Gordon Parks, Boy with June Bug, Fort Scott, Kansas, (1963), Courtesy of the Gordon Parks Foundation.

ケンドリック・ラマーにインスピレーションを与えたゴードン・パークスの写真

ゴードン・パークスの作品は、今日の黒人たちのアメリカをいまなお映し続けている。

by Hannah Ongley; translated by Aya Takatsu
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28 March 2018, 1:15pm

Gordon Parks, Boy with June Bug, Fort Scott, Kansas, (1963), Courtesy of the Gordon Parks Foundation.

今年のミュージックビデオにおける最高に興味深いトレンドのひとつが、写真である。デヴ・ハインズのVeil Hymnプロジェクトは、マリのフォトグラファーであるマリック・シディベにインスピレーションを受けたもの。ヤング・サグの曲「All the Time」のMVには、中国人アーティスト、任航(レン・ハン)からの影響を見て取ることができる。そしてケンドリック・ラマーの「ELEMENT.」もまた、伝説的な黒人フォトジャーナリスト、ゴードン・パークスの写真をパワフルにつくり変えたものだ。パークスは、労働者階級のアフリカ系アメリカ人の生活を示唆に富む写真に残したことで、1940年代に注目を浴びた。彼はまた『Vogue』のファッションフォトグラファーとしても活躍し、モデルにポーズをとらせるのではなく、動かして撮る技術をいち早く取り入れた人物でもある。

Still from "ELEMENT." by Kendrick Lamar, via YouTube.

2006年、パークスは93歳でこの世を去った。しかしニューヨークのゴードン・パークス財団が、この先駆的な写真家に対するラマーの豪華なトリビュートを気に入っていることは間違いなさそうだ。同財団は、「ELEMENT.」のMVのインスピレーションとなった写真を集め、展覧会を開催した。ハーレムギャングの長だったレオナルド・“レッド”・ジャクソンに関する『LIFE』誌のフォトエッセイや、黒人差別時代に南部の田舎で暮らしていたある黒人家族の生活を写した作品も展示されている。貧困や社会正義に切り込んだこれらの写真が、ラマーの共感を得たことは驚くにあたらない。黒人理解に関する現代の代弁者として、ラマーはパークスの精神を受け継いでいる。アメリカを、差別が渦巻く現実に対峙させることで。

Gordon Parks, Ethel Sharrieff, Chicago, Illinois (1963), Courtesy of the Gordon Parks Foundation.
Still from "ELEMENT" by Kendrick Lamar.

「ゴードン・パークスの作品は、若者たちに大きな影響を与え続けています。特に、アメリカの社会正義や人種に関する問題を取り上げるために写真の力を使う、ケンドリックのような芸術家たちに」と、ゴードン・パークス財団のジュニア・エグゼクティヴ・ディレクターを務めるピーター・W・クンハートは言う。コンプトン出身のこのMCは、アート中毒の友人、スウィズ・ビーツからも賞賛を受け取った。彼はラマーのミュージックビデオに対して次のように評した。「現代の変革者たち——芸術家、ミュージシャン、映画監督、デザイナー——が、社会を変えるために活動した過去の英雄の力を借りるということの、最高のお手本だね」

Gordon Parks, Untitled, Fort Scott, Kansas, (1963), Courtesy of the Gordon Parks Foundation.
Still from "ELEMENT" by Kendrick Lamar.
Gordon Parks, Black Muslims Train in Self-Defense, Chicago, Illinois, (1963), Courtesy of the Gordon Parks Foundation.
Still from "ELEMENT" by Kendrick Lamar.
Gordon Parks, Untitled, Chicago, Illinois, (1957), Courtesy of the Gordon Parks Foundation.
Still from "ELEMENT" by Kendrick Lamar.

This article originally appeared on i-D US.