凱旋への喝采:N.HOOLYWOOD 19SS

デザイナー尾花大輔の“オリジン”と東京の“現在”が結びつき、過激なほどに昂揚する時間がそこにあった。

by Tatsuya Yamaguchi; photos by Shun Komiyama
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17 October 2018, 8:22am

10月16日火曜日、海風が吹く天王洲アイル、寺田倉庫G1。そこで、名実ともに日本を代表するメンズファッションデザイナーの尾花大輔による、東京での発表はおよそ8年ぶりとなるN.HOOLYWOODのショーが催された。2000年に設立されたこのブランドは、2011年春夏シーズンを境に、ニューヨークファッションウィーク(NYFW)のタイムテーブルの常連だ。

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“AT TOKYO”枠の一角としても無類の注目を集めていたことについて、大勢のデザイナーやスタイリスト、俳優からミュージシャンまでがN.HOOLYWOODのショーを目撃せんと駆け付けた姿をみれば言葉はいらないだろう。今、東京で何を魅せつけるのか? ゲストの並々ならぬ期待感と静かな緊張が織り混ざった空気が、開幕前の会場を包んだ。

N.HOLLYWOOD
N.HOKKYWOOD

すでに7月のNYFWで発表を終えた2019年春夏コレクションだが、その様相はまるで違う。N.HOOLYWOODのショーディレクションを長く手がけるVISION AND PARADOXの籠谷友近が創り出したのは、4つの異なる空間——王道的でストレートなランウェイがあり、あるエリアでは一脚ずつ姿形の違う椅子やベンチがランダムに設置され、他方では高台が設えられたり、無数の蛍光灯によってひときわ明るいゾーンがある。都内を中心にストリートキャスティングしたという、観る限り出身地も、当然ながら風貌もまったくちがう“個”が映える総勢48名のモデルが、アップテンポな音楽と呼応する速度で、すべてのスペースを駆け抜けていく。

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彼らが身にまとうのは、PENDELTONやumbro、Dickies®️、VANSなどとのコラボレーションのほか伊藤若冲の絵がグラフィカルに冴える2019年春夏コレクションのウェアと、デザイナー自身——そしてN.HOOLYWOOD——の“オリジン”でありルーツともいえる古着や、それらを解体してカスタマイズされた服のスーパーミックス&レイヤードだ。サイケデリックなタイダイ柄、ワッペンで埋め尽くされたヴィンテージレザージャケット、あるいはミリタリーやワークウェアのエッセンス。ブランド設立以前の90年代、ヴィンテージアイテム(伝説的古着屋「go-getter」の創設者のひとり)のバイイングやリメイクをしていた尾花が、スタイリストの二村毅に託したこととは、自身の“ルーツ”を“現在”に引き上げることだった。多彩な空間と男たち、あるいは「@ TOKYO」と題したこの夜のために新たに制作されたそれらのスペシャルなピースと脳裏に焼き付くスタイルの数々こそが、今、尾花大輔が東京で発表する意義と、彼の眼差しが描く東京のイメージを明示するものだった。

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鳴り止まぬ祝福の拍手を浴びながら、尾花大輔は、息子の手をひきながらランウェイを練り歩き、来場者とハイタッチをしたあとマイクを取った。すべての関係者とゲストに謝辞を述べて、彼の合図とともにアフターパーティーが幕を上げた。

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Credit


Text Tatsuya Yamaguchi
Photography Shun Komiyama
Editor Noriko Wada