PR会社のはじめ方 by デイジー・ホッペン

メディアやファッションの世界で生きていきたいけど、どんな道を辿れば良いのかわからない——そんなことを考えて足踏みしている読者も多いはず。i-Dファミリーに、彼女たちがどのようにしてデザイナーに、スタイリストに、ライターに、ディレクターになったのかを聞くこの「How To」シリーズ。今回は、数々のPR会社で勤め、現在は自身の会社DH-PRを経営しているデイジー・ホッペンに聞いた。

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sep 28 2016, 7:15am

shrimps fall/winter 16. photography mitchell sams.

私の仕事。そしてなぜこの仕事をしているのか。
PR業界で働いています。理由は、私がPRを手がけるブランドやデザイナーのことが好きで、一緒に仕事をしてくれているチームのメンバーが好きだから!今思えば、若い頃は自分が何をしたいのか分かっていませんでしたね。「中世を舞台にした映画や舞台の監修になりたい」と考え、大学で歴史を専攻していました。意図せず転がり込んでしまった業界でキャリアを築くというひとも少なくありません。私はそれも悪くないことだと思っています。「社会にはこうやって出ていかなければならない」とか「キャリアとはこうやって始めなくてはならない」という決まった道筋があるわけではないわけですから。まったく無計画に始まったキャリアも良いものだと思うし、偶然こそがベストな結果をもたらすこともあると思います!
PRをやろうと決断する上で、影響を与えてくれたひとが数人いました。ひとりはMimma VIglezio。私がPR会社を興そうと決める後押しをしてくれたとてもインスピレーショナルな存在でした。家族も同じく大きな影響でしたね。父がフォトグラファーとして長いキャリアを築いていたからこそ、私もフリーランスで仕事をしようと決意できたんです。今でも父とは一緒に仕事をしています。家族と仕事をするというのは私にとってとても重要——私たち家族にとっても重要で、ホッペン家はその価値観を中心に回っているんです。
クライアントやデザイナーが私にアプローチをしてきてくれ始めたとき、私が進んでいる道は間違ってないんだなと確信しましたね。私の会社なりのPR方法があって、それを有益と感じてくれるひとがアプローチしてきてくれているという理想的な流れが生まれてきていました。

日々の仕事
毎日違うけれど、朝早くから仕事を始めて、チームとディスカッションをすることが多いですね。ほかの職員よりも私が遅くまでオフィスに残ることもしばしばです。昼は「チームのメンバーが全員揃ってデリバリーランチを食べる」という機会を週に一度は持つようにしています。日中はほとんど、クライアントやプレスと話をして、発生しそうな問題について意見を交わしたりして、解決策を見出し、常に先回りして考えていられるよう努めています。よく「私ってカメみたい」って思うんです。いつでもノートパソコンを入れたバックパックを背にロンドン中を移動しているから。フットワークが軽いというのはとても大切だと思っています。クライアントと対面で話をして、今後どんな計画があって、それをどのように実現していくかを話し合いたいのでね。夜も大抵、外にいます。ひとに会って、赤ワインを飲みながら親交を深めるんです。家にまっすぐ帰るときは、うちの猫オリーブとゆったりした夜を過ごします。
クライアントのエディトリアル記事を見ると、今でもやっぱり嬉しくなりますね。記事に目を通すのに飽きることなんてありません。クライアントのキャリアを築き上げることがこの仕事の喜びだし、この業界で満足な仕事を気持ち良くする方法をクライアントに示せるのもまた喜びです。懸命に努力することも必要だと思うけれど、楽しく仕事をすることも重要だと私は思いますね。

人々がPR業界に対して抱いている最大の誤解
『アブファブ』的な世界からはかけ離れていますよ!数字にまつわる作業が多い!

Molly Goddard fall/winter 16. Photography Jamie Stoker. 

「あれがあったから今の自分がある」と思う出来事
「あの瞬間」というものはないけれど、業界内の友人の紹介によって今のクライアントやブランドがあるのだと考えると、友人たちには本当に感謝してもしきれない思いですね。そして私のチームですね。彼らがいたからこそ私の会社は成長できたんです。クライアントとチームがあって初めて私の仕事が成り立つんだということは、絶対に忘れてはいけませんね。

大学には行くべきか、行かざるべきか
大学に行くことが絶対に必要かと問われれば——必要ではありませんよね。私は歴史を勉強したけど、今ここにいるわけですから。私の会社では、通信やマーケティングを大学で専攻したような人材は採用しない傾向にあります。個人的には、言語関連のスキルがあったり、文章を書くのが上手だったり、きちんと会話ができるようなひとのほうがよかったりします。業界で一歩抜きん出るには、経験が不可欠。経験に貪欲なひとには労働倫理と意欲がみられます。この業界はペースも速く、残酷だったりもしますよ。テレビがことさらグラマラスに演出したがる、あんな華やかな世界では決してありません。

この業界で働きたい人たちへ
履歴書やメールは完璧な言葉と見栄えで。ひとつの文書に違うフォントが使われていたり、スペルに間違いがあったりするものがいかに多いことか。友達にコネがあるひとがいれば、紹介してもらうのが良いと思いますね。うちのインターンはほとんどが紹介からの採用です。

これまでに学んだなかで最大のレッスンとは
良い意味でも悪い意味でも、「自分のしたことは必ず自分に返ってくる」ということ。それから、マナーはわきまえているに越したことはないということ。

これまで得たなかで最高のアドバイスとは
「優しさで勝つ」

明日が楽しみ。なぜなら……
ロンドンのファッションウィークが始まりますからね。ショーや展示会がたくさんあって忙しくなります。うちの会社には決まったルールというものがないので、いくらでもクリエイティブな未来を築ける——だから未来が楽しみです。

私を最も触発してくれるひと
ステファニー・ホッペン、私のおばあちゃんですね。お金の話や法的な話、そして新しいヘアドレッサーからケイタリングに関する相談まで、アドバイスが必要なときはおばあちゃんのところへ行くんです。私のおばあちゃんほどよくロンドンを知っているひとはいませんから!

2020年にはどこに?
もっと大きなオフィスにいれたらいいですね!

Credits


Text Daisy Hoppen
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.