ACUOD by CHANU 17AW 反体制的平和のために

24歳の気鋭デザイナーによるストリートモード・ブランドACUOD by CHANU。最新コレクションでは、“反体制の平和”を表現した。「ラブ&ピースみたいな平和はつまらない」

by Sogo Hiraiwa
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22 March 2017, 10:50am

「BREAK DOWN WALLS. ZIP UP DIFFERENCE.」をテーマにしたACUOD by CHANU 2017秋冬コレクションのショーは、ふたりのアーティストによるパフォーマンスで幕を開けた。ヒューマンビートボックスの日本チャンプ・KAIRIが奏でる重低音のビートが会場中に振動を伝わせると、アニメーションダンサーのGENDAIがそれに応えるようにして体を動かす。ヒップホップカルチャーに強く影響を受けたデザイナーの李燦雨(チャヌ)らしいオープニングだ。

パフォーマンスが終わると、暗転を挟んでモデルたちのキャットウォークが始まった。モデルたちは皆、大きなジップが横断したマスクをしている。「男女の性差を消すため」とチャヌはその理由をインタビューで語った。ユニセックスブランドであるACUOD by CHANUのショーでは男女が入り混じって歩き、男性モデルがスカートをはく。ライダースジャケットやキャップからはオーガンジーが垂れ、モデルが歩を進めるたびに軽やかにたなびいている。

TシャツやトレーナーにはGivenchyのエンブレムデザインも手がけたアーティストの渋谷忠臣によるピースマークのモチーフがあしらわれていた。これは単なる平和の印ではない。「平和を表現したかった。でも"ラブ&ピース"みたいな平和はつまらない。社会への反抗性をもった平和を表現したかったんです」とチャヌが語るように、このいびつなピースマークは、一見相反するようにみえる事柄を同化させ、調和をもたらす希望の印なのだ。ショーは、両サイドに別れて並んでいた、黒一色に身を包んだモデルたちと白い服をまとったモデルたちが、交互に混ざり合ったところでフィナーレを迎えた。

彼が今回のコレクションで壊そう(BREAK DOWN)と試みた壁(WALLS)は、トランプ大統領がメキシコとアメリカの国境地帯に立てようとしている壁であり、イギリスのEU離脱に象徴される、自分とは異なる"他者"を受け入れようとしない人々が心のうちに築いている"見えない壁"に他ならない。もうひとつのテーマ「ZIP UP DIFFERENCE」は、異文化のミックスや男女の性差を無化させるコレクションピースやスタイリングのうちに体現されていた。

毎日着ては脱ぐ服のように、私たちはジップ/ファスナーの開閉を繰り返しながら、異文化を自分のなかに取り入れ、(たとえ少しずつであろうと)同化させていくことができる——今季のACUOD by CHANUは、そんなメッセージを世界に向けて発信していたのだ。

Credits


Photography Ginjiro Uemura
Text Sogo Hiraiwa

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