i-D Japan no.7 ヒーロー号 「エディターズ・レター」

4月15日発売の『i-D Japan no.7』によせた、編集長・林香寿美による「エディターズ・レター」。

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15 April 2019, 2:24am

「ヒーロー」と聞いて、あなたは誰を思い浮かべるでしょうか。小さい頃にテレビで見ていた戦隊モノやセーラームーン、仮面ライダーという人もいるかもしれませんし、オリンピックで活躍するようなアスリートを思い浮かべる人もいるでしょう。英語圏では「hero」という言葉にまた別の意味合いがあるようです。神話に登場する「英雄」のニュアンスが色濃い、建国の立役者たちを指してそう言われることもあれば、憧れの対象やロールモデルになるようなミュージシャンやアーティストがそう呼ばれたりもします。

近年では、半世紀以上にわたりヒーローを描いてきたMARVELの映画が世界中で異例のヒットを連発させています。人気の理由は、より複雑になり多層化している世の中を反映した物語と現代的にアップデートされたヒーロー像にあるのでしょうか。世界そのものとそこで暮らす私たちの価値観が猛スピードで変わっていく時代には、これまでとは違う人物が求められているのかもしれません。

それなら、現代のヒーローはどのような資質を持っているのでしょうか。ヒーローは今どこにいるのでしょうか? 本号「the hero issue」はそんな疑問から生まれました。

カバーストーリーはEXILE/三代目 J SOUL BROTHERSの岩田剛典さんが、極寒のパリでの撮影に臨んでくれました。撮り下ろしたのは、ロンドンを拠点に活躍する若手フォトグラファーのハンナ・ムーン。小雪のちらつく2月のパリで、旅情も相まってとてもパーソナルな部分を収めることができたと思います。

ストレートアップスに参加してくれた10代のユースたちは、さまざまなバックグラウンドを持っていますが、「あなたにとってのヒーローは誰?」という質問に対して最も多く挙げられた回答は「ヒーローは不在」というものでした。また、ヒーローは自分自身だという力強い答えもありました。

価値観が分散化し、善悪の二元論が破綻している今、ヒーローはすでにいないのかもしれませんし、沢山いるのに、そのあり方が多様になって、流動的であるために見えにくくなっているだけかもしれません。

ヒーローは今どんな姿をしているか、どこにいるのか。そんなことを考えながらページをめくってもらえたら幸いです。

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Credit


Text Kazumi Asamura Hayashi