i-D編集部が選ぶ「サマー・ソング」6曲

i-D編集部がそれぞれ偏愛する夏の1曲を紹介。ラモーンズから山下達郎、はたまたタイの女優が歌った往年の名曲まで——暑くて家から出る気がしない時に、またはドライブのお供にどうぞ。

by i-D Staff
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24 August 2016, 2:22am

ラモーンズ「Rockaway Beach」(1977)
言わずと知れたNYのパンクバンド、ラモーンズ。ジャケ写から想像すると黒の革ジャンにスキニージーンズを纏い、露出が最小限に抑えられている雪のように白い肌の4人組が思い浮かぶだろう。「夏」「海」などの単語とは到底結びつかないイメージを持つ彼ら。しかし、この生粋の都会っ子集団は1977年に、東京でいう「江の島」に当たるNYのロッカウェイ・ビーチに名を借りた曲を発表した。実は隠れビーチ好きである初代ベーシストのディー・ディー・ラモーンが作詞作曲を手がけたこの曲は、ビーチ・ボーイズの爽やかな名曲「Surfin' Safari」に毒を盛って狂乱させたような2分間となっている。快晴のビーチよりも曇り時々晴れくらいのビーチが好きなあなたに薦めたい1曲。

山下達郎「高気圧ガール」(1983)
山下達郎の曲は、クリスマスソングだけではない。夏のドライブにはこの「高気圧ガール」を聞きながら、山を越えて雲のなかを走って行こう。曲が終わる頃には、目の前に海が広がるはず。ちなみに、この曲の入っているアルバム『MELODIES』には、あの「クリスマス・イブ」も入っているので、1年中あなたの車で聞けるはずです。

山下 達郎 高気圧ガール 投稿者 lovesanta

ナディア「หวานฉ่ำ」(2000)
マルコス・ヴァーリが作曲した、ボサノヴァのスタンダード曲「So Nice」をタイの女優ナディアが歌ったこの曲は、数あるカバーのなかでもとりわけポップでスウィート。曲名が読めなくても気にならないほどの完成度だ。このカバー企画を提案したプロデューサーと、その2年後に自身の映画『ブリスフリー・ユアーズ』のオープニングにこの曲をあてたアピチャッポン・ウィーラセタクン監督のセンスはSo Niceとしか言いようがないだろう。ブラジル生まれのラブソングが、遠く離れたアジアの、同じく熱帯雨林に囲まれた地でカバーされたことの可笑しみと必然を思う。

デュラン・デュラン「Rio」(1982)
80年代のミュージック・ビデオ・ブームの走りとも言える彼らのMVはアートと称えられ、当時の若者の胸を熱くした。カリブの青い海と白いビーチ、そして「Rio」という名のおねえちゃん......。ビーチで優雅にカクテルを飲むというよりも、チェリーアイスクリーム片手にブルーハワイのプールにダイブするような1曲。ちなみに途中に入る笑い声はニック・ロードの当時の彼女のものだとか。

ザ・マグネティック・フィールズ「The Saddest Story Ever Told」(1992)
夏は若者の季節だ。と思うのは、そこに溢れるエネルギーが、衝動や奔放さといった若者が備えている性質と呼応するからだろうか。この曲では、大人になった"僕"が学生時代に体験した一夏の恋を振り返っている。思春期の甘酸っぱい恋や恋未満のあらゆる思い出は、同時期のほかの出来事以上に記憶に残るものだ。それも成就した恋よりも、報われなかった恋のほうが、特に。そういえば、藤田湘子もこういう俳句を作っている「愛されずして沖遠く泳ぐなり」

アート・リンゼイ「Illuminated」(2002)
ギターをギコギコしたあとにボサノヴァに転向しただけがアート・リンゼイじゃない。彼にとって楽譜やコードは、想像の邪魔になる仕切りに過ぎないのかもしれない。カオスに聞こえるかもしれないけれど、彼の音はいつだって刺激的で緻密。感覚を研ぎ澄ませてくれる。そのなかでも「Illuminated」は、『セックス・アンド・ザ・シティ』のサウンドトラックにも使われていて、都会にお似合いなのは間違いない。気になる相手とのロマンスやパートナーとの喧嘩、日々の仕事や街の喧騒でさえも涼しくしてくれる。まだまだ続く残暑、ノスタルジックな心地にしてくれるこの1曲をサウンドトラックにどうぞ。

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