女は兄弟のジャフナ・ゴールド(Japhna Gold)がサンプリングした楽曲にのせて、全能の愛にまつわるソウルフルな物語を見事な歌声(時にはラップ)で歌い上げた。

まさに天国でつくられたマッシュアップだ。この曲はすでにLITTLE DRAGON、ジョー・ゴダード、ハニー・ディジョンによって3度リミックスされ、ビデオゲーム『FIFA 21』のサウンドトラックにも起用された。アルバムの完成が待ち切れない!

セン・モリモト(Sen Morimoto)

 シンガー、ソングライター、ラッパー、サックス奏者、プロデューサー、詩人、レーベルオーナーとして多方面で活躍するセン・モリモト。そんな彼が昨年リリースしたアルバムは、2020年に正当な評価を得られなかった名盤のうちの1枚だ。

京都に生まれ、シカゴを拠点とする彼が10月にリリースしたこの壮大な作品は、センが最近会得したばかりの、ジャズとベッドルームポップのあいだの絶妙なバランスを保つサウンドを堪能できる。

ぜひ今年1年の彼の活動を追いかけ、実験的なMVをチェックし、もしライブが発表されたらすぐにチケットをとってほしい。セン・モリモトと彼のバンドは、他とは一線を画するアーティストだ。

ゴヤ・ガンバニ(Goya Gumbani)

ブルックリンに生まれ、ロンドンを拠点とするラッパー、ゴヤ・ガンバニが繰り出すのは、彼が暮らす街を構成するサウンドに満ちた、メロウな90年代風ヒップホップ。

卓越したストーリーテラーでもあるゴヤは、オリバー・パルフレイマンが手がけた見事なアートワークが印象的な最新EP『Truth Be Sold』で、人生、死、唯物論を省察した。聴けば新たな教訓が得られるはずだ。

さらに彼は、Nicholas Daleyのキャンペーンをはじめとしてモデルとしても活躍、見事なスタイリングを披露している。リラックスしたフローとファッションで、目も耳も楽しませてくれるアーティストだ。

デイン(daine)

途方もないダーク・ポップ・ファンタジーから誕生したアーティスト。フィリピン人とオーストラリア人の両親のあいだに生まれた現在18歳の彼女は、ゼロ年代の米国中西部のエモと、地元メルボルンのハードコアシーンからのインスピレーションをつなぎ合わせて内省的なサウンドを生み出している。

彼女が初めてリスナーを魅了したのは、2020年のデビューシングル「Picking Flowers」だった。Circle Pittが手がけた穏やかながらトリッキーなメロディ、そしてデインが悪霊や幽体離脱について歌いながら森の上の漂うCGのミュージックビデオ……。好きにならない理由がない! 2021年はもっと進化した姿が見られるはずだ。

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