カルト的ブランドNoahが、写真家マイケル・ミュラーと作ったサメTシャツ

Supremeでクリエイティブ・ディレクターを務めていたブレンドン・バベンジンが立ち上げた自身のブランドNoah。一時は活動を休止していた彼らは2015年の再ローンチを経て、現在新たな挑戦に取り組んでいる。海の生態系や洋服の生産者たちの「サステナビリティ」をテーマに、Noahは写真家マイケル・ミュラーと共にサメのTシャツを作り上げた。

by Ryan White; translated by Yuichi Asami
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maj 28 2018, 10:11am

コラボやカプセルコレクションが蔓延している業界(特にストリート系のブランドは)においては、次々と発表される限定コレクションに、購入を促されているように感じてしまうこともある。しかし、持続可能性を根幹に据えているブランドNoahは、私たちにたくさん買うよう強いることはない。ブランドのクリエイティブ・ディレクターを務めるブレンドン・バベンジン(Brendon Babenzien)が目指しているのはむしろ、上手な購入の(され)仕方である。2002年にSupremeを退社して間もなくNoahを立ち上げ、その後ブランドを畳んでSupremeのデザイン・ディレクターとして復帰したブレンドン・バベンジンは、再び2015年にNoahを再ローンチしている。持続可能性(サステナビリティ)の必要性が叫ばれている2018年において、レーベルが掲げる社会意識の精神はかつてないほど世の中と共鳴している。

サプライ・チェーン(原材料・部品の調達から、製造、販売までの製品の全体的な流れ)の透明性や持続可能な製造メソッド、ブラック・ライヴス・マターのような政治的なムーブメントへの支持など、ニューヨークを拠点に置くレーベルのビジョンは、倫理的なファッションが必ずしもスタイルを妥協する必要がないことを示している。

Noahの最新コレクションのうち3種類のTシャツはDOVER STREET MARKETから発売されており、写真家のマイケル・ミュラーが撮った写真がプリントされている。しかし、今回打ち出されているミュラーのテーマはサメである。「どうしてサメなのですか?」とブレンドンに訊いた。「彼らは海の頂点捕食者だからです。もし彼らがいなくなってしまえば、すべてが崩壊してしまいます。少々恐ろしい存在ではありますが、海の生態系のバランスを保ち、適切に機能させるためには彼らが不可欠なのです。海が健康的でなければ、私たちは死んでしまいますから」。コレクションがローンチされるのにあたって、私たちはブレンドンに、彼のブランドのアイデンティティや今回のプロジェクトに捧げた情熱についての話を訊いた。

最初にNoahをスタートさせたときは、どのようなビジョンがあったのでしょうか?
私たちは、自分たちの信じる様々なものをすべて結び付けようとしていました。自分たちが文化として誇りに思えるものを作り続けることができるのかどうか、つまり、クールで便利だと思い続けられるようなものを作れるのか試してみたかったのです。また、周囲に対してより責任感のある方法でやりたいと思っていました。世界の情勢や人権を考慮しないビジネスをしている限りは、それらに不満を言うことはできないと考えていました。私は10代の頃に立ち返って、理想的な環境を作り上げようと思ったのです。

レーベルを1度畳んだのと、再ローンチしたのにはどのような理由があったのでしょうか?
レーベルを畳んだのは、シンプルな理由です。資金不足でした。うまくビジネスに乗せられなかったんです。あの時代は卸売業しかありませんでした。ネットや直販システムが登場するまで私は待たなければならなかったんです。再ローンチしたのは、ずっとそうしたいと思っていたからです。機は熟したので、口で言うだけでなく行動に移して、個人的に満足できるようなビジネスを立ち上げるために、身銭を切ることにしたのです。少し年を重ねたことや、世の中や自分たちが直面している課題についての見識も増えたのも、再ローンチを決めたきっかけになったと思います。

マイケル・ミュラーとのコラボが実現することになった経緯を教えてください。
私たちは彼の書籍『SHARKS』をショップで取り扱っていました。私たちは彼の作品が気に入っていたのです。あるとき、妻のエステルから、彼に仕事を依頼したらどうかと勧められました。彼は忙しくて私たちと話している時間はないだろうと私は思っていました。ところが、彼は私たちと話すためにお店に来てくれたのです。私たちには共通の関心事もたくさんあり、海の現状に警鐘を鳴らすために協力しようと意気投合したのです。なかでもサメに注目ました。彼らは1年に1億匹という、信じられないほどのスピードで殺されてしまっているのです。

洋服のブランドには社会問題を支援する責任があると思いますか?
それは難しい質問ですね。私は規模の大小に関わらず、ビジネスは何かしらの責任を果たすべきだと信じています。これは単なる思いつきではありません。私は、社会が直面している問題に対処するのに政治は役に立たないと学びました。しかし、大きなビジネスであれば、献金やロビー活動を通じていくばくか政治を抑制できる。消費活動を通して変革を起こすこともできるのです。

ファッションには世界を変える力があると思いますか?
ファッションはすでに世界を変えています。とても巨大なビジネスであり、カルチャーの大部分を担っている。人びとの考え方や行動にも影響を与え続けています。とても強力な存在なのです。

その点こそ、ブランドが行動に責任を持たなければならない理由です。すべての洋服が、まともな生活をできるだけの十分な賃金を支払われている人たちによって作られているのを想像してみてください。僕たちは洋服にもっとお金を使うようになるかもしれない。会社はそんなに儲からないかもしれませんが、私たちはより良い世界に暮らすことになるでしょう。私がファッション・ビジネスに望んでるのはそういうことです。そうした業界の一端を担っていければと思っています。

This article originally appeared on i-D UK.