リアルとフィクション、アートの狭間で

表現の手法やジャンルを軽々と越えていくピエール・ユイグ。彼の展覧会シリーズの第2弾が、エスパス ルイ・ヴィトン東京で開催されている。

by Kanayo Mano
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06 October 2016, 8:40am

もともと科学に興味を持ち、生物学を学んでいたピエール・ユイグにとって、自然科学とアートの境界線は曖昧だったのかもしれない。2014年にロンドンで開かれた個展「Pierre Huyghe. IN. BORDER. DEEP」で発表された、1914年から1918年のあいだに、モネがパリ郊外のジヴェルニーの庭園で作っていた睡蓮の池の環境を水槽内で"再現"するという作品は、自然と人工物の境界を曖昧にするだけでなく、自然とアート、過去と現在の境目も見事にマージさせていた。ピエール・ユイグというアーティストはアートの固定観念を軽々と飛び越え、科学や哲学、文学、建築などのジャンルと交わり、まるで魔術師のように、フィルムやオブジェクト、素描などといったさまざまな形で作品を発表し続ける稀有な存在だ。

そんなユイグの展覧会が、東京・表参道のエスパス ルイ・ヴィトン東京で開催されている。本展は、ユイグの作品を多く所蔵する芸術機関フォンダシオン ルイ・ヴィトンがキュレーションを担う「Hors-les-murs(壁を越えて)」プロジェクトの一環として企画。そのコレクションのなかから「A Journey That Wasn't」(2005)と「Creature」(2005〜2011)の2作品が紹介される。作品の舞台は地球温暖化により氷冠が溶けて地図にない島が現れ、野生動物の変異が加速する南極大陸。探検旅行を試みたユイグが、誰も姿を見たことのないアルビノのペンギンを探して上陸した島から、私たち鑑賞者に何を見せるのか。自らの作品を「多孔質」と表現するユイグの言葉通り、作品に空いたいくつもの穴が現実、フィクション、アートの世界と通じ、さまざまなジャンルとマージする衝撃を、同作を見て確かめてみてほしい。

「PIERRE HUYGHE Part II」
会期:9月30日〜2017年1月9日
会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京
住所:東京渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7F
開館時間:12:00〜20:00
休館日:ルイ・ヴィトン表参道店に準じる
入場料:無料

Credits


Text Kanayo Mano
Photography Pierre Huyghe – Courtesy of the artist and Marian Goodman Gallery New York/Paris ©ADAGP, Paris 2016

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Pierre Huyghe
pierre huyghe part ii