注目のDJ二人が世代を超えて紡ぐ、名門レーベルMIX

ソウル・R&Bの数々の名曲を保有する名門ミュージック・レーベル、Atlantic Records。その設立70周年を記念して、KANDYTOWNのメンバーでもあるDJ MinnesotahとMASATOによる豪華ミックスCDが発表された。その両名に、ソウル・ミュージックの極意を聞く。

by Shiho Watanabe
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28 August 2017, 12:52pm

お二人がソウル・ミュージックを聴き始めたきっかけを教えてください。
MASATO:元々、2000年代初期くらいからヒップホップを聴いていたんですけど、当時の新譜を聴くのに飽きて、90年代のヒップホップを聴き始めたんです。そしたら、がっつりソウルのサンプリングを使った曲が多くて。2000年代でも、カニエ(・ウエスト)とかがソウルの早回しサンプリングをやっていたのがすごく好きだったんですけど、90年代の曲ではD.I.T.Cとかがソウルやファンクの曲を元ネタとして使っていたので、そこからディグって行きました。

好きな曲で使われているサンプリングの元ネタを発見していくのは、醍醐味がありますよね。
MASATO:『I LOVE SAMPLING』って本があって、それが超アツいんですよ。ヒップホップ・ネタのアーティストと曲名が書いてあって、その本をバーっと見ていると、ザ・ブラックバーズとかジェイムス・ブラウンとか、たくさんサンプリングに使われているアーティストがわかって。

いわゆる"大ネタ"と呼ばれるような。
MASATO:そうです。それで結構曲を覚えて、ハマっていきましたね。
Minnesotah:僕も大体同じで、2000年くらいにジェイ・Z『The Black Album』とか、サンプリングがガツガツ使われているアルバムを聴いてから、DJをやり始めたんです。それで、わからないながらにレコードを買って、元ネタを調べていって。

例えば、J・ディラとDr.ドレーのサンプリング手法が異なるように、ヒップホップのビートメイカーや地域によっても、サンプリングの仕方やネタの使い方がそれぞれ異なると思いますが、自分の好きなサンプリング・ビートの種類などはありますか?
Minnesotah:Dr.ドレーみたいな、西海岸のちょっとメロウで音色豊かな感じも好きですけど、やっぱりニューヨークの90's ハードコア・ヒップホップみたいな感じを意識してナズとかを聴くと「あー、ヤバい!」と感じますね。
MASATO:アイズレー(・ブラザーズ)のネタ使いとか、ウエッサイはウエッサイで好きですね。でも、自分もやっぱりニューヨークの方が合ってるかな。ピート・ロックのビートとかは、かなりハマって聴いてましたね。

ちなみに、それぞれがお好きなソウル・ミュージックのジャンルや年代はありますか?
MASATO:自分は70年代のフィラデルフィアのソウル・ミュージックですね。ヴァイオリンとかのストリングスの音もけっこう使われていて、すごくドス黒いっていうよりかは気持ち良いソウル。その辺がかなり好きで、いつかその辺のミックスを作ろうと思ってます。
Minnesotah:俺は、けっこう何でも良いって感じですね。単純に曲を聴いて、その時の感覚で「良い」みたいな。中でも特にアレサ・フランクリンは定番にして最高、というか。「Day Dreaming」は聴いていると何でもよくなっちゃいますね。

今作にも、レイ・チャールズからスピナーズまで収録されていますが、選曲の作業はどうやって?
MASATO:ミネさん家に行って、二人で酒飲みながらレコード聴いたりして「これ良いね」って言いながら決めた感じです。
Minnesotah:グルーヴが完全におっさんでしたね(笑)
MASATO:そうそう(笑)。「この次、コレっしょ」とか言いながら。
Minnesotah:ある程度、自分たちが持っているAtlantic Recordsの音源を聴いて、持っていないものはYouTubeとかもチェックして選んで行きました。

膨大な量の音源があったかと思うんですが、コンセプトなどは?
Minnesotah:Atlantic Recordsの70周年というテーマもあったので、あまり偏りすぎないというか、いわゆる「アメリカのポップスとしても重要でしょ」みたいなところは大事にしました。単純に、ヒップホップ目線やレアグルーヴ感とか、DJカルチャー的な内容にならないように。
MASATO:そうですね。例えば、Atlantic Recordsの曲は、70年代以降だとソウル色が濃くてサンプリングのネタになっている曲も多くあるので、前半はレイ・チャールズではじめつつも、徐々に歴史を追うというか、そういった点もけっこう意識しました。

名門レーベルとも言われていますが、もともと、Atlantic Recordsへの特別な思いなどありましたか?
Minnesotah:Atlantic Recordsの作品って、昔のソウルのレコードを掘っている時にたくさん出てくるじゃないですか。だから、俺が最初に覚えたレーベルかもしれないですね。
MASATO:Motownとかと並んでね。わかりやすいですし。

若いリスナーや読者の方には、古いソウル・ミュージックと言うと少しとっつきにくい部分もあるかと感じてしまうのですが……。
Minnesotah:俺たちも"昔の曲"に拘っているつもりはなくて、どっちかというと、みんなが新譜をチェックするのと同じ感覚でレコードを買って聴いてるって感じなんです。今回のミックスCDは、「これからソウルとか聴いてみよう」みたいな若いリスナーにはちょうどいいかも。
MASATO:最近だったら、ケンドリック(・ラマー)が「i」でアイズレー(・ブラザーズ)の曲をモロにサンプリングしてたり、結構聴きやすい作品もあると思うんです。そういうところから入ってみるのもアリだと思います。あと、今回の作品にはブックレットに自分たちで解説を書いてるんですけど、ヤバいくらい苦労したので、それも一曲一曲読んでもらえれば。

今後、チャレンジしたいことはありますか?
MASATO:今回のミックスCDを出したばかりのタイミングですけど、他のレーベル縛りとかもやってみたいですね。
Minnesotah:今後も色々と考えているので、ぜひDJイベントにも遊びに来て欲しいです。現場はこのCDとも違った感じでやっているので。

"Land of 1000 Classics"&"Make U Dirty" W RELEASE PARTY
日時:9月2日(土)17:00 START
会場:原宿 VACANT 2F
住所:東京都渋谷区神宮前3丁目20-13
出演:MASATO,Minnesotah,MUD,Neetz

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Credit


Text Shiho Watanabe
Photography Takao Iwasawa