ロンドン・ファッションウィークDay 2

2017年秋冬ロンドン・ファッションウィーク2日目は、Ryan Lo、Faustine Steinmetz、そしてFashion Eastのカラーとカット、そしてクリエイティビティが炸裂する一日となった。

by i-D Staff
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23 February 2017, 4:05am

Ryan Lo

『ル・ポールのドラァグレース(RuPaul's Drag Race)』ファンはいるかしら?特にシーズン7のエピソード11が好きな人は?日本のアイコン、キティちゃんへのオマージュをテーマにカスタムメイドのドレスを作る指令が下る、あのエピソード!何が言いたいかというと、ライアン・ロー(Ryan Lo)がシーズン7に出演していたら、きっと彼はあのエピソードで優勝していただろうということ。マゼンタとオレンジの迷彩柄のようなスカートにドロップ・ウエストのオーガンジー・ドレスというスタイルが、イギリス・ファッション協会(British Fashion Council)のショースペースで行われたRyan Lo 2017年秋冬コレクションには溢れていた。またこのコレクションで、ライアンは自身が香港で過ごした青春時代と、最近になって廃刊が決まった雑誌『FRUiTS』にも思いを馳せ、"スーパーかわいい"世界のインスピレーションを求めた。バラのディテールを配したニットのギャザー・ドレスに身を包んだモデルたちには、ヘア界の重鎮サム・マクナイト(Sam McKnight)によるマルチカラーのスーパーロング・ヘアと、メイク界のスター、イサマヤ・フレンチ(Isamaya Ffrench)によって極端に描かれたチークがほどこされた。渋谷のストリートから飛び出してきたような世界観だった。

Text Lynette Nylander

Matty Bovan 

Fashion East

ルル・ケネディ(Lulu Kennedy)が才能を発掘してデザイナーたちに作品発表の場を提供するFashion Eastで、マティ・ボヴァン(Matty Bovan)が2度目のショーを開催した。テーマは、「ディストピア(暗黒卿)風の中世をSF的未来に描く」というもの。未来のビジョンだが、「白くてクリーンという従来のSF的未来像ではなく、荒削りな未来を描きたかった」と本人は語り、生地はすべて「神聖なクオリティを生む」という目標のもと扱われ、洗われ、そしてフェルト加工されているのだと説明した。素晴らしく美しいシャンテル・ウィニー(Chantelle Winnie:ウィニー・ハーロウ)がオープニングを飾り、アイコニックなグレース・ボル(Grace Bol)、i-Dでも表紙を飾ったことがあるアジョア・アボアー(Adwoa Aboah)とディローン(Dilone)など、錚々たるモデルたちが続いて、ボヴァン特有のレイヤード・ルックで魅せた。

アシメトリー、切り裂かれたようなデザイン、そしてパッチワーク・スタイルを配したニットウェアに、1400年代に版画で描かれた魔女や悪魔の絵がプリントされたトップスやスカート、オレンジのダメージ・デニムのセパレート、「Bovan Corporation」パッチがついたボーイッシュなパンツなどが合わせられた。このパッチは、『エイリアン(Alien)』や『ブレード・ランナー(Blade Runner)』などのSF映画にインスピレーションを得たモチーフだそうで、それら映画の中で企業や会社が悪役として描かれているという解釈を背景として、すべての作品が偶然の産物である自身のプロダクションをジョークのネタとしてもじっているのだそうだ。すべてのルックスには、マティが母プラム(Plum Bovan)とともに様々な素材を用いて作ったジュエリーと、Coachから提供されマティがカスタマイズしたレザー・バッグが配されていた。

Mimi Wade

Mimi Wadeにとって初となるランウェイ・ショーは、Fashion East提供の代わり映えのしないコレクションが続いた後に発表された。コーデュロイのテーラリングや、シルクのスリップドレスの数々、トレードマークであるレースのレイヤーを配したアシメトリーのスカートなどが盛り込まれた今季コレクションで、Mimi Wadeはその世界観を大きく押し広げていた。デザイナー自身が学生時代に着ていた制服を再解釈したという今回のコレクションだが、そこには映画ポスターやB級映画のスターであるグラニー・パミー(Granny Pammy)など、彼女がこれまで「影響を受けた」と公言してきた要素が引き続き色濃く打ち出され、映画『ダイヤルMを廻せ!(Dial M for Murder)』をもじったピンク・パンサー映画『Dial P for Pink』をまたさらにもじった「Dial M for Mimi」のスローガンを配したり、ミミ自身がデザインしたという映画ポスターを引き裂いて貼り付けたというブラックのレース・スカートが登場するなどした。

ASAI

新星ASAIは、ロンドンのブランドJane Norman、ボーホー・スタイルのディスク・ベルト、そして「お金があり、高価なものを身につけているという印象を与えたいが、シックになど決してなりたくない」という"ゲットー・ファビュラスネス"にインスピレーションを得て、今回のコレクションを制作したという。明るいカラー、パッチワーク技法が用いられたニットウェア、アネモネの花のようなラッフルに織り込まれたサテン、テーラード・ジャケットなど、強烈なまでにテクスチャー感を持った世界を打ち出したコレクションだった。ロンドン・カレッジ・オブ・アーツの卒業生スープリヤ・レレ(Supriya Lele)の今季コレクションは、フェミニニティを見つめ、そしてインドとイギリスの文化を併せ持つ自身のアイデンティティを考察した結果のコレクションだった。ピンクやレッド、ネイビーなどロマンチックなカラーを用いたこのコレクションは、ハードでシャイニーなビニール・パンツやプラスチックのレイヤーに、デリケートながらタイトなトップスやサテンのガウン、淫らな印象のテーラリングなどが合わせられ、そこにインドのコスチューム・ジュエリーがジッパーのつまみとして配されるなどしていた。

Text Charlotte Gush

Faustine Steinmetz

デニムというベーシックな素材をここまでシーズンごとに新たな高みへと押し上げられるデザイナーは少ない。ここまで労働者男性を思わせ、単調にまでなりうる生地で、フォスティン・スタインメッツ(Faustine Steinmetz)ほど奇跡のごとくマジカルな世界を描けるデザイナーは他にいない。もちろん、デニムはもっとも用途の多い生地であり、世界でもっとも広く愛されている素材。誰もが一本はジーンズを持っているはずだ。フォスティンの今季コレクションは、1992年のシアトルからデニム・オン・デニム、そしてディアマンテで飾られたコロンビアのデニムまで、見る者をデニムで世界一周させてくれる内容だった。それらベーシックな作品をまずは紹介したフォスティンだが、続いて、ジーンズやデニム・ジャケット、デニム・シャツを脱構築し、再構築し、再解釈し、ダメージ加工を施し、グラマーの要素を加えた作品を怒涛のごとく見せた。デニムを数千ものクリスタルが覆い、縫い付けた糸の先がそれらクリスタルから長く垂れ下がった2ピースのルックがあったが、それこそはこのショーのハイライトだった。

Text Felix Petty

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Credits


Photography Mitchell Sams
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.