オオスミタケシが吉井雄一と最後に手がけたコレクションMISTERGENTLEMAN AW21

2021年1月末に逝去したオオスミタケシ氏がデザインしたラストコレクションが、東京ファッションウィークで発表された。

by Tatsuya Yamaguchi
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01 April 2021, 2:43am

早すぎる訃報だった。オオスミタケシは、1993年にヒップホップグループSHAKKAZOMBIEを結成し、Big-Oの名での音楽活動で知られた彼は、ストリートウェアブランドのSWAGGER、その数年後、ソロプロジェクトとしてPHENOMENONをスタートし東京のファッションシーンの隆盛を牽引してきた存在だ。MISTERGENTLEMANを吉井と発表したのは、2012年。2018年にはレコードショップWAVEを始動し、日本の音楽界とファッション界に忘れえぬ足跡を残してきた人物である。入院していた病院でも亡くなる直前まで今回のコレクションの制作に力を注いでいたのだと耳にした。1月末、敗血症により逝去。47歳だった。

2021年3月17日(水)、MISTERGENTLEMANが、長らく発表し続けてきた渋谷ヒカリエのホールAで2021年秋冬コレクションを披露した。黒い服を身に纏ったゲストは、献花のための白い薔薇を手に、オオスミタケシと吉井雄一が手を組んだランウェイショーを活目していた。

フラットな白いフロアに現れた40体のルックの中に、オオスミタケシの志向と、呼吸のようなものをたくさん発見することができた。変わらぬ、ブランドの美意識を体現するモデルのキャスティングに加え、パンツ丈やカットアウトして露出する肌からも醸し出される、少年の心のようなピュアネスを賛美すること。あるいは、テーラリングを基本にした異質な要素の軽妙なハイブリッド(あるいはリミックス)、不規則なレイヤードで生まれる若々しいエネルギー。吉井とともに生み出してきた、MISTERGENTLEMANのスタイルの数々である。

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今季もまたジャケットやミリタリーウェアといったベーシックを基本としながら、クロップドされ躍動するエコファー、PVCマテリアル、ムートンやボアのベスト、レッグカバーなどの構築的なアタッチメントアクセサリー、ラスト数ルックにあったきらめくホログラムといった意表をつく組み合わせの美学を貫きながら、エレガンスかつ軽やかにメンズウェアをアップデートしていた。特筆すべきは、PHENOMENONを代表する柄である“レモンツリーカモ”と“ブルータイガーカモ”があったこと。そして、「人類が直面する危機や不安を超えた先にあるべき愛と平和を願う」、「FREE YOUR MIND」「Love is love」「Let your voice be heard」「Child of the light」といった、静かだか強いコレクションのキーワードにあった。

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純白の薔薇を手にしたモデルが登場したフィナーレの後、会場のあかりは暗転し、レーザービームが交差する空間で大沢伸一自ら編曲したというMONDO GROSSOの「One Temperature ft. Big-O」が流れた。ゲストはその短い時間の中、ファッションが愛や自由を表現でき、作り手の想いがコレクションにすべからく宿り続けることを再確認した。明るい未来を感じさせてくれるコレクションが発表されたことに心から感謝し、オオスミタケシ氏の残した数々の功績に敬意と、哀悼の意を表します。

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