永遠のK-POPアイドル、ジョンヒョン

K-POPスーパーグループSHINeeのメインボーカル、ジョンヒョンが遂にソロアルバムをリリース。SHINee、作曲、そして長くトップスターでいられる秘訣について語ってくれた。

by Taylor Glasby
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07 July 2016, 3:40am

キャンディーピンクの髪をなびかせて現れたのは、現在26歳のキム・ジョンヒョン(Kim Jonghyun)。パフォーマンスにファンミーティング、数々のテレビ番組出演(コント番組にまで出演!)など、彼は怒涛の1ヶ月を終えたばかり。数百万枚のアルバム販売数を誇るK-POPスーパーグループSHINeeのメインボーカルとしての活動からはしばし離れ、自身初となるソロアルバムのプロモーションに奔走しているのだ。デビューアルバム『Good/She Is』は、ジョンヒョンが奏でる独特にしてカラフル、そして巧妙なボーカルで、80'sファンクポップやトロピカルハウス、EDM、そしてオルタナティブR&Bまでを見事に網羅している。

このアルバムが今年のベストリリースの1枚となることは間違いない。官能的な「Moon」や、ダンスフロアを魅惑的に沸かすであろう「White T-Shirt」など、1度聞いたら頭から離れない素晴らしいチューンとなっている。これは、ジョンヒョンにとって初めてのソロ作品ではない。彼は、2015年にもEP『Base』からシングル「Crazy」や「Deja Boo」などヒット曲を生んでいる。また、ジョンヒョンが単独でレギュラーを務めるラジオ番組『Blue Night Radio』でも、視聴者から寄せられたエピソードを元に書いた曲を集めたコンピレーション『The Collection: Story Op.1』を制作しているのだ。このアルバムが、一切のプロモーションなしに音楽チャートでトップ30入りを果たすなど、ソロアーティストとしても大きな成功を収めてきた。

名実ともにベテランK-POPスターとなったキム・ジョンヒョン。学校では自らメンバーをスカウトしてバンドを結成し、15歳にして韓国最大の総合エンターテインメント会社SM Entertainmentでボーカルとダンスの過酷なトレーニングを受け始めた。彼が18歳の誕生日を迎えて間もない2008年にSHINeeがデビュー。ライトなR&Bチューン「Replay」でテレビ初登場も果たした。そのパフォーマンスで一躍スターの仲間入りをして以来、重厚なシンセ(「Lucifer」)、ダブステップ(「Everybody」)、キュートなポップ(「Hello」)、UKハウス(「View」)など実験的な音楽を次々に打ち出し、K-POP界での人気を不動のものにした。

2009年には自ら歌詞を書き始めるなど、ジョンヒョンは、SHINeeの創作活動に深く切り込んでいった(現在では、自ら作曲するアーティストが増えてきているが、SHINeeデビュー当時には、アイドルが自ら曲を書くことは珍しかった)。"パフォーマー以上の存在になる"という強い意志はやがて現実となり、過去2年で彼は一人前の作曲家、人気のヒットメイカーにまで成長した。韓国の音楽業界でSM Entertainmentと並び2大エンターテインメント会社と称されるYG Entertainmentに所属している歌手、イ・ハイ(Lee Hi)にも曲を書いている(2社にとって初のクロスオーバー企画となった)。また、SHINeeメンバーであるテミンのソロ作品への曲提供や、同じレーベルのグループEXOのアルバム『Exodus』に「Playboy」で華を添えるなど、彼自身とSHINee以外のための作曲も多く手掛けている。

しかしジョンヒョン自身は、彼が書く曲がどれも評価を得ていることに関し、とても控えめだ。彼は曲作りのプロセスだけに集中したいと言い、「音楽作りに休みはないんです。4ヶ月に及んだSHINeeの日本ツアーが終わってゆっくりできる今も、ずっと音楽を作り続けていますよ」と話す。アメリカでの本格活動とSMTown Liveのワールドツアーを控えたジョンヒョンが、自身の芸術性について、そして彼が音楽で喜ばせたいのは他でもない彼自身であることについて、i-Dだけに語ってくれた。

これまでのソロ作品と、今回の『She Is』にある違いは何でしょう?過去の作品と今作に求められた挑戦に違いはあったのでしょうか?
『Good/She Is』は、『Base』の延長線上にある作品だと思っています。今回のアルバムには明確な特徴を打ち出していて、かつ "ダンサブル(踊れる曲であること)"がメインのジャンルとなっています。それに対して、『Story Op.1』では、音により感情を込めたから、そこがまず大きな違いだと思います。作るのが大変だったのは……『Good/She Is』かな。前より複雑な作りになっていると思いますね。今回のアルバムでは、僕が自分のストーリーを語るという切り口じゃなくて、あるキャラクターを通して僕が収録曲9曲を演じ、歌うという設定にしたんです。僕自身がどの程度反映されているのかはわかりませんが、このキャラクターはたまにいたずらなことをする、陽気で魅力的な若い男——このキャラクターを思いついたのは、アルバム制作の最中でした。設定がはっきりと輪郭を持ち始めてからは、このキャラクターを演じることがアルバム制作の軸になりました。そういう意味で、このアルバムは『The Collection』とは全く違うディレクションでの制作になりましたね。

