メンズウェアの未来を担うブランドArt School、Rottingdean Bazaar、Stefan Cooke

2018年秋冬のMANでは、ロンドンの新進メンズウェアデザイナーから、期待以上のものが届けられた。

by i-D Staff; photos by Jess Gough; translated by Aya Takatsu
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15 January 2018, 10:07am

Art School

新進デザイナーのための発表の場であるMANで、今シーズンオープニングを飾ったのがArt Schoolだ。多彩な顔を持つこの3ブランド(Art School、Rottingdean Bazaar、Stefan Cooke
)を一言で表すのは容易ではないが、ショーのBGMに使われたハウスアレンジされたピンク・フロイドの『ザ・ウォール』と、その中で繰り返される「leave those kids alone(そいつらを放っておけ)」というフレーズが、その反抗的で挑戦的な空気感をまとめ上げているようにも感じられた。

Art Schoolのデザイナーデュオの片割れであるイーデン・ロウェスにとって、今シーズンは変化が重要だった。「今シーズンはもうちょっと肌を露出したいと感じていました」と、ショーのあとでイーデンは説明した。「すごくセクシーにしたかったのです」。だがそのセクシーは、ソフトさで調整されたものだった。透ける布とかっちりしたテーラリング、そしてSwarovskiのクリスタルと、カラフルな革。

今シーズン、Art Schoolがもっとも輝いたのはそのキャスティングだった。大勢のノンバイナリーのキッズと、プリンセス・ジュリアのようなオルタナティブなアイコンたちが揃う。「大事なのは個性。大事なのはリップと身体、そして自分の周囲の人たちを賞賛することでした」

Text Felix Petty

Rottingdean Bazaar

ああ、Rottingdean Bazaarのデザイナーデュオ、ジェームズ・テーセウス・バックとルーク・ブルックスのお茶に招かれたい。あの2人の思考はめちゃくちゃ最高なんだ。現代社会を皮肉たっぷりで辛辣に、そしてすごく、すごくおもしろ可笑しくよく見ている。

彼らの2018年秋冬コレクションは、口笛で幕を開けた。そして熱心なバードウォッチャーに続いてルークの父親、アーティストのジュリー・バーホーベン、デザイナーのリアム・ホッジス(「ああ、こんなことするなんて大笑いしちゃったよ」)、チャリティ・ショップ・スー(この番組を観たことがないなら、絶対チェックすべき。スーはノッティンガムの、そして世界的に知られるべきアイコンだ)とハリー・ブラッドショウ(モデルでありいたずらっ子でありセントラル・セント・マーチンの非凡なる学生)が登場したのだ。そして最後はナオミ・キャンベルがショーを締めくくった。

このデュオは、日常に埋没しているものの使い方が飛び抜けている。彼らはそれらを意味づけ、その価値を高める。日本の技術である“しぼり”は、ルークが“コスチューム”と称するものに使われている。このルックをつくるのに、1人で2〜3日かかるのだという。

こうしたコスチュームの要素は、ヘッドピースになったサッカーボールやダーツボード、そして大量のスパンコール使いにも見てとれる。「私たちのやり方はちょっとクレイジーです。文字どおり、2人だけの作業。そして今週、ちょっと助けてもらえることに気づいたので、Fashion Eastのスタジオに自分たちのスタジオをつくったのです。しぼりについては、ルイーズ・グレイがすごく手伝ってくれましたし、セントラル・セント・マーチンの学生たちも素晴らしい助力となってくれました」

助けといえば、彼らの故郷であるロッティングディーンも忘れてはならない。「八百屋さんや郵便局……。私たちが『ロッティングディーン新聞』をショーの観客に配りたいと思ったとき、その新聞社に電話をかけたら、私たちが必要なものをすべて揃えてくれたのです」

これこそが彼らの世界であり、それは奇妙で素晴らしいものだった。「そこに内在するアイデアを示唆するような素材やものを探そうと思いました」とジェームズは言う。「そこで、いくつかのコスチュームについて、オーヴンの中で縮まってしまったポテトチップの袋を思いついたんですが、とてもおもしろくて、明快な考えだと感じたんです」と、ルークが補足した。

彼らは笑い、私たちも笑う。そしてファッションも笑った。神さま、ありがとう。ジェームズとルークはデザイナーのみならず、人生とクリエイティヴィティに関するパワフルなコメンテーターであり、ファッションがおもしろくあるべきだということを思い出させてくれる存在だ。

Text Bojana Kozarevic

Stefan Cooke

あらゆるものに疑問を抱け、なぜなら感覚を破壊するStefan Cookeの世界において、すべてのものは見たままではないのだから。セントラル・セント・マーチンの修士課程で発表した有名なコレクションに続き、H&Mのデザインアワードを勝ちとったことに後押しされ、ステファンは再度メンズウェアの定番をコピー&ペーストし、巧みに操った。「見た目で遊び、その服にあるべき機能を変えていくというのがアイデアでした」。バックステージで、そうクックは説明する。「誰もが手にできて、親しみを覚えるような服に魅力を感じるのです」。eBayで見つけた古着のグランジ風モヘアセーターやジーンズ、レザージャケットやトレンチコートは、写真に撮られ、デジタルで操作されたのちに、合成繊維によってリファインされた。トロンプルイユの仕掛けから巧みなカッティング、シルエットの交換などに、目は騙され、期待は裏切られる。

Stefan Cookeがブランドとして最初の一歩を踏み出すと、ウエスト・サセックス出身のこのデザイナーは、もう1人ではなくなった。6年越しのパートナーであり、セントラル・セント・マーチン卒の友人でもあるジェイク・バートと笑いあいながら、育ちつつあるクリエイター集団とコラボするためのプラットフォームとなることを約束した。「1人でデザインすることには興味がありません」と彼は、バートと今シーズンのニットウェアでコラボしたケイト・ブリッテンに引きつけて言う。「私たちはともに成長し、さらに多くのクリエイターを巻き込みたいと思っています」

Text Steve Salter

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