グラフィックとPOP — 鈴木“KINK”均、初の個展

“音楽”を中心に活動を続けてきたグラフィックデザイナー・鈴木“KINK”均。「POPとは何か?」と考えずにはいられない、自身初となる個展「LIFE BEGINS AT THE POP」が開催されている。

by Kanayo Mano
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04 August 2016, 11:29am

1枚のCDを手にとって、バンドの名前は知らないけれど、これは一体どんな音を鳴らすのだろうとワクワクするようなCDジャケットを作るグラフィックデザイナーがいる。鈴木均(すずきひとし)だ。

2000年前後からキャリアをスタートさせ、NONA REEVESやカジヒデキ、ラーナーズなどのCDを中心にアートワークを手がけてきた。これまでの作品を自身の目で厳選した、初となる個展が東京・原宿の「kit gallery」で開催されている。

ギャラリーには、ユーモアが効いた軽やかなタッチで、見る側を自然と笑顔にさせてしまう、そんな力のある作品が並ぶ。レコードプレイヤーを色だけを使って記号的に表現したものや、 Bell and Sebastianの架空のコピーパンド "Béret and Sebastian"のバンドグラフィックなど、どれも見ていて楽しいものばかりだ。個展の開催がきっかけで「自分の作品を初めて振り返った」と話す鈴木。そのときに気づいたのは、これまでのデザインキャリアで大きな影響を受けていたのが、実は2011年の東日本大震災だったことだという。「震災前と後で、色の使い方が変わったと気づきました。また、よりシンプルにもなったと思います。以降は特に、自分が心地よいと思う色合いを使ったものになっています」

「自分自身にとって本当に必要なものを考え直すきっかけになった」という震災を経て、初めて自身のキャリアのなかで立ち止まった地点で行う個展は「LIFE BEGINS AT THE POP」と銘打った。いつの時代も "流行"と切り離せない"POP"の観念を「熱心に流行を追いかけるより、むしろ逆のことをやりたい」と形にする鈴木のグラフィックは、1人のデザイナーのなかに息づく原点と、これからの "POP"の息づかいが交錯する0座標を捉えている。

LIFE BEGINS AT THE POP
会期:開催中〜8月7日(日)
会場:kit gallery
住所:東京都渋谷区神宮前2-31-3
kit-gallery.com

Credits


Text Mano Kanayo

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