非凡なる14歳、エカテリーナ・サムソノフ

期待が高まるリン・ラムジー監督最新作『ビューティフル・デイ』のスターが、若手俳優たちの陥りがちな名声の落とし穴を語る。

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okt 10 2017, 2:32am

This article originally appeared in i-D's The Acting Up Issue, no. 349, Fall 2017.

14歳のエカテリーナ・サムソノフ(Ekaterina Samsonov)は、夏休み中の学生だ。「今日は何にもしない」と、彼女は楽しそうに言う。「でもプールに泳ぎには行くかも」。いかにも夏休み中の14歳らしいジレンマだ。しかし、エカテリーナは平均的な14歳の少女とは違う。少なくとも、本当に近い将来、彼女は平均的な14歳ではなくなる運命にある。彼女のInstagramページを見ていると、余暇を楽しんでいる姿や自撮り、犬や父親と撮ったスナップなどに混じり、カンヌで撮られた画像を見つけることができる。スコットランドの映画監督リン・ラムジーが2011年ヒット作『少年は残酷な弓を射る』から6年の歳月をかけて作った最新作『ビューティフル・デイ』のプロモーションで、カンヌ映画祭に参加してきたときのものだ。

ホアキン・フェニックスが主演を務めている『ビューティフル・デイ』。ホアキンはカンヌ映画祭で最優秀男優賞を受賞したが、映画祭で脚光と喝采を浴びたのは、実のところ、エカテリーナだった。彼女が演じるニーナは、野心溢れる政治家を親に持ち、誘拐されて性奴隷にされそうになる少女。ホアキン演じるジョーは、ニーナを救出したうえで、誘拐犯たちに報復を加えることを依頼されるが、もちろん、ことは計画通りに運ばない。ジョーは、傷つき、過去に囚われた、怒れる悲しい男で、ニーナの父親には、野心ある政治家が誰もそうであるように、裏の顔がある。『ビューティフル・デイ』には、マーティン・スコセッシの『タクシー・ドライバー』を彷彿とさせる世界観があり、かつて『タクシー・ドライバー』でジョディ・フォスターがキャリアを開花させたように、エカテリーナもまたこの作品で開花するかもしれない。ジョディ・フォスターが10代の売春婦アイリスを演じたとき同様、エカテリーナもニーナを単にどん底の犠牲者として演じるのではなく、深みと奥行き、そして人間理解をもって演じているのだ。

人間の闇の部分を描いた作品ながら、監督のリン・ラムジーは現場の雰囲気を明るく保つよう努めていたという。「暗い映画だから、撮影初日は心が落ち着かなかった」と、エカテリーナは話す。「でもすぐに現場は冗談や笑いでいっぱいになったわ。役に入り込んで強さを自分から引き出さなきゃならないシーンもあったけど、そんなときでもリンがリラックスさせてくれた。現場は、みんながいつも冗談を言ったりしていて、実は楽しい現場だった」。じきにスターとなり、彼女を取り巻く世界が激変すること間違いなしのエカテリーナだが、彼女自身は地に足をつけている。「この映画で自分が有名になるかもしれないのよね」と、彼女は涼しい表情で言う。「有名になることで唯一心配なのが、昔からの友達との関係が崩れてしまうんじゃないかということ。わたしが有名だからということだけで友達のふりをするようなひとも寄ってくるかもしれないし。有名になることは、わたしにとってすべてではないように思える。でも、有名になることで、映画製作に関わり続けることができるようになるというのも事実だと思う。わたしはなんのプレッシャーを感じる必要もないんだと思う」

Credits


Text Felix Petty
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.
Photography Clara Balzary
Styling Caroline Newell
Hair Maranda at Lowe & Co. using Oribe hair care. Make-up Sandy Ganzer at Forward Artists using Milk Make-up. Photography assistance Robbie Corral. Styling assistance Philip Smith. Ekaterina wears jacket Wrangler. Dress Coach. Shoes Converse