10代の娼婦、その30年後

2015年にこの世を去った写真界の巨匠、メアリー・エレン・マーク。30年前に出会った10代の娼婦の今を伝える展覧会『Tiny: Revisited』がニューヨークで公開されている。

by Hannah Ongley
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03 June 2016, 2:45pm

© Mary Ellen Mark

1983年、メアリー・エレン・マークは、シアトルの家出少年・少女のポートレートを撮り始めた。その作品群は『LIFE』誌でフォトシリーズとして掲載され、後に『Streetwise』と名付けられて彼女の代表作となった。『Streetwise』を撮影している際、彼女は売春婦、タイニーと出会った。タイニーの本名はエリン・ブラックウェル。当時、まだ13歳で「ダイヤモンドと毛皮と10人の子供を手に入れて、馬がいる牧場に暮らすのが夢」と語っていた。しかし、20年後の彼女が実際に手に入れたのは、子供10人とダイヤモンド0個、それにやっかいなドラッグ中毒だった。彼女は、メアリーが『Streetwise』でポートレートに捉えた子供のひとりにすぎない。しかし、フランス人娼婦を気取ったハロウィンコスチューム姿のタイニーの写真を見れば、彼女こそがその中のスターであったことは誰の目にも明らかだ。メアリーは、出会ったときから2015年にこの世を去るまで、タイニーとの関係を保ち続けた。そして生まれた『Tiny: Streetwise Revisited』−−そこに浮かび上がるのは、タイニーが体現している"ストリートライフ"。そして、メアリーが彼女に注ぎ続けた、慈悲と誠意に溢れる力強い視線だ。

今月、このシリーズがニューヨークのAperture Galleryで公開される。展覧会には、『Streetwise』からの作品や、そして昨年亡くなるまでの30年間にメアリーが撮りためたタイニーの作品も展示される予定だ。映像作家でメアリーの夫でもあるマーティン・ベル(Martin Bell)が1984年に制作したドキュメンタリー作品『Streetwise』も上映される。ハロウィンコスチュームに身を包んだ13歳の家なし娼婦が、10人の子供のシングルマザーになるまでを追ったこのシリーズは、タイニーと同じような苦悩を感じる大勢の若者がいまだにいる今日のアメリカにおいて、大きな意味を持つだろう。

Tiny: Streetwise Revisited is on display at Aperture from May 26 through June 30, 2016. 

Credits


Text Hannah Ongley
All photos © Mary Ellen Mark courtesy of Aperture

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