『i-D Japan』マガジン創刊

36年の歴史を誇るi-Dの日本版『i-D Japan』が5月19日(木)に発売します。

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12 May 2016, 10:25am

記念すべき『i-D Japan』創刊号では、これからの日本を創りだすジェネレーションの才能にフォーカスします。今、まさにファッションアイコンとしての頂点から、第2のチャレンジへと突きすすむ水原希子を、写真家・荒木経惟が撮り下ろします。
特集では、茂木モニカが独自の視点で、インターナショナル化が進む東京のガールズカルチャーを、ニューヨーク在住の写真家・TAKAYが東京に住むリアルキッズの現在を切り取ります。また、二階堂ふみ、村上虹郎、門脇麦などの若手俳優陣に、Licaxxx、JJJ、kom i、KID FRESINOなど、これからの音楽界を牽引するミュージシャンのインタビューを収録。メイクアップアーティストの巨匠、ディック・ページが施すビューティストーリーに加え、小松菜奈の着るsacai、TOGAなどの日本人デザイナーを特集したファッションストーリー、中条あやみの着るコンテンポラリーなシャネルの世界観など、様々な分野で活躍するユースカルチャーを取り上げています。

i-D Japan創刊のごあいさつ

i-Dの創刊者であるテリー・ジョーンズは「街にいる彼らのスタイルがわかるよう、できるだけシンプルに、白い壁の前にでも立たせて撮ってきてくれ」と、ロンドンで起こっている街のざわめきに一人のフォトグラファーを走らせた。3ヶ月後、そのフォトグラファーはパンク全盛期のキングスロードに群がるキッズのリアルな姿を写真に収め、テリーのもとに戻ってきた。数多の写真とともに、彼自身が完璧なパンクスタイルに身を纏うというおまけ付きで。1980年、その写真をもとに作られたファションジンがi-Dの原点となった。

それから36年が経った現在、今や万人の常識となったSNSやインターネットを利用することで、街のざわめきですら画面越しで瞬時に伝わってくる。溢れかえる情報は画面を通じて、誰の手元にもほとんど公平にやってくる。手法が変わっても、ストリートや世界で何が起こっているのか知るため、そして変化の波に乗り遅れないようにするためは、常に意識を向けるしかない。それは昔も今も、そしてこれからもきっと変わらない。

テクノロジ−の発展にともない、日本は未だかつてないほどに多様性に富んだ時代へと突入してる。インターナショナル化が進み、人種や時差の境界線はほとんど消えたも同然だ。一昔前にはそれほど感じることもなかったインターナショナル化も、どんどん進んでいる。小学校の教育では低学年から英語やダンスの授業が義務化され、コンビニエンスストアではアジアの留学生が店員としてせっせとレジのアルバイトをしている。i-D Japanの編集部がある VICE JAPANのオフィスでも、多国籍なワーカーとクライアントが入り交じっている。今やどこに行ってもこういった国際色豊かな風景を見かけることは珍しくなく、決して特別なことではなくなった。

そういった変化に伴って、価値観や流行にも大きな変化が現れた。"一様に一つのトレンドに集中する"という以前の日本特有の流行に対する燃え上がりかたとは違い、流行にも細分化が始まっている。音楽、ファッション、カルチャーといったどのジャンルでも情報過多が起こっている中で、今を生きるキッズたちは溢れかえる無数のコンテンツに心を悩まされることなく、自分の気に入るものだけをうまく取り込んで新たな形へ変えてゆく。そこからは新しいジャンルや思考が生み出され、矢継ぎ早に流行の細胞分裂がおこなわれるのだ。その逆もまたしかり、スピード感や利便性には目もくれず、このご時世においてあえて情報をシャットアウトしながら、創造を内に溜め、吐き出す機会を待つ強者もどこかにいるはずだ。"個性がない"と言われてきた日本人の姿はもうそこにはない。一人一人が自分の興味を素直に認めさえすれば、面倒な付き合いややり取りもなく、自分だけの世界を作り上げられる土壌が整っている。極めて便利な環境も活かすことができなければ宝の持ち腐れになってしまうけれど、それが当たり前に生まれ育った世代が、既に力強く新しい世の中を創りはじめている。

今の東京を構成しているユースたちの間では、一体何が起こっているのだろうか?テリー・ジョーンズがストリートに対して抱いていた飽くなき探究心と情熱にオマージュを捧げるべく、私たちは彼が始めた"straight ups"を創刊するにあたって特集した。SNSがこれだけ常識になった今日ではとてもクラシックな手法かもしれないが、そんな今だからこそ、あえてページをめくる楽しみがそこにはあるはずだ。シンプルで荒削りな原点には、いつだってお楽しみはかくれている。長い年月を経て、遠く海をわたってこうして形になったテリー・ジョーンズの想いを、是非とも手にとって感じていただければと思う。

近い将来、膨大なデータを瞬時に処理する能力を持ち合わせた人口知能が、あなたに取って代わって最良の道を選択してくれるかもしれない。それはきっと安全で、快適で、何の心配もない毎日をもたらしてくれるだろう。しかし人生における魔法は、よくも悪くも予想不可能な出来事を巻き起こす。だからこそ、時には悲しくとも楽しいし、美しい。そうして今を創っているあなたとともに、i-D Japanは創刊する。『originate. don't imitate(模倣せずに、創りだせ)』それがi-Dのスピリットだ。

Credits


Text Kazumi Asamura Hayashi
Photography Nobuyoshi Araki
Styling Erika Kurihara
Model Kiko Mizuhara