「東京らしいクラシック」を追って:liroto 18aw

「ファッションにおける現代の“クラシック”とは何だろう?」。今シーズンがデビューコレクションとなるlirotoのデザイナー富塚尚樹は自問したと言う。〈マームとジプシー〉の主宰・藤田貴大を演出に迎えて、3部で構成されたファーストショーが幕をあげた。

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mar 21 2018, 6:46am

一辺が2メートルくらいだろうか。会場となった渋谷ヒカリエ・ホールBには“構造線”だけでかたちづくられた立方体の“舞台装置”が3つ設置され、それぞれの天井から柔らかいオレンジ色の光を放つ大小の裸電球が吊るされている。1箇所にだけ、手巻き式のレコードプレイヤーが置いてある。一度でも〈マームとジプシー〉の舞台を観劇したことがあれば、この空間が主宰の藤田貴大の手によって創り上げられたと直感するはずだ。キューブの内側を、部屋とみるか、居間に見立てるか、あるいは言語化しようのない精神世界ととるか……。

デザイナーの富塚尚樹は、MARC LE BIHANで経験を積み、COMME des GARÇONSに入社。tricot COMME des GARÇONSの企画・パターンを長年担当してきた。「デビューブランドがショーをできるはずもない、という声を覆したかった」と、ショーを終えた彼は話していた。今年2月にマームとジプシーの10周年を記念し、作家・川上未映子と組んだ舞台「みえるわ」のなかで、「水瓶」「夜の目硝子」の衣装(ショーの冒頭に登場するピース)を担当したことが、藤田貴大が演出に関わったいきさつだ。lirotoのデビューコレクションにして、3部構成で物語るショーが始まった。

会場は暗転し、PVCに“クラシカル”な刺繍を施したオリジナルファブリックで仕立てられた立体的な服をまとう、モトーラ世理奈、玉城ティナ、琉花の3人がゆっくりとした歩調で現れる。レコードの音が流れ、彼女たちはそれぞれのキューブオブジェの中央に立ち、手に持っていた黒い本をゆっくり開き、ポエムリーディングを始める。ブランドの歴史が始まるプロローグといったところだろうか。「1部ではとくにブランドの“世界観”を強くみせたかった。今回は、東京らしい、現代のクラシックとは何かがテーマです」。lirotoによる表現のひとつの象徴が、PVCと刺繍というファブリック上のコントラストだ。オリジナルのへッドピースとシューズも、実にアイコニックだ。

第2部はテンションが一転。カラフルな花柄プリントなどの服地を、時に自由に、時に格子柄のように黒いフリルが踊るようにトリミングしている。しかし、快活だけれど甘さは抑制され、一瞬では判別できないほど複雑なパターンによって彫刻的な立体感がある。フィナーレに向かって、また転調する。冒頭の彼女たちが、再び現れる。モノトーンが基調となって、ボリューミーな中綿入りのキルティング素材がアウターやロングスカートなどに。2部が昼なら、3部は夜といったところだろうか。パターンテクニックの鋭さがひときわ際立たせながら、ブランドのプロローグでもあるファーストショーはそっと幕を閉じた。