このアルバムに収められている曲の多くは、恋に落ちることや素敵な女性との出会い、相手との親密さが増していくことについて歌っていますね。それはあなた自身が経験したことなのでしょうか?それともこのキャラクターとして思いついたストーリーなのでしょうか?
僕の過去の経験に基づいた部分ももちろんあるけれど、ほとんどは周りで見たものをもとにして書きました。例えば「RED」は街に立つ信号機を見ていて思いついた曲だし、「Moon」は夢を題材にした話、「Dress Up」は何を着ようって迷った記憶をもとに書いた曲です。「Cocktail」は友達とお酒を飲んだ思い出から作ったし——アイデアは日常のいたるところに見出せるんですよ。

新たにアルバムを作るときには、新たな自分を発見したりもするのでしょうか?Good/She Is』の制作で気づいたことなどはありますか?
僕が、自分の音楽に関して誰が何と言おうとそれほど気にならない人間なんだってことが分かりましたね。このアルバム制作は本当に楽しかったから、リスナーも同じように楽しんでくれればいいな、と思ったのは確かです。でも、今は大衆を喜ばせるよりも、自分が好きなもの、自分が表現したいことを中心に音楽を作っているんです。だから「もしリスナーの人たちが楽しんでくれなかったとしてもそれほど気にならないだろうな」と思いました。

ソングライターとしてのプロセスについて教えてください。寝る瞬間にメロディーが頭の中に流れるという人もいれば、楽器をいじりながらメロディーを探っていく人もいるようですが、あなたはどうですか?
誰かに提供するための曲を作るときは、まず提供するアーティストをよく観察するようにしていますね。そのアーティストがこれまでに作った曲をすべて聴いて、ビデオもすべて観ます。そこから僕の解釈を通して、そのアーティストのジャンルやイメージを形にしていくんです。思いついたメロディーをスマホに録音しておくこともあります。作曲を始めた頃はよくやりましたね。今はスタジオで集中して、じっくりと曲を書くことが多いです。

スタジオでのあなたはどんなアーティストなのでしょうか?次々と音を作り上げていけるようなアーティストなのでしょうか?それともじっくりと几帳面に音を作り上げていくタイプですか?
曲にもよりますが、どんな曲でも最初からある程度のイメージは頭にありますね。そのイメージが明確になってから様々な要素を詰め込んで試してみて、最後に、求める音を編集で作り出していく。音源(バージョン)が多いほど良いんです。編集の段階でたくさんの選択肢があるってことですから!

曲を書くとき、どの段階でその曲は自分でなく他のアーティストが歌った方が良いなどと判断するのでしょうか?他のアーティストがあなたの曲をそれぞれのスタイルに作り上げていくのを見るというのは、どんな気分がするものなのでしょう?
いつも曲を書く前にあらかじめ曲提供のターゲットを決めます。「自分のため」「SHINeeのため」「あのアーティストのため」といった風に。僕が作った曲に他のアーティストが魂を吹き込んでくれるなんて、そんな光栄なことはないし、魂が込められた曲を聴いた時は、ありがたい気持ちでいっぱいになります。

今回のアルバムには素晴らしい曲がたくさんありますが、どの曲が1番あなたを困らせましたか?
Dress Up」ですね。それまで試したことのないEDMだったので。ステージでのパフォーマンスは楽しいものになりますね。

ファンは、このアルバムの一部「Moon」「Orbit」「Aurora」を"スペーストリロジー(宇宙三部作)"と呼んでいるそうですが、このテーマはあなたも想定していたのでしょうか?これまでも宇宙や月をインスピレーションとして、SHINeeの「The Distance Between You and Me」などを作ってきた経緯がありますね。
宇宙に関するストーリーを書こうと思っていたわけではないんです。去年、宇宙に関する小説にハマっていたので、それがこのアルバム制作に自然と影響したのかもしれませんね!

特に「Moon」に「Purple Rain」時代のプリンスを彷彿とさせる力を感じます。このアルバムに、プリンスの影響はあったのでしょうか?
プリンスは大好きですからね。ジャミロクワイも好きで、大きな影響を受けました。僕の音楽にプリンスを感じてくれたのなら、とても光栄です。

SHINeeは先月、デビュー8周年を迎えましたが、多くのグループが次々と解散や引退をしていく中、ここまで長くグループとして活動を続けられる秘訣は何なのでしょう?
僕たちは、お互いを傷つけたり不快にさせたりするのを好まない性格なんです。だから、親しいながらも常にグループ内でお互いを尊重し合って、お互いの気持ちを考えながらここまでやってきました。

K-POPの世界で8年続けるというのはなかなか難しいことです。この8年で何か変化したことはありますか?もしも2016年にデビューしていたら、何が心配でしょう?
大切なのは個人個人の才能だと思うので、例えばデビューのタイミングとか、ソロ、グループというフォーマットの違いといったものが成功に大きく関係するとは思いませんね。もし2016年にデビューしていたとしても、8年前に考えていたのと同じようなことに悩むと思います——どうすれば音楽のスキルや才能を磨いていけるだろう、ということに。音楽の面ではSHINeeのデビュー以来、少しずつ成長してきたと思っています。そして、僕がずっと夢見てきたようなミュージシャンになるために、これからも精進していくつもりです。

この8年で多くを成し遂げたあなたですが、次なる目標は?
身近なところで言えば、曲作りをしていてもステージパフォーマンスをしていても、フィットネスはとても大切なので、まず5キロの増量がしたいですね。でも僕がこれまでもゴールにしていて、今後も目指しているのは、身体的にも精神的にも健康体であることです。健康体であれば大好きな音楽を作り続けていられるし、ずっと大切なファンの方々との出会いにも恵まれますからね。

Credits


Text Taylor Glasby
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.